生命保険大手の第一生命が毎年募集している「サラリーマン川柳」。今年の募集期間は9月17日から10月31日までで、1位に入選すると賞品として(タラバ・ズワイ・毛ガニが詰め合わせとなった)特製「かに三昧」セットがもらえるということです。
毎年かなり話題になるコンクールにもかかわらず、1等賞品が「蟹セット」というのは何とも(サラリーマン)「らしい」感じですが、毎5万件を超える応募があることからもその人気ぶりがわかります。
因みに、応募総数が6万6,949句となった昨年(2023年)の栄えある1等賞は、「増えるのは 税と贅肉 減る贅沢」というもの。第2位は「物価高 見ざる買わざる 店行かず」という内容で、いずれも折からの物価高や税負担に疲弊するサラリーマンの生活を描いたものでした。
国税庁の『民間給与実態統計調査(2022)』によれば、1年を通じて勤務したサラリーマン(給与所得者)の平均給与・手当額は368万5,000円とのこと。月々の給与額を単純計算すると、(ボーナス分も含めて)30万7,000円ほどになりますが、これが「手取り」となると23万円程度にまで減ってしまうのが現実です。
稼いでも稼いでも、所得税やら地方税やら社会保険料やらで2割から3割も持っていかれては、諸物価高騰の折、(川柳のとおり)贅沢などをしている余裕はないのが実態でしょう。「新NISA」や「iDeCo」などを使った資産形成が鳴り物入りで奨励される昨今の日本ですが、サラリーマンへのしわ寄せが顕著なこうした状況では、政府の目論見の達成にはまだまだ時間がかかるかもしれません。
そうした折、9月30日の金融情報サイト「THE GOLD ONLINE」が、お金のソムリエ協会会長の坂下仁氏の近著『新版いますぐ妻を社長にしなさい』(フォレスト出版)を踏まえ、「サラリーマンのままではお金持ちになれないワケ」と題する記事を掲載しているので、参考までに内容を紹介しておきたいと思います。
何故、サラリーマンは「お金持ち」になれないのか。坂下氏はそのもっとも大きな理由として、法人(資本家)は節税できるが、個人(サラリーマン)は節税できないことを挙げています。
例えば、課税所得が330万円超の人の実質的な(公的)負担率は60%に及ぶと氏は説明しています。整理すると、従業員が負担する社会保険料は(15%だと思われがちだが)労使折半する建前で給料を逆算するので実質負担は30%。これに、所得税20%、住民税10%を加えると、20+10+30で=60%になるということです。
これは、(見方を変えれば)手取り400万円のサラリーマンは、本来、1,000万円の収入があったということ。給与明細に載らないので、多くの人はそこに気づかない。財務省によると、2020~2023年の潜在的国民負担率(税金+社会保険料)の平均値は6割弱とされているが、なるほどつじつまが合うというのが氏の指摘するところです。
一方、サラリーマンと好対照なのが法人(資本家)の取り扱い。日本の法人の99%以上を占める中小法人の実効税率は約20%なので、1,000万円の収入があれば、手取りはおよそ800万円になると氏は言います。稼ぎが同じ1,000万円でも、資本家は(手取りが)800万円。サラリーマンは400万円なので、2倍も差がついているということです。
サラリーマンから見ればかなり理不尽に見える内容だが、資本主義社会とは(あくまで)「資本家のための」社会。なので、社会の仕組みも法律も資本家に有利になっていて、そこは簡単には変えられないというのが氏の見解です。
と、いうわけで、トマ・ピケティも言うように「資本による富のほうが、労働による富よりも増える」という不等式「r>g」が日本でも成り立っている。では、どうするか。社会や法律を変えられない以上、自分が変わるしかないと氏はここで断じています。
割を食うサラリーマンが嫌なら、自分が資本家に変わればいい。「資本家になれるのはお金持ちだけ」「自分にはムリ」といった常識は捨てて、まずは資本家の仲間入りを果たすこと。なぜなら、お金持ちが資本家になるのではなく、資本家がお金持ちになるからだというのが氏の見解です。
氏はここで、世のサラリーマン諸氏に向けて具体的な提案をしています。それは、夫は個人(サラリーマン)のまま妻が法人(資本家)になるというもの。夫はサラリーマンを続けながら、夫婦でプライベートカンパニー(自分法人)をつくり、妻に社長に就いてもらうというものです。
何も気圧される必要はない。プライベートカンパニーは3時間もあれば誰でもつくれると氏は話しています。あとは、それを妻が所有するだけ。すると、サラリーマンでは考えられないような節税が可能になるということです。
「人生100年時代」と呼ばれる長寿社会においては、誰もが100歳まで生きることを前提に人生設計をしなければならない。職を探す65歳以上の高齢者がこの10年で倍増する中、何か事業を見つけて妻社長メソッドを実行できれば、収入の道は途絶えないと氏は言います。
さらに、法人所有(名義)の財産には相続税がかからないので、自分が死んでも周囲が困ることはないし手続きに面倒もない。(夫婦仲さえ問題なければの話ですが)妻を社長に法人を設立するのには、こうした様々なメリットあるということです。
例えば、役職定年や定年退職をひとつのタイミングとして法人を作れば、貴方も「資本家」の仲間入り。労働者として搾取されるばかりではない新しい人生が開けるかもしれないと思えば、夢も広がるというものです。
前出の「サラリーマン川柳」の15位に、「『どう生きる』 AIに聞く我が老後」という句がありましたが、(この際)会社が決めた「定年」や「老後」に見切りをつけて、生涯現役として生きるのも「あり」なのではないかと記事を読んで私も改めて感じたところです。
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