私の母親が入所する施設は、ご多分に漏れず、新型コロナの影響で、
『面会は玄関のガラス越し、尚且つ短時間で』
そんな制限付きだった。
この度、この制限が撤廃され、対面での面会が可能になった。
この件をLINEで娘達に知らせると、
「そんなら有給利用して帰ってくる!」
東京で暮らす長女の行動力たるや、
即決即断である。
てな訳で現在、長女が帰省中である。
ただ、連日面会する訳でもなし、
「今日、どっか行くか?」
「そんなら・・・」
先ずは、
荒尾市の万田抗である。
2015年、世界文化遺産に登録された、明治日本の産業革命遺産群のひとつ。
無料のガイドが利用出来る。
万田抗へ行く前に、当時を再現したジオラマで、事前レクチャーである。
「と、こうなっとりました。では、出発しましょか。」(ガイド)
今も残る正門の門柱。
抗夫が打つ柏手の音が、ふいに聞こえた気がした。
第2竪坑入口。
「前方にあるのが、坑夫達を坑道へ運んだケージです。」(ガイド)
ここから264m下の抗底まで、ケージは1分間で昇降。
エレベータなど、そんな生易しい物ではない。
最早、落下である。
そのケージを支えたレールなら、さぞや頑丈な鉄製と思いきや、
米松の角材だったというから、尚更驚きである。
第2竪坑櫓全貌
明治41年完成 高さ18.9m
下段が選炭場
更にその先に、炭鉱専用鉄道が走った。
このトンネルは、映画『るろうに剣心』のロケ地、かな?
職場
鉄工所と言った方が分りやすい。
万田坑で使う部品の製作と修繕は、
「殆どが、ここでしとりました。」(ガイド)
「それでは万田抗の一番の見所、巻揚機室に行きましょう。皆さん、ヘルメットの着用ばお願いします。」(ガイド)
巻上機
昇降機と抗口のレールの高さを、カメラもない当時、どうやってミリ単位で合わせたのか。
神業である。
作業心得や規定が書かれた掲示板。
無論、当時のままである。
下段の部屋にある、一廻り小さい巻上機。
他の機械の動力は、時代が移るとともに、電気に代わって行ったが、
「これだけは、最後まで蒸気でした。私に言わせれば・・・」(ガイド)
数ある機械の中で、これが一番『エモい』らしい。
カメラを向けていると、
「折角撮るなら、向こうにカメラスポットがありますけん。」(ガイド)
あ、なるほどね。
パシャリ
「向こうのま~るかコンクリートは、汽罐場(ボイラー)の煙突土台です。」(ガイド)
桜町トンネル
荒尾市と大牟田市を結ぶ生活通路だ。
続く