宮城の作家希望

作品など

#4女神ナーガ

2020-09-09 12:05:00 | 小説
朝食を終え廊下を歩いていると手前のドアが開き貴族達が出てきた。彼等はこちらに気付くも無言で歩き出す。
『何ですか、あなた方は王女の前を無言で通り過ぎるのですか』
後から出て来た女神ナーガが指摘され、イヤイヤ挨拶を
『何ですか、それわ』
貴族達はうやうやしく姿勢正し深々と頭を下げ挨拶して私が答えるまでその姿勢を続けた。

これが王妃と言うものかと感心していると
『疲れましたかもう昼近くですよ』
抱き締めるとそう囁いた。
女神はすぐに踵を返すと行ってしまった。
『すみません』
振り返ると笑って首を横に振った。
『良いのよ疲れているのだから』

そう私は疲れていた。
ナーガ国では前日まで訓練をしていて、こちらの事知ったのは、ーー新王妃のお披露目の日ーー数時間前の事。私達は慌ててゲート魔法の準備をして駆けつけた。私達は転移の魔法が使えないからゲートの魔法陣を用意しないといけなかった。

そんなこんなで来たから、旅衣装のまま城に来てしまった。結果は、ご想像の通り。
それでも『ありがとう』と労いの言葉を今も笑っていらっしゃる。
涙かこぼれ落ちた。

再び私を抱き締めると
『一緒に、お茶をしましょう』
突然そんな提案を