~ 清玄の悲劇は偶然に桜姫の姿を見てしまったことから始まった ~
「清玄桜姫」
大蘇芳年画
「櫻姫全傳曙草紙」
春爛漫の新清水長谷寺の境内
清玄の眼が艶やかな桜姫の姿を捉えたその瞬間
『一陣の冷風さっと吹きおろして梢の花をちら、し清玄の身体にぞつと冷がつき抜ける』 と
清玄は深い恋の淵に陥ちてしまった。
一旦その美しさに魅せられてしまった心は、どう足掻いても取り戻しようがなく
かなわぬ想いは次第に募って執愛と化し 『我(われ)執着の一念にて
何処にありとも訪ね出しおもひをとげておくべきか』 と
寺を出るのですが、しまいには亡霊となってしまうのです。
芳年のこの絵、歌舞伎 「桜姫東文章」 からと思われますが
どこの場面を描いているのでしよう。襖に亡霊現る。
女郎に売られ「風鈴お姫」と呼ばていた頃の
桜姫なのかなぁ?
いずれにしてもこの物語も例によってドロドロですね。