松風は平安時代初期の女性
生没年未詳
松風・村雨姉妹と在原行平の伝承は謡曲「松風」の題材となった
文久3年(1863)出版 歌川豊国(国貞)絵
須磨松風(すまのまつかぜ)
在原行平(ありわらのゆきひら)卿が津の國須磨に左遷された時
潮汲む蜑(あま)の子の中に容優(すがたゆう)に艶(やさ)しく
志量(こころざし)も卑しからぬ女を見つけ
傍らに呼びよせ姉を松風、妹を村雨と呼ばせ
配処の徒然を慰めあういわれは
謡曲(うたい)で誰も知らないものはいない。
此の二人は元讃岐の國塩飽某(しあくなにがし)の娘だったが
継母に憎まれ此の國にさまよい来て
矢田辺郡(やたべごうり)田井の畑という里の
邑長(むらおさ)に使われていたと須磨の人は云い傳え
今も水鏡池に二人の蜑(あま)の墳(つか)が残っている
(柳亭種彦記)
支考の句に
『松風に 新酒をすます 夜寒かな』