宮城の作家希望

作品など

#9怪しい婚約者

2020-09-14 11:38:00 | 小説
『お目覚めですか』
目が覚めるとナタリーが声をかけた。私は黒い長椅子で寝ていた、毛布を一枚掛けられた状態で『お部屋にお運びしようと思いましたが重くて申し訳ありません』
詫びる彼女に『いいわよママは』の問いに、

父が戻ると急いで二人は別の部屋に移動したと言う。
私が事のあらましを聞いたのは夕食の前の事。
二人の婚約者候補が現れた事を知ったのは、その後両親の仲は更に良くなり一緒にいる事が多くなった父は青ざめママは目付きが鋭くなった気がする。

翌日には私の部屋が花で飾られた。
『可愛らしい姫にはこれくらいが相応だ』
花は転移の魔法陣で自国から取り寄せている。
魔法陣は登録を済ませれば問題なく使用出来る。隣では仮面魔導師のエレガが笑っている様な気がする、顔は分からないが。

エレガは席に着く時イスを引いたりドアを開けてくれたり段差では手を引いてくれる心遣いの出来る方で二人ともとても良い方です。私はすっかり陶酔しています。
ただジラート王子が私の肩に触れた時にエレガは不愉快な表情をした気がする、顔は見えないのに私には感じられる。

天空の民ロトを誰も知らないと言うがエレガはそこから来たと言うし、ジラート王子とも仲が良い。殆ど話しをしないが心は通じている気がする。
どこかで会っている様な気さえするのだった。