12・8・19
重要課題 その2
東京ドームが開設されて間もないころ、
巨人対ヤクルト戦のチケットを一枚貰った。
アンチジャイアンツの私が一塁側内野席、
桑田が投げて古田がホームランを打ったのは覚えているが、
どっちが勝ったか負けたか覚えがない。
引っ切り無しに来るビールの売り子が気になった。
私の席の右下あたりに可愛い仕草のビールの売り娘がいる。
その娘は殆ど移動しないで次から次とビールを売っている。
お金を受け取りお釣りを手渡す、
帽子のつばにちょっと手を添え、
右足を心持引いて軽く会釈する。
もう次のお客が待っている。
一方、ビール如何ですか、ビール如何ですかと元気よく売り歩く、
買いそうなそぶりを見逃すまいとして真剣に売り歩く。
あの可愛らしい仕草の女の子が10回売るうちに他の売り子はどのぐらい売るのだろうと、
カウントした。
だいたいが10対2、偶に10対3がある程度で
圧倒的にその子の売り上げが勝っている。
10対2、10対3の差は
販売技術だけでは説明がつかない
何かあるような気がした。
もしかすると、もしかするとこんなことかな、
と仮説を昨日思いついた。
ビールのデリバリーを通じて売り娘の意識、思い、
強いて言えば野球を楽しんで下さいませ、
と云う思いでお客に係って居る。
それに対して10対2の2の方は、
買いそうなお客を早く見つけよう、
一度見つけると早く終わらせて次のお客を探そう…。
ビールを買ったお客に対する思いは皆無、
五重塔の朗円上人の徳と通じるものがありはしないか、
17ページ最初の行に
「中ごろ六十四余州に雲水の修行を重ね…」
徳を積んだ朗円上人に人々は競って寄金を寄せている。
敢えて乱暴を承知で云えば、
人々に思い係ることを徳と云う。
大人になってから、東京ドームでは野球観戦とB’Zのライブで足を運んでます