宮城の作家希望

作品など

#3思い出

2020-09-08 11:35:00 | 小説
私が床にしゃがんで泣き崩れているとナタリーが冷めた朝食を温め直してテーブルに置いていた。彼女もメイドだったが他の者とは違い魔法に付いて問題が有るとは言わず。
『ローレルロール様朝食で御座います』
彼女はしゃがみ込んだ私よりも更に姿勢を
低くして床に額を付ける状態で告げた。

私は慌てて立ち上がり彼女にも立つ様に言うと
『もうその様なお姿をしないで下さい妹が見たら切り刻んでゴミ箱行きです』
妹、そうね!

あっと説明しないとね、ナタリーは女神王妃様が来られてから与えられた新しいメイドで彼女には双子のナターシャと言う妹がいる顔立ちは整いお人形の様な美しい黒髪の私よりも少し年上らしい。

『朝食が冷めてしまいす』
見惚れてボーと立ちつくす私を促した。
『お美しいですよ姫様あとで髪をすきましょう』そう囁き肩を抱いて優しくイスへとエスコートする。

髪は少し伸ばしている、動き易くショートしようかと思ったがグランデシアに嫁いだ女神ナーガに代わって女王と成ったエレナレナ様が長い方が似合うと言うからセミロングにしている。
あっ様づけだと怒られるかな。ウーンココだけなら。

『美味しいですか』
私がにやけていると彼女が口を挟んできた。
『この前森に行った時の事思い出して』

この前とは、ここに来る数ヶ月前の事だった。
私はまだ新女王が治る海洋国ナーガにいた。
その時のエレナレナはまだ正式には違ったがほぼ間違いなくそうなるだろうと思われた。

『キャー』
目の前に現れた魔物に悲鳴をあげた。
『何してるのガードしなさい』
エレナレナは手短に指示を出す。
ガードとは言っても私が出来るのは魔力押し出すだけだった。
『まあっそんな所ね、』『姫にはロングが似合うわね』
後の方は小さく呟く様に言っていたのが印象的だった。

魔物はあっと言う間に彼女が退治していた。名目は私の授業なのだが殆ど彼女が退治してくれた。
『姫は守られる者です』
一緒にいたナタリーは当然とばかりに微笑み
ナターシャは呆れてそっぽを向いた。