1 雨の日の機関車。急に走ろうというパワーを掛けると、レールと車輪がスリップしてしま って上手に走れない。やはり少しずつ少しずつレールと車輪がマッチするように操作しな ければスムーズに走れない。 仕事をする時にこれと同じようなことが言えるのでは……。
2 人生は一箱のマッチ箱に似ている。重大に扱うのは莫迦莫迦しい。 重大に扱わなければ危険である。(芥川龍之介)
3 女学生―テニスラケット、浪人者ー咥え楊枝、荒くれ者ー半長靴、父親ー禿かつら、ダンサーー咥え煙草に繻子の支那服、刑事ー鳥打帽、教師ー眼鏡、というようにストリップ小屋では役割の小道具が決まっている。セーラー服や鞄がなくてもテニスラケットを持っていれば女学生と判断できる。
4 笑いとはどこかで残酷なもの。 ハムレット役者が恋に悩めば観客は同情の涙をこぼし、喜劇役者が恋の苦しみを演じれば観客は大笑いする。 二枚目だろうが、不細工な男だろうが、インテリだろうが、無教養な男だろうが、恋の苦しみに変わりはない。しかし、観客はみずぼらしい小男チャップリンの恋の悩みを笑う。 チビ、ハゲ、デブ、その他もろもろの、普通の人間なら恥ずかしい肉体欠陥を誇示しながら喜劇役者は演じ、観客は大笑いする。しかし、大笑いしながらも心のどこかで泣いている。ふと自分もこうではないのか、どこか似ているのではないだろうか、このように滑稽なのではないかと思い当たり、自分で自分を嘲笑いながら、悲しさに、無情さに涙ぐんだりもする。(渥美 清)
5 女優はドラマの中で自分をみせるのがすべて。だから結婚してもいい。子供を産んでもいい。その代わり、他人に分からないようこっそりやらなくては。役者が私生活をさらけ出したらもう役者じゃない。(和田 勉)