小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(12)CG
すると美保は驚いて姿勢を正した。そして車を下りると声にならないような声で言うと頭を下げた。
「はい、遠いところお疲れ様。初めまして京平の母の良江です。疲れたでしょう。どうぞ。京平、美しい方ね。勿体ないわね貴方には」。
美保は玄関の明かりの下で真っ赤になっていた。そして、そっと私の手を取った。私は荷物を車から出すと肩を抱いて家に入った。
すると父が玄関に立っていた。
「お帰り、美保さんだったかな、良く来てくれました。どうぞ」。
「はい。初めまして、立花美保です。宜しくお願いします」。
美保はもうガチガチに緊張していた。
「美保さん、そんなに堅くならないでもっと気を楽にして、さあ寒いから早く入りなさい。京平」。
美保は突っ張って肩を抱いて押すと転びそうになっていた。
リビングに行くと暖房が入れられ、暖かかった。「今日はいつになく冷えてね、東京のお客さんが何組か泊まっているんだが寒さに驚いていたよ。ところで美保さん、本当に京平と一緒になってくれるのかね」。
「はい、私からお願いしたんです。お嫁さんにして下さいって。離婚したお話は全部聞きました。私一生懸命頑張りますから京平さんとの結婚を許して下さい。お願いです」。と床に両手を着いて両親に頼んでいた。すると、父は美保の手を持つと椅子に座らせた。
「美保さん、私達こそ宜しくお願いします。この通りです」。
父は美保に頭を下げた。すると母はお茶を入れにキッチンへ立った。
「はい、京平さん許して貰えた。嬉しい、どうしよう」。美保は大粒の涙をポロポロと流しながら笑っていた。
「京平さんったら嘘ばっかり、小さいペンションだなんて言って。こんなに大きいじゃない」。
「だってさ、大きくてシーズンに入ったら忙しくて大変だなんて言えないだろ」。すると美保はガンロッカーを見付けて見ていた。
「ねえ、あれは本物なの?・・・」
「本物だよ。父さんも自分も猟をするんだ。あれは強化ガラスで出来ていてね、ライフルの弾も通さないよ。時期が来たら一緒にキジを撃ちに行こうか」。
「美保さん、京平は大学の時にライフルクラブでね、国体にも出ているんですよ。ライフルの腕は私よりづっと上だ」。
「へ~っ凄いだね、お義父さん、京平さんったらそんな事ちっとも話してくれないんですよ。驚かされる事ばっかり」。
「そうかね、じゃあ今夜はもう遅いからゆっくり湯に浸かって休みなさい」。
「はい、本当に有り難うございました。宜しくお願いします」。
父と母はニッコリ頷いていた。私は美保を連れて自分の部屋に行った。そしてパジャマに着替えると風呂に入った。
「え~っ、此れって温泉じゃない」。
「うん、近くに源泉が涌いていてね、そこから引いているんだ。各部屋に風呂があって全部温泉だよ。地下にも露天風の風呂があって、明日見せてやるよ」。
「うん、でも凄いね。ペンションで温泉なんて。じゃあシーズンには忙しいんでしょうね」。
「まあね、最近じゃお年寄りも温泉のあるペンションはナウイとか言ってさ、随分増えてオフでも来てくれるようになったんだ。孰は継ぐ事になるけど、美保は大丈夫だよな」?
「うん。そうなったら私一生懸命頑張って仕事覚えるから。私幸せです。あんなに優しいお父さんやお母さんがいて嬉しい」。
ゆっくり温泉で身体を暖めてベッドに入った。昨日と今日の運転で疲れたのか、私は直ぐに眠ってしまった。
そして翌朝、起きると横には美保はいなかった。着替えて下に降りるとエプロン姿で従業員に交じって客の朝食の手伝いをしていた。
「京平さん、お早よう。どう似合うでしょう」。
「ああ。チーフ、皆さん、嫁さん宜しくね」。
「はいはい、またこんな奇麗な奥さん連れて来て。坊ちゃんも隅に置けないですね。手伝って貰えて助かっていますよ。奥さん、有り難うございます。こっちはもう結構ですから、旦那様の食事の用意をしてあげて下さい」。
「はいチーフ、ではそうさせて戴きます」。
「父さん達はもう食事は済んだの」?
「うん、もう食事を済ませてお客様のお相手をしています」。
「美保、もう今日からでも若女将ができそうだね」。
NO-12-24
すると美保は驚いて姿勢を正した。そして車を下りると声にならないような声で言うと頭を下げた。
「はい、遠いところお疲れ様。初めまして京平の母の良江です。疲れたでしょう。どうぞ。京平、美しい方ね。勿体ないわね貴方には」。
美保は玄関の明かりの下で真っ赤になっていた。そして、そっと私の手を取った。私は荷物を車から出すと肩を抱いて家に入った。
すると父が玄関に立っていた。
「お帰り、美保さんだったかな、良く来てくれました。どうぞ」。
「はい。初めまして、立花美保です。宜しくお願いします」。
美保はもうガチガチに緊張していた。
「美保さん、そんなに堅くならないでもっと気を楽にして、さあ寒いから早く入りなさい。京平」。
美保は突っ張って肩を抱いて押すと転びそうになっていた。
リビングに行くと暖房が入れられ、暖かかった。「今日はいつになく冷えてね、東京のお客さんが何組か泊まっているんだが寒さに驚いていたよ。ところで美保さん、本当に京平と一緒になってくれるのかね」。
「はい、私からお願いしたんです。お嫁さんにして下さいって。離婚したお話は全部聞きました。私一生懸命頑張りますから京平さんとの結婚を許して下さい。お願いです」。と床に両手を着いて両親に頼んでいた。すると、父は美保の手を持つと椅子に座らせた。
「美保さん、私達こそ宜しくお願いします。この通りです」。
父は美保に頭を下げた。すると母はお茶を入れにキッチンへ立った。
「はい、京平さん許して貰えた。嬉しい、どうしよう」。美保は大粒の涙をポロポロと流しながら笑っていた。
「京平さんったら嘘ばっかり、小さいペンションだなんて言って。こんなに大きいじゃない」。
「だってさ、大きくてシーズンに入ったら忙しくて大変だなんて言えないだろ」。すると美保はガンロッカーを見付けて見ていた。
「ねえ、あれは本物なの?・・・」
「本物だよ。父さんも自分も猟をするんだ。あれは強化ガラスで出来ていてね、ライフルの弾も通さないよ。時期が来たら一緒にキジを撃ちに行こうか」。
「美保さん、京平は大学の時にライフルクラブでね、国体にも出ているんですよ。ライフルの腕は私よりづっと上だ」。
「へ~っ凄いだね、お義父さん、京平さんったらそんな事ちっとも話してくれないんですよ。驚かされる事ばっかり」。
「そうかね、じゃあ今夜はもう遅いからゆっくり湯に浸かって休みなさい」。
「はい、本当に有り難うございました。宜しくお願いします」。
父と母はニッコリ頷いていた。私は美保を連れて自分の部屋に行った。そしてパジャマに着替えると風呂に入った。
「え~っ、此れって温泉じゃない」。
「うん、近くに源泉が涌いていてね、そこから引いているんだ。各部屋に風呂があって全部温泉だよ。地下にも露天風の風呂があって、明日見せてやるよ」。
「うん、でも凄いね。ペンションで温泉なんて。じゃあシーズンには忙しいんでしょうね」。
「まあね、最近じゃお年寄りも温泉のあるペンションはナウイとか言ってさ、随分増えてオフでも来てくれるようになったんだ。孰は継ぐ事になるけど、美保は大丈夫だよな」?
「うん。そうなったら私一生懸命頑張って仕事覚えるから。私幸せです。あんなに優しいお父さんやお母さんがいて嬉しい」。
ゆっくり温泉で身体を暖めてベッドに入った。昨日と今日の運転で疲れたのか、私は直ぐに眠ってしまった。
そして翌朝、起きると横には美保はいなかった。着替えて下に降りるとエプロン姿で従業員に交じって客の朝食の手伝いをしていた。
「京平さん、お早よう。どう似合うでしょう」。
「ああ。チーフ、皆さん、嫁さん宜しくね」。
「はいはい、またこんな奇麗な奥さん連れて来て。坊ちゃんも隅に置けないですね。手伝って貰えて助かっていますよ。奥さん、有り難うございます。こっちはもう結構ですから、旦那様の食事の用意をしてあげて下さい」。
「はいチーフ、ではそうさせて戴きます」。
「父さん達はもう食事は済んだの」?
「うん、もう食事を済ませてお客様のお相手をしています」。
「美保、もう今日からでも若女将ができそうだね」。
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