後輩君から借りた分厚い原作本を読み終える前に映画を観てきました
天才的な操縦技術を持ちながらも帝国海軍一の臆病者と呼ばれた宮部久蔵が何故
自ら特攻を志願したのか
2004年の現代 司法浪人を何年も続けていくうちに人生の目標を見失いつつあった佐伯健太郎は
祖母松乃の葬儀で祖父とは血のつながりがないことを知らされます
血縁上の祖父の名は宮部久蔵
フリージャーナリストの姉の手伝いで宮部のことを調べることになりました
かつての戦友たちに宮部のことを訪ねる度に海軍一の臆病者だったと聞かされる始末
調べを進めていくうちに
宮部が生きて帰りたいと強く願った理由は妻松乃と娘の清子だということがわかりました
では 何故 愛する家族を残して特攻を選んだのか
まだ年端も行かない少年飛行兵たちを特攻に送り出さなければならない現実が彼の心を追い詰めていったようです
特攻に向かう直前 最新型の零戦から乗りなれた旧式への交換をある少尉に持ちかけました
出撃後 宮部が戻ってくることはありませんでした
交換を持ちかけられた少尉の乗った最新型は途中でエンジントラブルを起こし喜界島へ不時着
偶然の出来事のように思われましたが 最新型飛行機には妻と娘の写真
そして 残された家族を頼むと云い残したメモが
終戦後 必死に彼の家族の行方を捜しあてた大石少尉は
メモと写真を松乃へ返します
その少尉はこれまで本当の祖父と信じていた大石 賢一郎でした
こんな風にまとめてしまうと凄く薄っぺらくなってしまいますが
突然命を奪われる不合理さ、悲惨さ 愛する者を奪われ、残された者の悲しみ
戦争は決して起こしてはならないのだと改めて強く思いました
そして 常に死と隣り合わせの状況にあっても愛する人の幸せを願い
後輩に戦後の日本の将来を託していった宮部の生きざま 凄すぎます
彼には敵うはずもないけれど
背筋をピンと伸ばして生きていかなきゃと思います
当然 映画の間中ボロボロ泣いていましたが
満員の席には中学生高校生たちも多くいて隣の男の子たちもグスグスやってました
きっと みんな何かを感じたはず
エンドで流れたサザンオールスターズの「蛍」にまた泣かされました
鹿児島のアミュ広場でこの映画の撮影に使われた零戦が展示してありました