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お酒のお供Y・・・141

2015-04-18 10:57:42 | 日記

藪入り

藪入でしばらくぶりに息子が奉公先から帰ってくるという前夜、

熊と女房は寝床に入ったもののなかなか寝つかれない。

奉公に出た子供は数年たってやっと、盆と正月の二度の

藪入りのときだけ家に帰れるという時代だから無理もない。

とくに父親の熊は寝るどころではない。

子供の好きな食べ物をいくつも並べたて、

女房にあれもつくってやれ、これも買ってこいとうるさいのなんの。

食べ物のリクエストがすんでもまだ夜が明けないから、

今度は息子と一緒に出かける場所を選びだす。

近所の挨拶回りから始めて、品川、横浜、鎌倉、はては伊勢参りまで。

それでも、まだ夜が明けない。

今から飯を炊けだの、湯へ連れていこうだの夜っぴいて

話をしているうちにようやく朝。

熊はふだんしたこともない家の前の掃除を始め、そわそわと待ちきれない様子。

そこへ、息子の亀が帰ってきた。

「ごぶさたをいたしました。ご機嫌よろしゅうございます」

と、やたらと行儀のよくなった息子に、熊はびっくりして口がきけない。

そのうち、何を思ったかカゼをひいたときに、息子からもらった便りのことを話しだし、

あのときはうれしかったと一人で感きわまって泣きだしてしまった。

涙で目が開けられなくて、子供の姿が見えないとくる。

やっと顔をあげて、「おお、ぐーんと大きくなって俺の倍はある」

「おとっつあんが座ってるんだ」と、どうしようもない親バカぶり。

やっと息子を湯へいかせ、女房とあれこれ話していると、突然、

女房がすっとんきょうな声をあげた。息子の紙入れの中に大金を見つけたのだ。

小遣いにしては多すぎるから、二人は心配になってきた。

ひょっとしたら店の金に手を付けたんじゃないだろうか。

湯から帰ってきた息子を熊が問い詰めると、

悪い病気がはやっているから、ネズミを捕まえては番所へ届けていた。

そのうちにほうびの懸賞に当たり賞金をもらった。

とりあえず店の主人に預け、藪入りだから親に渡してこいと言われたのだという話。

熊も女房もほっと胸をなでおろす。「まあ、そうかえ。ごらんなお前さん」

「何を言ってやがる。てめえが変なことを言うから俺だって。
 
 へえ、ネズミの懸賞でとったのか。うまくやりゃあがったな。

 これからもご主人を大切にしなよ。これもやっぱり忠(チュー)のおかげだ」

                    立川志の輔   古典落語100席引用

けんしょう、あたりたいものだな。(*’_`*)



うまくても、うめぇーでも、うみゃーでもそら・あかね

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