月岡芳年 月百姿
『卒塔婆の月』 (そとわ[ば]のつき)
明治十九年届
歩き疲れ 朽木に腰をかけて休んでいる小野小町
小野小町は、平安時代前期の歌人
生没年不詳
国立国会図書館デジタルコレクション 007
能楽「卒都婆小町」より
ところは摂津の国阿倍野 ときは九月
高野山の僧が道端の朽ちた卒都婆に腰をおろしている老婆を見て
ほかの場所で休むように諭し、卒都婆は仏体そのものであると
その功徳を説いて聞かせる。
ところが老婆は 僧の言葉に一つ一つ反論し
迷悟は心の問題で世界は本来無一物と気付けば
仏も衆生も隔りはないのだと論破するので 僧は恐れ入る 。
僧が老婆に名を尋ねると、老婆は「小野小町のなれの果てだ」 と
明かしました。 小町は美貌を誇った往時を懐かしみ
翻って老いを深めた今の境遇を嘆く様子を見せた後
狂乱状態となり 百夜通いのありさまを再現する。
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