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お酒のお供Y・・・142

2015-04-18 13:54:22 | 日記

火事息子

神田の大きな質屋・伊勢屋。

町内に火事があり、火の粉が飛んでくるので

主人と番頭が蔵の窓に目塗りをしていた。

番頭が二階の折れ釘につかまり、

主人が下からこねた土を投げあげるが、なかなかうまくいかない。

そのうち屋根づたいに火消し屋敷の人足・臥煙がやってきた。

いれずみを全面彫りにした体、ふんどしに腹巻、

濡れた法被を腰に巻き、じつに威勢がいい。

まごまごしている番頭の前掛けの紐を折れ釘に結び、

両手で目塗りができるようにしてくれた。

じつはこの臥煙、火消しになりたい一心で家を飛び出して勘当された若旦那。

番頭は気づいたが、軒下の大旦那はただの臥煙が手伝ってくれたと思っている。

ようようの思いで火事もおさまった。

店の中は火事見舞いの客でごったがえし、大旦那は接待に忙しい。

大旦那の前へやってきた番頭は、目塗りを手伝った臥煙を引き止めていると言う。

大旦那は「そうそう、世話になったお礼をしなくてはね」と言うが、

番頭はなんとなく会わせたくない様子。

けげんに思ってたずねると、臥煙は息子だという

(番頭がしきりに会わせようとする演出もある)。

大旦那はびっくり。今度は逆に勘当した以上、

他人だから会うわけにはいかないと言いだした。

だが、大旦那の本心を知っている番頭が、

「他人だからこそきちんとお礼しなくちゃいけません」

番頭の機転で親子は五年ぶりの対面。大旦那に呼ばれて母親もやってきた。

父親は勘当した意地もあるし、全身に刺青を彫った息子が情けないのか他人行儀で、

いきなり小言を言ったりするが、母親は「おやまあ、よくきた」と

手放しの喜びよう。法被一枚の息子に着物をやろうと言いだした。

しかし大旦那はうんと言わない。家にある息子の着物が気になるのなら、捨てろと言う。

「捨てるくらいなら、やってくださいな」と母親が言うが、

これも正面できって「やる」とは言えない大旦那の苦肉の策。

小遣いもつけて捨てれば、拾っていくという思いやりだ。

納得した母親は千両箱もつけようと大はしゃぎ。

あげくに着物は黒羽二重の紋付、仙台平の袴をはかせ、脇差を差させて、

供の者も一人つけてやりたいと大旦那にねだった。

いくらなんでもと思った大旦那が、「いったいどこへやる気だい」

「だって、火事のおかげで会えましたから、火元に礼にやりましょう」

                 立川志の輔   古典落語100席引用


たぶん、ひのもとにはちゅういしましょう。(*’_`)



ぷりっ、プリッ、ぷるる@ん、ぷりっ、そら・あかね

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