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モーニングサテライト・ウォッチ

2017.3.17 Newsモーニングサテライト

2017年03月17日 14時56分14秒 | MS
■マーケット

NYダウ 反落
ビックイベントを通過して少しほっと一休みのムードもある中、原油価格が不安定で投資家を慎重にさせたようです。きのうのFOMCの結果からのドル安を受けて原油価格は高く始まったものの、依然高水準の原油在庫に対する警戒感は根強く価格は上下しました。原油価格は物価動向にも影響するため今後の金融政策を再び見通しにくくするのではとの不安の声も一部にはあるようです。ただ年内の利上げペースが維持されたことや指標も大きな失望がないなど、一段と売り込む動きも限定的でした。ダウは反落です15ドル安、2万934ドル。ナスダックは続伸0.7ポイント上昇、5,900。S&P500は反落3ポイントマイナス、2,381でした。続いて16日のセクター別騰落率です。きのうの反動で、金利の戻りを受けて、金融が上昇率トップ。一方、高利回りが売りの公益は1%以上の下落となりました。

【NY証券取引所中継】米 雇用動向調査を分析
解説は岡三証券NYの高野一真氏

--終わってみれば小動きでしたね。

経済指標が良好だったことや、欧州株の上昇を受けまして、朝方はしっかりの推移となっていたんですけれども、金利の上昇などから徐々に売り優勢となりまして、主要3指数は朝方以外は概ねマイナス圏での推移となりました。

--さて昨日のFOMCでも示された通り、雇用環境は引き続き良好のようですね。

1月の求人件数は562万4000件と、市場予想を上回りました高水準を維持しております。
(フリップ1:米1月求人件数(前月比))
・ 製造業 ↑2万2000人
・ 建設業   ↑7000人
・ 不動産 ↑6万7000人
・ 貿易・運輸  ↓4万7000人
・ 娯楽・レジャー↓2万2000人
産業別に見てみますと、製造業が3ヵ月連続で増加したほか、不動産や建設などでも求人が拡大しました。その一方で、貿易や運輸、娯楽・レジャーなどでは求人が減少しております。

--そのほかの特徴はありましたか。

(フリップ2:4ヵ月連続で改善)
1月に実際に雇用された人数は、544万人と4ヵ月連続で改善しまして、2016年2月以来の水準となりました。
 
(フリップ3:金融危機前の水準を回復)
また1月は自発的に会社を辞めた人の割合を示す離職率が先月より0.1ポイント改善しまして、金融危機前の水準を回復しております。労働者がより良い仕事を見つけることができるという確信が強くなっていることが示されていると思います。



【NY証券取引所中継】IT株上昇 バブルの可能性は?
解説は岡三証券NYの高野一真氏

--イベントを終えて、一服ムードという感じでしたかね。

そうですね。経済指標が良好だったことや、それから欧州株の上昇を受けまして、朝方に関してはしっかりの推移となったんですけれども、金利の上昇などから徐々に売りが優勢となりまして、主要3指数は朝方以外は概ねマイナス圏での推移となっております。

--さて足下でITバブルのような状況になっているようですね。

(フリップ1:高値に接近)
半導体やソフトウェア企業などから構成されるS&P500情報技術株指数という指数があるんですけれども、2000年の高値に接近してきております。現在の水準はおよそ900で、2000年3月の高値988.49に迫ってきております。

(フリップ2:バブル期の過熱感なし)
ただ、バブルの時と決定的に違うのは、株価の割高・割安を見る株価収益率(予想PER)ですけれども、コチラ現在は18倍程度とS&P500指数全体を下回り、バブル期のような過熱感はありません。

--つまりこれは実態が伴っているということですよね。

はい、業績が好調となっております。情報技術セクターの去年2016年10-12月期決算は、売上高、利益ともに伸び率が全11セクターでトップとなっています。また実際の利益が市場予想を上回った割合は89%と、かなりポジティブ・サプライズ感の強い結果となっています。

--気になるのは先行きなんですけど、どうでしょうか。

市場では引き続き増収増益が期待されています。その理由の1つとしまして、世界的な設備投資の回復が挙げられます。
(フリップ3:プラス転換の見通し)
ある調査会社によれば、ITサービスやソフトウェアへの支出の伸びが加速しておりまして、世界のIT支出は今年プラスに転換する見通しです。最近では、気象情報を業績や顧客サービスに応用したり、またプロスポーツの分野での活用など、クラウドデータ分析の応用範囲が広がってきておりまして、新しい需要が出てきていることなども業界には追い風となっているようです。
 

【為替見通し】注目ポイントは「ドル円の上値の重さ」
解説はみずほ銀行NYの日野景介氏
 
--まずはNY市場を振り返っていかがでしょうか。

FOMC後の流れも一巡し、小幅な値動きにとどまりました。ロンドン引けにかけては下値を探る展開となり、113円割れまで下落しましたが、本日の安値を更新するほどの力強さはなく、113円台前半で動意なく推移しております。

--今日の予想レンジは、112.65円~113.65円です。

今週の注目イベントのFOMC、予算方針、日銀金融政策決定会合をこなし、これまで同様のレンジ取引になりそうです。

--注目ポイントは「ドル円の上値の重さ」です。

2月中旬以降、FOMCに向け、FRB高官によるタカ派発言が相次ぎ、米金利は上昇してきましたが、それとは対照的にドル高は進まず、ドル円は112円~115円を中心としたレンジ取引にとどまりました。一方、FOMCで緩やかな利上げペースが維持されると、利上げペースの加速を期待していたドル買いポジションが解消され、ドル全面安の展開となり、金利上昇・ドル買い局面でも上がれなかったというのは、むしろ115円台の上値の重たさを強調する形となりました。

--これは何が上値を重くしているんでしょうか。

やはり為替市場では、トランプ大統領の保護主義やドル高懸念、またヨーロッパの政治リスクが重くのしかかっている印象です。そのため今後も1月以降のレンジ、112円~115円を中心に上値重く推移しそうです。
 
【日本株見通し】注目ポイントは「FOMC後の米長期金利」
解説は野村証券の若生寿一氏
 
--今日の予想レンジは、19450円~19700円です。

ニューヨークはほぼ横ばい圏、ドル円は113円台前半ということで、先物は今ご紹介いただいた通り、ちょっと下がってますので、やや下げて始まるのかなと思います。ただこのところ25日移動平均というのが下値として意識されていて、昨日時点で19389円といういことで、そこまで行くことは無くて、下値は限定的なのかなと思っています。そのあと3月期末の配当取りなどもあって、反発すると思ってますが、3連休前のポジション調整、為替の動き、こういったところにも注意したいところです。

--日経平均は昨日、円高にもかかわらず、底堅かったですよね。

そうですね。FOMCに対してマーケットはハト派的と受け止めたみたいなんですが、声明文の表現やイエレン議長の記者会見からは、FRBがアメリカ景気への自信を深めていて、雇用の最大化とインフレ安定というFRBの2つの使命の達成を視野に入れてきたことが伺えます。こうした状況は、日本の景気や企業業績には基本的にプラスだと言えます。

--注目ポイントは「FOMC後の米長期金利」です。

(フリップ:日経平均、再上昇なるか)
今後、FRBの利上げ見通しに沿って、マーケットのアメリカ景気への信頼感を強めていけるかどうかという点で、長期金利に注目しています。アメリカの長期金利と日経平均、これまでも何度か指摘させていただいているんですが、大まかに連動しています。10年債の利回りはFOMCの後は一旦低下したんですが、昨日のニューヨークでは反発してます。これはアメリカ景気への信頼感から、長期金利上昇という形になっていくのであれば、日経平均も再上昇が期待しやすくなってくるというふうに考えられます。


■【プロの眼】設備投資がけん引役へ
設備投資の先行指標である工作機械受注の回復が鮮明になってきた。昨年10~12月期のGDP統計でも消費が停滞する中で設備投資は2.0%と回復傾向を強めている。輸出と並んで景気のけん引役に浮上しつつある。工作機械受注の動向と東証機械株指数には明確な相関性があり、具体的な注目業種は工作機械株はもちろん建設機械、産業用機械、ベアリングなどすそ野は広い。解説は三菱UFJモルガンスタンレー証券の藤戸則弘氏。
 
--藤戸さんが重視している投資術を今日は教えていただきたいと思います。まず設備投資がけん引役というのは、いつも仰っていますよね。

(フリップ1:回復が鮮明に)
「これはもうハッキリ見ていただく通り、今日はひどい状況でした。内需も外需も悪くて、特に外需はアイフォンが売れ行きが(年前半)悪かった。ということもあって、外需も落ち込んでいて、内需も最初は良かったんですけど、円高もあって、企業経営者がぜんぶ設備投資を先送りしてしまった。それでこういう谷を作っていたわけですね。ところがこれを見ていただく通り、去年の11月、12月~2月とプラス圏に前年比で浮上してきた。なおかつ外需は12.1%、2月に伸びているんです。これは明らかに今年のアイフォンの新型とか、あるいは中国の自動車減税による自動車、あるいは半導体といったところで、東アジア勢の需要がものすごく拡大してきている。まさにここからゼロラインを抜けて、これから良くなっていきますねという、これが工作機械受注で出ているんですけど、去年の10-12月期のGDP統計でも、消費はもう横ばいなんですが、この設備投資がこれから主役になっていくということだと思うんですね。」

--では景気のけん引役になるという状況をどういうふうに投資に活用したらいいのか、タイミングも非常に重要なんだそうですね。

(フリップ2:受注が株価を左右)
「そうですね。実践株式投資みたいですけどね。先ほど見ていただいた通り、工作機械の受注なんですけど、この辺り(緑の棒グラフ①)でどんどんマイナスだったのが少しづつ底が入ったなという感じになります。その状況になると実は株(黄色の折れ線グラフ)はもう底打ちして、上がっていくんですよ。つまりこの中では大減益とか、赤字の中で、既にこの機械株は上がっていくということなんですね。その次もポイントです。いよいよ先ほどと同じように、(②)前年比でプラスになってきましたということになると、さらに2段上げをやっていく。今度はフローベースの企業業績も良くなって、株価も非常に強いというのが、例えば前回の例で行くと、1年ぐらい続いている。今度は問題は、(③)山を作った後に今度は落ちてくる。要するに前年比で見ての鈍化が出てくると、株価はピークアウトするんです。実はこの時というのは、大黒字・割安、いい話しか全部ないという状況なんですが、実はピークが近し。そこから逆にいうと、どんどん落ちていくということなんですね。私もファンドマネージャーを長くやっていたんですけれども、すごくはまりやすい罠なんです。いい話しかないんですから。ところが株価は落ちてくるということなんですね。さて去年から今年の流れで見ていくと、(④)やっぱり去年もここで谷を作りました。というところで、既にもう上昇に転じているわけです。(⑤)そしていよいよ第2波動が出てくる。このプラス圏になりましたということを考えると、これから少なくとも1年以上は、私は設備投資関連の機械株を中心に上昇していくということだと思うんです。これで具体的なセクターを申し上げますと、工作機械はもちろんなんですけど、産業機械とか、建設機械とか、あるいはベアリングですね。ものすごくすそ野が広い。例えば、あとは電気セクターでいくと、ファナック、キーエンス、安川電機といった設備投資に関連する銘柄も、非常に強い動きになる。つまり今後は、企業業績もよくて、株価も上がっていくというのが、おそらく1年以上は続くのではないか。春相場以降の主役になると思います。」

 
■【中国NOWCAST】
今回の中国ウオッチャーはSMBC日興証券の平山広太氏です。ピックアップトピックは「債券も相互取引へ」「好スタートに潜む影」「エコカー時代の到来?」です。李克強首相は15日、全国人民代表大会の閉幕後に行われた記者会見で香港と中国本土の間で債券の相互取引の試みを年内に始めると明らかにしました。このタイミングでの表明について平山さんは、最近、欧米の金融機関が「債券インデックスに中国国債を採用予定」と相次いで発表したことが背景にあるとみています。
 
《今週のピックアップトピックス》
(1) 債権も相互取引へ
(2) 好スタートに潜む影
(3) エコカー時代の到来?

(1) 債権も相互取引へ
李克強首相は15日、全人代の閉幕後に行われた記者会見で、香港と中国本土の間で債権の相互取引の試みを年内に始めると明らかにしました。このタイミングでの表明について、平山さんは、「最近、欧米の金融機関が債券インデックスに中国国債を採用予定、と相次いで発表したことが背景にある。」、と見ています。

《SMBC日興証券/平山広太氏》
「海外の債券投資家は欧米の金融機関が作成している債券投資インデックスを、自分たちの運用のベンチマークとして使用しておりますので、そのベンチマークの中に入ってきた債権を一定程度やはり持つ、ポートフォリオの中に組み入れていくという必要性が生じてきます。ですから(中国債権が)このインデックスの中に入ってくること、イコール潜在的な需要が高まってくる。おそらく中国政府と欧米の金融機関との間で、そうした債権の相互取引についてある程度の合意があった。」

取引枠の上限など詳細は明らかになっていませんが、平山さんは、投資妙技はあるとみています。

(フリップ1:10年債の利回りは3%台半ば)
《平山氏》 「中国政府が非常に強いコントロールを為替相場に対して与えておりますので、為替のボラティリティが他の通貨に比べてかなり低い。中国の国債の利回りは、今のところ10年債の利回りで3%台半ばの水準でありますので、為替リスクが低くて、比較的高い金利水準がとれるということは、海外の債券投資家にとってはある程度魅力的。」

(2) 好スタートに潜む影
14日に発表された1-2月固定資産投資は8.9%増(前年比)。政府が掲げる6.5%の安定成長に向け、幸先のよいスタートを切ったかのようにみえますが、平山さんは、新規着工プロジェクト件数が一年前に比べ24%減り、2011年以来の大幅マイナスとなったことに懸念を示します。

(フリップ2:新規着工プロジェクト件数は大幅減少)
《平山氏》 「許可されて、お金が付いて、実際に工事を始めるまでということで、だいたい2四半期のラグ(遅延)がありますね。ですからざっくり言うと半年遅れる。(経済成長率目標の)6.5%というところに何とか着地していくためには、いま(景気が)良いからと言って、投資認可を遅らせていては、おそらく達成は難しくなります。ですからどこかのタイミングで、比較的おそらく早いタイミングで、インフラ投資の認可を進めていくだろうというふうに見ております。」


・ 「中国インフラ投資」について

--となると藤戸さん、またインフラ投資は出てくるということになりますね。

《三菱UFJモルガンスタンレー証券/藤戸則弘氏》
「ですからインフラという詩に絡んで、ものすごくコモディティ市場にインパクトが大きいんですね。中国は銅以下の非鉄金属は世界の消費量の半分前後ということなんです。インフラが伸びればそういうところも上がっていく。逆に落ちればそれが衰退していくという形なので、しかもインフラ投資をいうと、投機マネーがワーッと入ってくる。例えば原料炭は去年、安値70ドルが300ドルまで行って、今は150ドルなんですよ。従ってコモディティのマーケットを見るうえにおいて、中国のインフラを注意しないといけないということだと思います。」

--その影響を見るうえでは、資源国の通貨も心配になってくるということですね。
 

(3) エコカー時代の到来?
(フリップ3:エコカー販売台数)
13日付の経済観察網には、2月の売上高が突然逆転、「エコカーが着実に増加する時代の到来か」、との見出しです。2月のエコカー販売台数は1年前に比べ30。3%増加したんですが、先月のマイナス74.4%から急回復したことを伝える記事なんです。政府は補助金狙いで横行していた偽エコカーを排除するため、1月に審査基準を厳格化、それまでエコカーと認定していた2193車種すべてを対象リストから除外しました。

《平山氏》 「性能に目をつぶって、エコカーと申請されたものに対しては、何でもかんでも補助金を付けるような政策をやってきたんですけれども、正直このままやっていたんでは、とても国家財政は持ちませんし、真面目に作っているものだけを認定していくというふうに、方向を大きく変えたんだと思いますね」

1月23日、新たな審査基準をクリアー185車種が発表され、2月の販売台数の急回復につながりました。

《平山氏》 「わずかな車種の中で、これだけ大きく伸びたということは、やはりエコカーに対する(消費者の)期待感というのは相当大きいものがある。数が増えることによって、生産が効率化されていきますし、技術革新も進んでいく。そうなってくれば、中国が将来的にエコカーの分野で、世界の自動車マーケットをけん引していく可能性もある。」

--政府と消費者の期待に起業努力が追い付いていくかというところ、注目ですね。
 


■日経朝特急

東芝再建に公的資金案
経営再建中の東芝をめぐり、公的資金を使って支援しようという動きが出てきた。東芝が分離・売却する半導体事業の新会社「東芝メモリ」について、政府系の日本政策投資銀行が一部出資する検討に入った。経済産業省も官民ファンドの活用を模索する。東芝メモリの入札には、ライバルの韓国、台湾勢が関心を示していて、海外の技術流出を防ぐため、日本勢として一定の株式を確保する必要があると判断した。
 

日銀、長短期金利操作を維持「強力な緩和適切」
きのうの日銀金融政策決定会合で、日銀は長短期金利を低水準に誘導する金融緩和策を維持すると決定した。黒田総裁は「強力な金融緩和を推進することは適切だ」と述べ、物価2%目標達成へ手綱を緩めない姿勢を強調した。
 

サウジ、アジア重視鮮明
サウジアラビアがアジア重視の姿勢を鮮明にした。アジアを歴訪中のサウジアラビアのサルマン国王は、北京で中国の習近平国家主席と会談し、インフラ整備など経済分野で総額650億ドル(約7兆4000億円)の協力を進めることで合意した。国王はアジアの主要国から脱石油改革の支援を引き出す一方、安全保障の協力も拡大している。
 

■日刊モーサテジャーナル

米トランプ予算「優先順位まだ分からず」
トランプ大統領の発表した予算方針について、ワシントンポストが早くも分析している。
国防費を増やす一方で、教育、環境、外交など18機関以上と、ほかのほとんど全ての政府機関で予算を削減する内容だ。記事は、「1981年のレーガン大統領を彷彿とさせる野心的な政治資質の削減だとしつつも、トランプ大統領の優先順位が何か、まだ分からない。」、と慎重な見方である。というのも、この予算の背景が、何が何でも国防費を上げたいしわ寄せなのか、それとも純粋に赤字財政に配慮しているのか、はたまたその分野の官僚が嫌いなだけなのか、解釈できないという。
またニューヨークタイムズは、「あまりに急激な政府支出の削減を求めるもので、共和党議員ですら反対するだろう。」、と予想。「議会で承認される可能性は極めて低い」、と報じている。
 

FRBによる幸せの時代、WSJが疑問視(ウォールストリートジャーナル)
ウォールストリートジャーナルは社説で、「FRBは利上げしたのにハト派、慎重だった」、と指摘し、「投資家にとってこんなに幸せな時代をいつまで続けてくれるのだろうか」、と皮肉っている。記事は、今回、景気見通しが12月より楽観的になったわけではないことに注目。トランプ大統領が減税や規制緩和策などを打ち出す中、信じがたいことだ、とみている。
イエレン議長は会見で、トランプ大統領の政策に不透明感があると言っていたが、もし実際に経済成長が加速したら、FRBは焦って利上げしなければならなくなるだろう、と警戒をうながしている。
 

「外国企業の買収がやめられない」東芝問題の真の原因?(ニューヨークタイムズ)
掲載されているのは、扇子を片手に座るアメリカ人。実は彼らはアメリカの原発大手ウェスティングハウスの社員で、東芝による買収を祝福する2006年当時の様子だ。記事は、「東芝の経営危機を招いた根本的な理由は、福島原発事故でも、シェールオイルの台頭でもなく、失敗と分かっていても、外国企業の買収をやめられないという日本企業の体質だ。」、と厳しく指摘している。記事は、「日本企業は多額の資金を使って外国企業を買収して失敗して後悔することで有名である。」、と解説。例えば先月、キリンはブラジル事業をハイネケンに売却することを決めたが、買収額の5分の1以下になったと指摘している。記事は、「日本では国内経済が冷え込む中、企業の間で、外国企業の買収が残された道と思いがちであることや、社長が買収と言えば部下はどんなにコストが高くても成立させてしまう文化がある。」、という見方を掲載している。
 

・ 日刊モーサテジャーナル/アメリカが利上げ

--アメリカが利上げに踏み切りましたけれども、マーケットは好感するような状況だったんですよね。

《三菱UFJモルガンスタンレー証券/藤戸則弘氏》
「私は今回の利上げは、巧みの技だったと思います。というのは、1月辺りを思い出していただくと、利上げは6月で年2回と言う見通しだったんです。それを2月から利上げキャンペーンをして、そして今回は利上げをして、なおかつ3回の利上げなのに、株価は上がった。これは非常に巧みだと思いますね。ですからあとは、トランプ大統領の政策が出ていないので、出てきた時点ではまた追加もあるかもしれない。そういう点ではフリーハンドも確保したい。私は非常に評価できると思います。」

--そうですか。昨日FEDウォッチャーの鈴木さんも名パイロットだとイエレン議長のことを評価していましたね。
 

■今日の予定

16年10-12月期の資金循環統計速報
G20財務省・中央銀行総裁会議(~18日)
米3月ミシガン大学消費者信頼感指数
米2月鉱工業生産
米2月景気先行指数
 

■ニュース

ロス商務長官ら 「東芝の財政的安定は重要」
アメリカを訪れている世耕経済産業大臣は16日、ロス商務長官やペリー・エネルギー長官などとの会談で「東芝の財政的安定性は重要だ」との指摘を受けたことを明らかにしました。また世耕大臣は、アメリカ側から二国間の貿易協定を求められたかについては、「会談の詳細は差し控えたい」と述べ、明らかにしませんでした。
 
 
米 2月住宅着工 2ヵ月ぶり増加
アメリカの2月の住宅着工件数は2ヵ月ぶりのプラスとなりました。前の月と比べ3%増加し年換算128万8,000戸で市場予想も上回りました。例年に比べ暖冬だったことが影響したと見られます。一方、先行指標である住宅着工許可件数は6%減少し、121万3,000戸でした。
 
 
英中銀 利上げ論が浮上
イギリスの中央銀行イングランド銀行は、16日の金融政策委員会で政策金利を0.25%に据え置くことを決めましたが、決定は8対1で、利上げ論が浮上したことが明らかになりました。票が割れたのは去年7月以来初めてです。イギリスではインフレ率がまもなく目標の2%を突破すると予測されていて、今後、利上げを主張する委員が増える可能性があります。
 
 
オランダ総選挙 極右・自由党 第2党に
15日に行われたオランダ総選挙で移民排斥を掲げた極右・自由党は第2党に留まる見通しとなりました。与党・自由民主党は33議席を獲得して第1党を維持したことから、ルッテ首相は「誤ったポピュリズムに待ったをかけた」と勝利宣言しました。公式の選挙結果は21日に発表されます。
 
 
“マイナス金利”で運用難 日生 経営計画を見直し
生命保険最大手の日本生命がマイナス金利政策の影響による運用の悪化を受け、中期経営計画を見直すことが明らかになりました。新たな計画は、きょうにも発表します。日本生命は3ヵ年の中期経営計画を1年前倒しで終了し、見直します。マイナス金利政策による低金利の影響で、資金の運用環境が悪化しているためで、2016年度の第3四半期決算では1年前よりも600億円以上の減益でした。ただ、新規契約などの目標達成にはメドがついており、新たな経営計画のもとで収益回復を目指します。
 
 
ヤマト運輸 荷物の総量 抑制へ
今年の春闘で、人手不足や長時間労働の問題を抱える宅配便最大手、ヤマト運輸の労使交渉がきのう夜、妥結しました。荷物の総量を抑制するなどドライバーの負担を減らすさまざまな施策を導入します。ヤマトは、インターネット通販業者など大口法人顧客との運賃などの契約を見直し、繁忙期を中心に荷物の量を抑制します。配達時間の指定サービスではドライバーが昼の休憩時間を確保できるよう、「正午から2時」までの時間指定を廃止。また、依頼が集中していた「午後8時から9時」の指定枠は「7時から9時」に広げ、夜の負担を減らします。さらに、再配達の受け付け終了時間はこれまでより1時間早い午後7時とします。出社と退社を10時間空ける「インターバル制度」も導入し、休息時間を確保します。一方、賃金については、ベースアップ814円に定期昇給分などを合わせた月6,338円の引き上げで合意しました。
 
 
ファストリ 服作り「加速」へ新オフィス
「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングはきのう、東京・有明の新オフィスを公開しました。新拠点の狙いは服作りのスピードアップです。ファーストリテイリングの新オフィスは5,000坪のワンフロアにおよそ1,000人の社員が集結しています。これまでのオフィスでは階が違うなどバラバラでしたが、新オフィスでは様々な部門の社員が同じフロアで同時に作業できます。これにより、商品の開発から販売までにかかる時間の大幅な短縮を目指します。
《ファーストリテイリング/柳井正会長兼社長》
「ファッションとかトレンドを負いたいと思っていない。客の生活ニーズ、生活習慣が変わったもっと大きな世の中のトレンドに合った服を売りたい。」
 

IMFパリ事務所に郵便物爆弾
パリ中心部にあるIMF=国際通貨基金の事務所で16日、郵便物が爆発し女性職員が負傷しました。郵便物にはギリシャの切手が貼られていたということで、当局はテロの疑いで捜査しています。15日にはドイツの財務省でも爆発物が入った郵便物が見つかっていてギリシャの過激派組織が犯行声明を出しています。ドイツやIMFはギリシャへ緊縮財政を求めてきた経緯があり当局は関連を調べています。
 
 
23日 証人喚問へ 籠池氏「総理から寄付金」
学校法人「森友学園」の籠池泰典氏はきのう、小学校の開校に向けて、「安倍総理から寄付金を受けた」と発言しました。今月23日には籠池氏の証人喚問を行うことが決まっています。籠池氏は、参議院予算委員会の視察団などに、2015年9月に安倍総理の昭恵夫人から「安倍総理からです」と言われ、100万円を受け取ったと主張しました。安倍総理は寄付を否定しましたが、今月23日に衆議院と参議院の予算委員会で開かれる籠池氏の証人喚問で、真相が究明されることになります。
 
 
論文データ改ざん事件 ノバルティス元社員に無罪判決
製薬大手・ノバルティスファーマの高血圧治療薬・ディオバンをめぐる論文データ改ざん事件で、薬事法違反の罪に問われた元社員と会社に対し、東京地裁は、無罪の判決を言い渡しました。判決で東京地裁は、元社員が患者のデータを意図的に改ざんしたと認定しましたが、論文は広告にあたるとは言えないとして、誇大広告などを規制する薬事法違反は成立しないと判断しました。
 
 
米 利上げでカードローン負担増
今回の利上げでカードローンを抱えるアメリカの消費者の負担が大幅に増えそうです。株高などを受け金融危機前に見られたような、借金してでも物を買うというアメリカ人が再び増えています。こうした中、今回の0.25%の利上げでカードローンの返済額がアメリカ全体でおよそ16億ドル=1,800億円ほど増えるとの試算が出ました。これによりカードローン残高は、今年初めて1兆ドルの大台を超え過去最高額を更新すると予想されています。
 
 
■【ネタのたね】もうどく展2
東京・池袋のサンシャイン水族館では毒を持つ生物をテーマにした特別展が開催されています。毒を持つイモリの仲間やエイなど約20種類の生き物を見ることができます。また、スカンクの分泌液を再現した臭いを嗅ぐことができるコーナーなどもあります。
 
 
■【コメンテーター】三菱UFJモルガンスタンレー証券/藤戸則弘氏

・ 米トランプ政権、予算方針を発表

--アメリカの予算方針が出ましたけれども、国防費増額のためにほかを大幅にカットするという、ずいぶん大きく動かす形になります。

「これは観光保護局(EPA)を3割カット、その次に国務省は28%カットということなんです。これは何かというと、海外の援助なんです。つまり新興国に対する援助を切ってしまう。アメリカの内向きということですね。ですからいわゆる飛行機を持って、戦車を持って、軍艦を持って、というハードパワーに対して、ソフトパワーになるわけですね。アメリカのファンを増やすというのが必要なんですけど、それをざっくり3割近く削られるとなると、相対的に中国のプレゼンスが上がってくる。例えば、アフリカ諸国などでもものすごい援助をしてるので、そう考えるとトータルで見た場合にどうなのかなと・・・。ただ、マーケット的にはまだ減税策は先ですね。ということで期待は残るんですけど、ちょっと内容的には問題があるかなと・・・そんな感じです。」
 
 

・ 今日の経済視点 「春相場のへの備え」

「前回申し上げた通り、4月は過去10年間、外国人が日本株を大量買いしているという、10年間、一回も売ったことがない、買い越しの月ということなんですね。一方、先ほどもありましたけれども、普段は注目しないようなオランダの総選挙、これも極右が負ける形になったということですね。FOMCは終わった。イベントは順調に済んでいってるということになっている。となれば4月になって商いが増えて本当に強くなってから買いに行ったら遅れるということですね。昨日、今日みたいに為替が円高になっていて、もたもたする局面があれば、買っていけばいいというふうに思います。強気になるのは、遅くなって株価が盛り上がってから行ったら遅いんですね。ですからこの3月中に備えを十分にしていただきたい。ゴールデンウィーク前後までは大丈夫だと思います。」
 

2017.3.16 Newsモーニングサテライト

2017年03月16日 17時08分14秒 | MS
■マーケット

NY株 3指数揃って上昇
FRB=連邦準備制度理事会は年内の利上げ見通しは3回を維持しました。また雇用と物価が目標に近づいているとして、政策金利を引き上げました。声明文では設備投資が幾分改善していることも示されました。利上げペースの加速を警戒していた市場には安心感が広がり、声明文発表後、株価は上昇しました。株価の終値確認します揃って上昇。ダウは3日ぶり反発112ドル高、2万950ドルナスダックは反発43ポイント上昇、5,900。S&P500は反発19ポイントプラスの2,385でした。

金利です。年内に加えて2018年の利上げペースも据え置かれたことで、FRBが緩やかな利上げを見通している事がわかり、金利は急落しました。

為替を確認します。イエレン議長が会見で経済の見通しについてはほとんど変更していないと発言した事を受けてドル安円高がさらに進みました。


【アメリカの専門家インタビュー】
今回のアメリカの利上げについて、アメリカの専門家は、「情勢分析に大きな変化はなかった」と指摘し、「次の利上げは9月」と予想します。

《バークレイズ・キャピタル/マイケル・ゲイペン氏》
「声明文では設備投資とインフレ率の表現を上方修正したが、それ以外は大きな変化はなかった。ただ市場の期待から見ると、やや慎重だったと言える。エネルギー価格の下支えでインフレ率が上昇しているが、4月以降は落ち着くだろう。そのためインフレ率は年半ば以降、今と変わらない水準となると見ている。だからFRBは次の利上げは多少、慎重になるかもしれない。7-9月期にはコアインフレ率上昇が期待されるので、次の利上げは9月と見ている。」

一方、注目されていたバランスシートの縮小について、ゲイペン氏は「6月の会合で方針についての言及があるのでは」と予想します。

「イエレン議長はバランスシートの議論はしたが、結論には達しなかったと言った。6月会合では何らかの方針が示されるだろう。FOMCが考えるいくつかの選択肢が書面で提示される可能性がある。」

【NY証券取引所中継】FOMCを読み解く
解説は大和証券CMアメリカの森本裕貴氏

--FOMCの結果はどう見ましたか。

かなりハト派的、つまり慎重な姿勢を崩していない内容でした。今回のFOMCに関して、市場が注目していたのは3点で、1つ目は今年の利上げ回数の予想です。一部では年内4回の利上げを見込む声が増えていましたが、3回という見方が据え置かれました。バランスシートの縮小についての議論の有無が2点目ですが、これも議論はあったことは認めたものの、具体的な決定は無いということでした。

--そして3つ目は何ですか。

はい、「なぜ利上げをするのか、12月から何が変わったのか」、という部分です。これに関しては「物価上昇率が目標の2%に近づいた」ことが声明文で繰り返されていました。しかしイエレン議長も以前、高圧経済に言及するなど、「多少のインフレには目をつむる」と示唆してきただけに、新たなヒントとはなりませんでした。

--ということは今後を見通すうえでのヒントはあったんでしょうか。

はい、イエレン議長の記者会見にも目新しい内容はなかったと感じました。しかし株価が大幅高となったことは、素直にポジティブです。株式市場が現状の利上げペースを心地よく感じていることが確認できたことは、大きな収穫の1つと考えています。
 

【NY証券取引所中継】ダウ銘柄入れ替えに注目
解説は大和証券CMアメリカの森本裕貴氏

--イベントをひとまず好感でしたね。

はい、FOMC後に長期金利が低下したことで、高配当株やエネルギ0株が買われ、相場を押し上げました。

--今日は今月の中でも、特にイベントが多いんですが、森本さんはちょっと違った目線で注目しているイベントがあるそうですね。

はい、今月中にニューヨークダウの銘柄入れ替えの可能性があるのでは、と考えています。実は先週、S&Pダウジョーンズ社がS&P500の構成銘柄の時価総額基準の引き上げを発表しました。株価水準を維持する目的で、指数の採用基準を厳しくした形で、ダウも株価のさらなる上昇を狙って、入れ替えを検討しても不思議はありません。実際、2年前のこの時期、アップルがAT&Tの代わりに採用されました。

--今回はどんな銘柄が候補になっているんでしょうか。

よく名前が挙がるのが、バークシャーハサウェイとウェルズファーゴです。しかしバークシャーはダウ構成銘柄のアメックスやIBMなどの筆頭株主で、彼らの株価変動の影響を受けることを考えると適切ではなさそうです。またウェルズファーゴは不正口座開設の不祥事がくすぶっています。ダウの採用基準には、素晴らしい名声を得ていること、という基準があり、現時点では難しかもしれません。

--なるほど、ということは現実的にはどの辺りなんでしょうか。

はい、2つの理由からフェイスブックが最有力だと思います。1つは、「同社の高い成長期待から、指数を一段と押し上げると期待できること」、もう1つは、「現在の株価レベル」です。ダウは株価の単純平均型の指数なので、株価が高い銘柄は指数に与える影響があまりにも大きくなり過ぎてしまいます。フェイスブックの現在の株価は、ダウの中で7番手程度であり問題のない水準です。ダウはS&P500に比べ、指数連動型の運用は少ないものの、フェイスブックが組み入れられれば、指数にとっても、同社にとっても大きな注目を集めることが期待されます。
 

【為替見通し】注目ポイントは「日銀金融政策決定会合」
解説はみずほ証券の鈴木健吾氏

--まずFOMCでの反応はドル安でしたね。

そうですね。FMOCは利上げを実施した一方で、今年から来年にかけての利上げ回数の予想値に変化はなく、利上げペース加速といった一部の期待を裏切るものとなりました。これを受けて米金利の低下とともに、ドルは全面安となり、ドル円は113円台前半まで下落しています。またオランダ総選挙の出口調査が、反EUを掲げる自由党が第一党にならないとの結果を受けて、ユーロが買われてる動きとなっています。

--今日の予想レンジは、113.00~114.00円、今日は「日銀金融政策決定会合」もありますね。

はい、金融政策は現状維持がコンセンサスですが、先週、ドラギECB総裁のコメントがタカ派的と評価され、先ほどFRBが利上げに踏み切った中で、黒田総裁が緩和姿勢の継続を強く示せば、分かりやすい円売り材料となりそうです。

--このあとも為替市場が注目する材料が目白押しですよね。

そうですね。アメリカの予算方針やG20などが週内にも控えておりますが、これらを消化していく中で、今回の利上げを織り込む前の水準、2月末の1ドル113円近辺まで下落すれば、ドル円の下げも一巡し、その後、目先は113円~115円といった水準での揉み合いになると見ています。

【日本株見通し】注目ポイントは「アク抜けかリスク回避か」
解説はニッセイ基礎研究所の井出真吾氏

--今日の予想レンジは、19300~19650円です。

FOMCが年内の利上げ予想3回を維持したことと、バランスシートの縮小に関して進展がなかったことを受けてアメリカ株は上昇しました。一方、為替相場は円高で反応しましたので、これが重しとなって日経平均は続落して始まりそうです。日中はオランダ選挙速報などが材料になりそうですけども、今のところ出口調査をみると安心感のほうがちょっと強い。

--注目ポイントは「アク抜けかリスク回避か」です。

(フリップ1:市場は先行きに強気?)
年明け以降、日経平均株価は19000円を挟んだ展開が続いて、じりじりと煮詰まってきています。そろそろ動きそうなんですけども、徐々に下値を切り上げていることから、市場が先行きに強気な様子が見えます。オランダの議会選挙、アメリカの予算方針、それからG20などのイベントを波乱なく通過すれば、アク抜け感から来週にも20000円を目指す展開が予想されます。

--そうですか、ただそうは言っても、リスク回避というものもあるんですね。これは何を意識してのことですか。

(フリップ2:米予算方針で共和党の分裂も)
今夜トランプ政権が議会に提出する予算方針のことを意識しています。大型減税などの景気刺激策は盛り込まれない一方、国防費を増やすために、環境保全とか、障害を持つ子供への補助など、国民の人気が高い政策の予算を減らす見通しなんですね。予算方針を受けて、共和党議会が賛成派・反対派に分断されるようだと、先行きへの不安感から、リスク回避に傾いて、19000円割れとなる可能性もあると思っています。
 

■【特集】FOMCを読み解く
アメリカの連邦公開市場委員会(FOMC)は3ヵ月ぶりの利上げを決めました。焦点だった今年の利上げ見通(ドットチャート)をみると、今回含めて今年は年3回の利上げが行われる見通しです。次回の利上げはいつになるのか、三菱東京UFJ銀行の鈴木敏之さんに解説してもらいます。
 
--FOMCでは3ヶ月ぶりの利上げを決定しましたが、マーケットは・・・。

(森田キャスター) 「緩やかな利上げのペースになるということで、ハト派的な見方が多いということですね。」

--ただ、FEDウォッチャーの鈴木さんは少し見立てが違います。内容としては、タカ派的だったと・・・。

(フリップ1:かなりタカ派)
・ 声明文の変更:
 ① 設備投資
 ② 利上げの進め方
 

「もともと私がそんなに利上げがないと思っていたから、そう感じているのかもしれませんけど、結構熱心に利上げしそうな姿勢が・・・。この前の2月のFOMCからそうなんですけど、ハッキリしてきていると思います。」

--声明文からそれが読み取れるということで、どこが変わったのかを見ていきます。まず変更した部分は、「設備投資の評価」。

「そうですね。設備投資の書き方が、前回は『ソフト』という言い方で、ハッキリと自信がなかったわけです。今回は『固まった』という言い方にしてきておりますので、これはGDPの数字でも触れたところなんですけれども、『景気に対して自信を持っています』ということが、まずそこで伝わっていますね。」

--それから「利上げの進め方」について、書いてありましたか?。

「そうなんですね。『グラジュアル』という言い方で、『徐々に上げていきます』といいうのが、前回はその前に『オンリー』って付けていたんですよ。今回はそれを取っているんですね。記者会見でも、『そんなに大きな変化と見ないでくれ』、とイエレン議長は言っているんですけれども、そんな無視できるような言い方ではないと思います。1つの解釈なんですけれども、『グラジュアル』というのが、『会合2回に1回、0.25上げる』というふうに解釈しますと、今までは、『それだけしかやりませんよ』、と言っていたのが、『この先はもうちょっと広めに考えていますよ』、と言いうことになると思います。これはさっきのドット・チャートでも同じなんですけれども、やっぱり全体で少し利上げの方向に、より強めに言い出しているなというふうに見るべきかなと思います。」

--すごいですね。オンリーという一言だけが取れたというところで、見てとれるということなんですね。では、GDPの見通しも今回出ていますけれども、ただそれを見ますと、鈴木さん、それほど強いものと・・・。

(フリップ2:アメリカの成長率見通し、注目は2018年)
「これから先ちょっとタカ派に振れる可能性があるということで、見ていただきたいんですけれども、2018年の数字です。前回12月は2.0と言っていて、今回は2.1と数字を上方に改定しているわけです。これは財政がきちんと出てくる、あるいは規制緩和でアメリカ経済がどんどん成長していくというふうに、トランプ政権のやることを前向きに捉えるんだったら、もっと強い数字にしないといけないんですね。ここのところがやや非常に牽制になっていて、『今の状態だったら、こんな利上げで済むし、利上げからの景気後退はありませんよ』というメッセージを送っているんです。もしそこで無理に景気を押し上げるような政策をやれば、私たちはもっと利上げをしないといけませんよ、というシグナルを送っているんですね。そう思います。」

--だとすると、私たちの関心は次の利上げはいつかというところになってしまうんですけれども、鈴木さんは、次はもう、すぐに6月というふうに見ていらっしゃいますか。

「そうですね。今回のドット・チャートを見ていただくと、ほとんどの人が年3回やらないといけなということであります。6月にやらないと、9月と12月に2回やらなきゃいけないというような形で、結構動きが制約されてしまいます。ということで、私は6月のほうが可能性ありかなと思います。」

--理由としては、3つ見ていらっしゃるわけですね。

(フリップ3:次回利上げ6月と見る理由)
・ 債務上限の復活
・ 経済指標がピークアウト
・ 人事問題

「大きなのが予算の審議なんですね。これは債務の上限の問題も関わるんですけれども、9月までおそらくズレ込むと思うんですね。その最中に利上げするというのはちょっと難しいのかなというふうに思いますね。」

--それから経済指標がピークアウトということで、これはいつも鈴木さんが見ていらっしゃるISM製造業景気指数です。

(フリップ4:米景気はピークアウトか)
「これは非製造業も書いているんですけど、製造業の数字で見ていただきますと、60というのがピークであることが多いわけです。今は57.7ですからもう60まであまり時間がありません。60に達してしまったら、その先の利上げというのが、必要なんだけど、やりづらくなる。これは60に達したらすぐに不況になるんだったら、利上げなんか必要ないんですけども、結構アメリカ経済はしっかりしていますから、この後のことを考えておかないといけないかなと思いますね。」

--そして人事問題、FRBのメンバーですね。

「そうですね。とにかく今の経済状態だったら、今年0.75、皆さんの言い方だと3回やらないといけないという判断です。FRBの理事のいま空席が、タルーロさんが辞めますので、3つあるんですね。議長・副議長の任期も来ますので、大幅刷新されてしまいますと、その時にしっかり利上げをできるという形にしておかないと、その先、非常に難しくなるということで、6月というのはそういった観点から可能性を強く見ておくべきだと思います。」

--そうした中、もう1つ、やはり気になるのがバランスシートの問題ですが、今回、議論はあったけれども、結論は出ずという話でしたね。バランスシートはここまで今膨らんでいて維持している状態ですね。

(フリップ5:バランスシート縮小はいつ始まる)
「そうです。ここもちょっと専門的すぎるかもしれませんけども、去年のジャクソンホールの時には、これを緩和の手段として位置付けていたんですね。今回の記者会見では、いわゆる異常事態でないならば、この方策は使わなくていいというようなことを言い出していて、検討していたというよりはもう縮小のほうを考えてますよと・・・。ただ、いつやるか、どうやるか、については今は何も決めていませんと・・・。議長はもう1つ言っていて、やるときには皆さんが分かるように、プレデクターになるように説明をして始めます、いうことを言っています。これはもう『やる』、『やらない』は、『やる』が前提のような話ですね。」

--そしてここ(このグラフ)には株価とチャートが乗っかっていますが、S&P500が連動しているんですね、バランスシートと・・・。

「だからアメリカがリーマンショックの時から短い時間で立ち直ったのは、やっぱりこのQE(量的緩和)が効いたというのが、如実に表れている。日本の先生方には、そうじゃないという方がいらっしゃいますけど、明らかにこれであって、これを維持しなくてもアメリカ経済が大丈夫なのかどうなのかというのを、これから見極めていって、皆さんが議論していく世界だと思います。」


■オランダ総選挙 最新情報
ヨーロッパの今後の移民政策や極右勢力の行方を占うオランダ総選挙の投票が15日行われ、先ほど投票が締め切られました。最新情報を現地から中継です。

05:51  《中継:オランダ・ハーグ;豊島晋作記者》
オランダのテレビ局「NOS」などの出口調査によると、EU離脱・反イスラムを掲げる野党「自由党」は得票数を伸ばせず、下院の議席数150議席のうち19議席前後の獲得に留まる見通しです。ヨーロッパに広がっていた反EU勢力の勢いはひとまず食い止められた格好です。

《出口調査(NOS調べ)》
自由民主党(ルッテ首相率いる政権与党)31議席
自由党(野党)19議席(予想の25議席には届かず)

自由民主党が第1党となる見通し。今回の選挙では、イギリスがEU離脱を決める中、オランダでも反EU政党が躍進するかが最大の焦点でした。選挙期間中、ウィルダース党首率いる自由党は支持率では与党の自由民主党とほぼ互角の戦いを見せていましたが、結局は国民の幅広い支持を得ることはなかったようです。

投票率は80%超の高い水準で、オランダ国民は反EUの動きに今回NOを突き付ける形となる見通しです。ただ、来月から始まるフランス大統領選挙の投票では、同じく反EUを掲げる野党「国民戦線」のルペン党首がなお強い勢いを保っています。このため、反EU、反グローバル化の流れが止まるかはまだ予断を許さないと言えそうです。以上、オランダのハーグから中継でお伝えしました。
 

■日経朝特急

賃上げ・働き方、両方探る
ことしの春季労使交渉は、きのう主要企業がベアや一時金を労働組合に回答し、好業績を背景に4年連続のベア実施となった。しかし日本経済新聞社実施の緊急アンケートでは、去年よりベアが縮小した企業は約6割にのぼり、ゼロ回答の企業も増えた。人手不足への対応も迫られる労働市場の変化に、春季労使交渉のあり方も変わってきた。
 

仮想通貨技術、地銀にも
全国銀行協会は、複数の銀行が連携して仮想通貨技術を使った新たな金融サービスを生み出す環境を整備する。来年度中に大手銀行や地銀などが共同で実証実験できる場を設け、金融庁や日銀からも法制度などの観点から助言を受けられるようにする。金融とITを融合したフィンテックの活用が加速する中、送金などの分野で安く利便性の高いサービスの実現を目指す。
 

ドラッグ店、百貨店超え
ドラッグストアの売上高が、百貨店を上回る見通しだ。業界団体によると金額ベースで2015年度比5.9%伸びて、6兆4916億円になる見込みに対し、去年の全国百貨店売上高は5兆9780億円にとどまった。新たな事業の柱として拡充している調剤事業が押し上げ、インバウンド需要の取り込みでも明暗が分かれた。
 

■今日の予定

日銀黒田総裁会見
安倍総理とティラーソン米国務長官会談
英中銀金融政策委員会結果発表
米予算方針を公表
米2月住宅着工件数

■ニュース

米FRB 3ヵ月ぶり0.25%利上げ
アメリカの金融政策を決めるFOMC=連邦公開市場委員会は15日、主要政策金利を去年12月以来3ヵ月ぶりに0.25%引き上げることを決めました。
《FRB/イエレン議長》
「緩和策の縮小を先送りしすぎると、将来的に急激な利上げを余儀なくされる。急激な利上げは金融市場の混乱だけでなく、景気後退に陥る危険性もある。景気の回復基調は続くとみているので、緩やかな利上げは続けられるだろう。」
これにより銀行が資金を貸し借りする際に適用される短期金利の指標=フェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標は、年0.75~1%となります。今回の声明では特に、物価が目標の2%に近づいていることが強調されました。なお今回の追加利上げに対し、ミネアポリス連銀・カシュカリ総裁だけが現状維持を主張し利上げに反対しました。四半期ごとに公表される利上げ見通しは、前回と変わらず「年内3回」のままで、「来年も3回」に据え置きました。また現在4兆ドルを超えるFRBの保有資産=バランスシートの縮小について、イエレン議長は「話し合いを始めたばかり」と説明しました。
 
 
米ヤフー情報流出 ロシアスパイなど4人を起訴
アメリカの検索大手ヤフーから2014年におよそ5億人分の個人情報が盗まれた事件で司法省は15日、ロシアの情報機関のメンバーやロシアに雇われたハッカーなど合わせて4人を起訴したと発表しました。サイバー犯罪をめぐってアメリカの司法当局がロシア政府の関係者を起訴するのは初めてです。司法省は「当局者が持つ外交や軍事に関する情報を狙ったものだ」と指摘しました。
 
 
米デトロイト訪問 トランプ氏 燃費規制を見直しへ
アメリカのトランプ大統領は「規制の見直しが工場と雇用を守ることを保証する」と述べました。トランプ大統領は15日、自動車の製造が盛んなミシガン州デトロイトを訪れ、オバマ政権時代に強化された自動車の燃費規制を見直す方針を表明しました。一方で、自動車メーカーの経営トップなどとの会合で、北米トヨタのレンツCEOに対し「工場を作るならこの地に作るべきだ」と注文をつけました。
 
 
米消費者物価↑0.1% 予想上回る
アメリカの2月の消費者物価指数は、市場予想を上回り、前の月から0.1%、上昇しました。項目別では食料品が上昇したものの、ガソリン価格の低下を受け、エネルギーが1%低下しました。エネルギーと食料品を除いたコア指数は0.2%の上昇でした。
項目別:食料品↑0.2%、エネルギー↓1%、コア指数↑0.2%。
 

米小売売上高↑0.1% 予想と一致
アメリカの2月の小売売上高は、前の月から0.1%上昇し、市場予想と一致しました。ただ、上方修正された前月から伸びは鈍化しました。内訳を見てみると自動車が2ヵ月連続で減少したほか、ガソリンスタンドがマイナスでした。
内訳:自動車↓0.2%、ガソリン↓0.6%。
税金の払い戻しが例年より遅れているため2月は消費者が慎重になっていたという見方も出ています。
 

中国・全人代閉幕 李首相 トランプ政権をけん制
中国の今年の方針を決める全人代=全国人民代表大会の閉幕会見できのう、李克強首相が通商政策で中国に強硬な姿勢を見せるアメリカのトランプ政権を強くけん制しました。(中国・李首相)「我々は貿易戦争を望まない双方が損をする」李克強首相はこのように述べ、為替政策や貿易で中国に圧力をかけるトランプ政権をけん制しました。李首相はまた今年の目標として掲げるGDP6.5%前後の成長の達成について「簡単ではない」との認識を示しました。さらに「中国国内の金融部門に無視できないリスクがある」と分析したうえで「世界の政治経済に不確定な要素がとても多い」と、海外情勢が中国経済に与える影響について懸念を示しました。
 
 
ティラーソン米国務長官来日 北朝鮮への対応協議へ
アメリカのティラーソン国務長官が昨夜、就任後初めて来日しました。午後に開かれる岸田外務大臣との会談で北朝鮮の核やミサイル開発問題への対応について協議します。ティラーソン長官は19日までの日程で、日本、韓国、中国の3ヵ国を訪れる予定です。トランプ政権では、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射などを受け、北朝鮮への武力行使を視野に入れた政策を検討していて、今回の来日で、緊密に日米の北朝鮮政策をすり合わせる狙いがあります。会談では、来月中旬を予定している「日米経済対話」に向けた調整も行われます。
 
 
東芝 監理銘柄に 内部管理体制確認書を提出
東芝はきのう、東京証券取引所に内部管理体制確認書を提出しました。東芝は、2015年の不正会計問題で「特設注意市場銘柄」に指定されており、確認書の再提出を求められていましたが、きのう付けで上場廃止の恐れがある監理銘柄にも指定されました。東証が数ヵ月かけて審査し、改善が不十分と判断した場合、東芝は上場廃止となります。これを受け、東芝の株価は大幅に下落、下落幅一時、およそ14%まで達しました。
 
 
サントリー食品インターナショナル 脱・缶コーヒー「ボス」発売
サントリー食品インターナショナルは、缶コーヒーのロングセラーブランド「ボス」から新たなシリーズ「クラフトボス」を来月発売すると発表しました。新シリーズは、缶コーヒーでなく、初めてペットボトルを採用し、時間をかけて少しずつ飲むことを想定しています。働き方の変化やコーヒーの楽しみ方の多様化に合わせたということです。
 
 

楽天エアマップ ドローン管理システム提供へ
楽天はきのう、ドローンを安全に運用するための管理サービスを今年半ばまでに始めると発表しました。楽天は世界各国でドローンが飛行する空域の管理システムを提供しているアメリカのエアマップ社と「楽天エアマップ」を設立しました。ドローンの活用が期待される中、楽天エアマップでは、複数のドローンの飛行状況の確認や、飛行可能ルートの作成などのシステムを提供します。
 
 
東北6行+日本政策投資銀行 観光分野で企業など支援
七十七銀行など、東北6県の地方銀行6行と日本政策投資銀行が、インバウンド誘致など観光分野で連携し、企業や事業を支援すると発表しました。7行が協力して、東北の観光資源の発掘や観光業への投融資を行っていくということです。観光客は、1カ所にとどまらず、周辺を「周遊」することから、観光業の活性化には、広い地域での連携が不可欠だと判断しました。
 

■【コメンテーター】三菱東京UFJ銀行/鈴木敏之氏

・米国FRB、3ヵ月ぶり利上げ

--FOMCでは3ヵ月ぶりの利上げを決定しました。マーケットは株高、ドル安で反応ということで、ハト派として受け止めているようですけれども、鈴木さんはどうでしょうか。

「私は結構びっくりするぐらいタカ派的という感触を持っています。市場で債券が買われたというのは、利上げの回数が減ったのか、それともイールドカーブが先行きフラットニング、引き締めの効果と見ているのか、そこのところは議論があると思いますけど、ちょっと例のドット・チャートを見てみますと、やっぱり少しタカ派なんですよ。」

《ドットチャート:中央値(前回見通し)》
2017年末 1.375(1.375)
2018年末 2.215(2.215)
2019年末 3.000(2.875)
長期     3.000(3.000)

「というのは、今回、2017年の中央値1.375%ということは、3回は変わらないということをFEDは言っていると思います。ところがこの中央値の点(ドット)の数が、今回大きく増えているんです。前回はこの中央値より下に6人いたんですが、今回は3人になっています。タルーロ理事が投票に入っているので、普通は理事を辞める前はFOMCに出ないはずなんですが、今回出ているようです。彼が入れているとすると、たぶん彼はハト派なので次回は減る可能性があります。それから3人いた中のうち、上に移った人に、ひょっとして執行部(イエレン議長を含めて)がいると、今まで3回やるかどうか分からなかったのが、3回はやりますよ、という形に変わったので、結構自信があって、だからたった3ヵ月しか間をあけずに利上げをしました、ということかなと思います。」
 

・ 「オランダの総選挙、反EUの動き」について

--オランダの総選挙の出口調査の最新情報を現地から伝えてもらいましたけれども、反EUの動きというのは止められそうかなという印象ですか。

「いや、これもあまのじゃくで申し訳ないんですけれども、そういう分析になるかどうか分かりませんけれども、いわゆる今の与党のほうが少しそういった動きを排除するような政策を組み替えた結果としてこういうふうになっていたとしますね。そうしますとEUの単一市場を守る根幹なんですけども、人の移動の自由ということに対して、やっぱり疑問を持ちつつというか、そういう今の情勢、難民の人とか、いろんな人が入ってくることへの不満に対して、いわゆるEUのまとめ役の人達がきちんとした青写真を描けるかどうか、ということでは、問題はやっぱり残ったままだと思いますね。」
 

・きょうの経済視点 「名パイロット」

「今日のイエレン議長の会見の最後のほうなんですけれども、『この利上げについて一番発したいメッセージは何ですか』という質問があったんです。イエレン議長がその質問に答えて、『よくその質問をしてくれた、ありがとう』とまず言ってから、アメリカ経済が非常にうまく回っているということを強調したんです。FEDというのは、アメリカという飛行機を操縦しているパイロットに例えるというのが言われているんですけれども、去年はもっと4回利上げするというようなことが言っていて、実際は1回しかやっていないわけですね。そういう操縦を上手くやって、ほぼ完璧に完全雇用にいって、インフレもちゃんと2%程度に望めるところまで来ているという操縦の仕方ですね。彼女がいかに経済を上手く回しているかということを自信を持って言った。こういうふうに当局者が経済がうまくいっているというのを久しぶりに聞いたんじゃないですか。」

--私たちからすると、4回と言っていたのに1回しかできなかったでしょ、というふうに・・・。でもやっぱりそこまで操縦したということが・・・。

「だからうまく操縦しているんだから、こういっては何ですけど、株式投資をされる方もそんなに心配しなくていいでしょということに話はつながるんじゃないでしょうかね。」

--そうですか。その中でも、今日は日銀の金融政策もありますし、先日のECBではもうデフレの心配はないというようなことになっていた。日銀も今後どうなるかですね。

「そうですね。イエレン議長も日本銀行も任期がもう迫ってきていますので、どうやって連続性を皆さんに上手に伝えていくか、というところを気にしています。」
 

2017.3.15 Newsモーニングサテライト

2017年03月15日 21時02分43秒 | MS
■マーケット

NY株 3指数揃って下落
原油価格が去年11月以来となる47ドル台に下落。エネルギーセクターが足を引っ張り、株価は揃って下落しました。OPECの月報で減産基調は続いているものの、サウジアラビアが増産を自己申告し投資家心理を冷やしました。原油価格の終値は47ドル台と去年11月29日以来の低水準。材料も少ない中、きょうから始まったFOMC=連邦公開市場委員会の結果待ちで買いの手も伸びません。市場では景気見通しや今後の利上げのペースなどFRBが強気の見通しを示すのではとの声も高まっているようです。アメリカが夏時間に入り日本時間の朝5時に取引は終了しています。ダウは続落44ドル安、2万837ドル。ナスダックは5日ぶりの反落18ポイントの下落、5,856。S&P500は4日ぶり反落8ポイントマイナス、2,365でした。14日のセクタ―別騰落率です。原油価格の下落が響き、エネルギーセクターが下げ率トップ。大雪で航空機の欠航が相次ぎ、航空株を含む資本財セクターも軟調でした。唯一上昇の、一般消費財も上昇幅は限定的でした。

【NY証券取引所中継】米 中小“楽観”も 人手不足深刻
解説はマキシム・グループの久野誠太郎氏

--もう様子見は仕方ないですかね。

そうですね。明日のFOMC結果待ちの様相が強い中で、原油価格の下落を受けたエネルギー関連や、大雪によります影響で航空会社をはじめとした運輸関連の下落が相場の下げを主導しました。

--さて今日は2月の中小企業楽観指数が発表されましたね。

はい、1月から0.6低下しまして、105.3となりました。トランプ政権の誕生を受けて、高まった明るい楽観見通しは維持されているものの、実際の売上高成長や雇用には依然として結びついてはいないことが示されました。税制やヘルスケア改革などの実際の進展が待たれる状況です。

--そのほかに何か特徴的な動きは見られましたか。

はい、在庫を増やすとした回答が1ポイント上昇して3%となるなど、需要の増加に備える動きも見られます。ただ採用枠を埋められないとした回答が1ポイント上昇の32%と、2001年2月以来の高水準で、労働者不足の高まりが示されまして、今後賃金の上昇圧力が高まることが見込まれます。
 

【NY証券取引所中継】“益利回り”に注目
解説はマキシム・グループの久野誠太郎氏

--今日の様子見、これは仕方ないですよね。

そうですね。明日のFOMC結果待ちの様相が強い中で、原油価格の下落を受けたエネルギー関連や、大雪によります影響から、航空会社をはじめとした運輸関連の下落が相場の下げを主導しました。

--さて政治や金融政策が転換点に差し掛かっているんですが、今後の株価を見るうえで、どんな点に注目されていますか。

(フリップ1:“逆相関”で株価↑)
はい、コチラのグラフを見ていただきますと、S&P500と、ある指標には逆相関の関係にあるのが分かります。この状況が続けば、株価もこの先上昇が続くと言えそうです。実はこの指標は、株の益利回りから、10年債利回りを引いた差を示しています。この差が縮小、つまりグラフの低下に連動して、株価は上昇しています。

--なるほど、あらためてまず、その益利回りをおさらいしたいんですが・・・。

(フリップ2:益利回り計算式)
はい、株価に対して、1株当たりの利益がどれぐらいかをパーセントで示すのが株式益利回りで、(1株当たり利益÷株価)で計算できます。この数字が大きいということは、利益に対して株価が低く抑えられている。つまり株価は割安と見ることができます。逆に小さいときは割高です。

--それでその益利回りと10年債利回りの差は、景気とはどんな関係があるんですか。

(フリップ3:利回り差、さらに低下?)
はい、利回り差が低下、つまり益利回りに対して、相対的に長期金利が上昇する局面というのは、景気拡大、企業業績が増加するサイクルで、結果的に株価が上昇します。足下、堅調な経済成長やトランプ政権の政策などで、長期金利の上昇期待もあり、利回り差はさらに低下することが見込まれます。この関係から見ましても株価の一段の上昇が見込めそうです。


【為替見通し】注目ポイントは「FOMC後の動き」
解説はJPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏

--NY市場は若干の円高傾向でしたか。

そうですね。原油価格が下落したことと、オランダの選挙を前にして、ちょっとリスクオフムードになって、世界の株価、それから金利、両方とも落ちまして、円が一番強い通貨になってますね。

--今日の予想レンジは、114.00円~115.20円、注目ポイントは「FOMC後の動き」です。

利上げはマーケットは完全に織り込んでますので、注目はFMOC委員の利上げ予想を示すドットになってくると思うんですが、12月時点では(中央値が)今年3回の利上げを予想してましたので、これが4回になるかどうかというところがポイントになるかなと・・・。
(フリップ1:今回も同じパターン?)
4回になれば、ちょっとドルは一回上がる可能性はあると思うんですが、過去2回の利上げ局面を見ると、だいたいFRBが利上げをすると、金利もドルもその辺りがピークになる傾向がある。前回のところでもやっぱりピークになっていて、しかも今回もちょっと似ているのが、前回も利上げに向かって金利が上がっていって、利上げした日が金利はピークになってますね。ドルは利上げした日にちょっと上がって、そのあとは横ばいなんですが、結局落ちるという感じになっていて、ちょっと似た感じになるかなと思います。

--今回も利上げ後に長期金利が低下すると見ていますか。

(フリップ2:邦銀の外債売り続く)
そうですね。かなり海外勢の債券のショートポジション、売り持ちポジションが溜まってきているので、その買戻しが起きる可能性があるということと、あと海外勢が今気にしていることは、邦銀の外債投資額、外債の売りです。過去3ヶ月間ぐらいで5兆円ぐらい、邦銀は外債を売っていますので、これをどこかで買い戻して来るんじゃないかというところに、海外勢は結構注目している。FOMCが終わった後の6時間後ぐらいに、先週の対内対外証券投資のデータが出ますので、例えばそこで、邦銀がそろそろ外債を買い戻し始めたというのが出てくると、海外勢も自分たちのポジションを手じまって、債券を買い戻して来る。そうするとアメリカの金利は下がる可能性があるということですね。

【日本株見通し】注目ポイントは「小回り3ヵ月で物色対象シフト?」
解説はマネックス証券の広木隆氏
 
--今日の予想レンジは、19500~19650円です。

さすがに今日は膠着感が強まりますね。海外でリスクオフに傾いているので、小甘い展開、上値が重い感じでの揉み合いじゃないでしょうか。

--そうなんですね。日経平均は一応高値圏にあるんですけども、どうしても突き抜けていくことができないという、これは2万円達成というのは遠いですかね。

このところ、中小型株がものすごい好調ですねれども、それに比べるとやはり主力の動きの鈍さが目立ちますが、僕は、そろそろ物色対象がシフトしてくるタイミングじゃないかなと思うんですよ。

--注目ポイントは「小回り3ヵ月で物色対象シフト?」です。

日経ジャスダック平均の連騰、2月10日から3月10日まで、まる1ヶ月上げちゃったという、21連騰というのが話題になりましたけども、実はジャスダックが優位になったのはもっと前からなんですね。
(フリップ:物色対象がシフト)
これはトピックスと日経ジャスダック平均の相対リターンを示していますが、起点はトランプ大統領誕生の去年11月9日をとってるんですけど、最初はやっぱりメガバンクとか、輸出株とか、買われて、大型株優位の主動が続いたんですけど、ここ(12月15日)を境にジャスダック優位がずっと続いてきた。これは先ほど佐々木さんの話にもあった通り、アメリカの長期金利が2.6に達して、ピークアウトしたところ。それからドル円も118円台でピークアウトしたところ。それが12月15日で、そこからトピックスがダメで、もう株の物色が全部、新興株、ジャスダックに来たんですね。でもそこからちょうど今日は3月15日で3ヵ月ですね。相場の世界は小回り3ヵ月という格言もあるので、そろそろ物色対象が大型に戻ってくるタイミングじゃないかなと思いますね。
 

■【プロの眼】3.15をどう乗り切るか
重要イベントが目白押しの3月15日を投資家がどう乗り切ればいいのか。為替編はJPモルガンチェース銀行佐々木融氏、日本株編はマネックス証券広木隆氏がそれぞれ解説します。

【3.15をどう乗り切るか(為替編)】
--まずは佐々木さんから、為替の立場から伺っていきます。重要予定がたくさんあるんですけれども、その中でも佐々木さんが注目されるのはどれなんでしょうか。

《佐々木氏》 「やはりFOMCが一番重要になってくると思います。利上げはもう予想されてますので、今日の注目は、FOMCの委員の見通しであるドットになってくると思います。」

--先ほどもありましたけれども、去年のFOMC参加者の政策見通しでは・・・。

(フリップ2:中央値に変化あるか?)
《佐々木氏》 「年内は3回の予想だったんですね。来年も3回。中立金利に関しては3%という予想だったんですが、ここ(17年末)が年内4回の利上げを織り込みに行くかどうか、というところがポイントかなと思いますね。」

--でも4回になると、やはりサプライズ?

《佐々木氏》 「そうですね。今のところ、FF金利の先物市場は年内2.8回の利上げを予想してますので、やはり4回になるとサプライズになる思います。ただ、ドットが4回になったからと言って、市場が織り込む予想も4回になるとは限らなくて、おそらくならないんです。」

(フリップ3:市場予想は年3回いかず)
「一応この相関、過去3週間、年内の織り込み回数とドル円の相関が非常に強くなってまして、これが3回まで完全に織り込みに行くと、115円80銭ぐらいまでドル円が上がる計算になって、仮に4回までフルに織り込むと、119円50銭ぐらいまでドル円が上昇するという計算になりますね。」

--119円というと、このフリップを突き抜けていく水準まで行くかもしれないと・・・。佐々木さん自身はどういうふうにご覧になりますか。

《佐々木氏》 「これからやはり政治リスクが強くなってくるので、相関自体が崩れてくるんじゃないかと思いますね。織り込みは3回をちょっと超えるかもしれませんが、相関は崩れるんじゃないかと思います。」

--そして他にもいろいろFOMCでは注目イベントがあります。例えば、物価、インフレのところですね。

《佐々木氏》 「そうですね。物価の見通し、コアPCのインフレ率の見通しで、前回12月の時には、年内のインフレ率の見通しは1.8%だったんですが、これが今回は1.9まで引き上げられるだろうというふうに予想してます。あと、18年、19年の予想というのは2%のままというところですね。あと、バランスシートの調整・正常化に関して、市場とのコミュニケーションをどう図っていくかという議論を始めたというようなことが示されるんじゃないか、といううふうに予想してます。」

--そして他にも、FOMC以外にもたくさんあるんですけれども、特に自動車メーカー幹部とトランプ大統領の会談があるんですね。

《佐々木氏》 「そうですね。今日トランプ大統領がデトロイトで自動車メーカーの幹部と会談を持つということなので、この辺は一番日本にとっては厳しいところなので、そこでどんな発言が出てくるかというところが注目だと思います。そしてあとは、日銀ですね。日銀は何も出ないとは思うんですけれども、今後インフレ率が上がってきたときに、イールドカーブコントロール、どうやって10年の金利を引き上げていくかというところに関して、市場とどうコミュニケーションをとるかといった内容について、何かしらのガイダンスが出てくる可能性もあるかなということですね。」

--まずイベントが盛りだくさんなんですが、FOMCに関しては、広木さん、株式市場はどう見ているんでしょうか。
 
(フリップ4:中央値に変化はあるか?)
《広木氏》 「今、佐々木さんが仰った通りで、3回のままというのが今のコンセンサスだと思いますね。もちろんこのドットは変更されて、上方のほうに行くんですけれども、あくまでも中央値を見て、中央値に達するにはあと何回かという見方なので、それでいけば、今日の利上げを入れて3回のままというのがコンセンサスじゃないでしょうか。」


【3.15をどう乗り切るか(日本株編)】
--そうですか、ではこの後、広木さんに日本株編を聞いていきたいと思います。広木さんが考える投資の極意というのは何か、と言いますと、やはりオランダ総選挙の結果前に手じまい売りをしたほうがいいということなんですか。

《広木氏》 「あくまでも今回のイベントに賭けるというすごく短期のトレーディングをやる方という意味ですけども、ポイントは起こりそうなシナリオ、どうなるかというのを予想してそれに賭けるということと、相場を張るというのはちょっと別物だということなんですよ。あとでお話ししますけど、メインシナリオ通りでいくんだったら、FOMCでちょっと失望とかで売られて、今度は逆にオランダ通過して、リリーフ・ラリーというか、安心で買い戻されるという展開だと思いますけども、FOMC前にポジションをとって、今度はオランダの選挙の前には手じまってしまう。それが、僕は理にかなっていると思うんですよね。」

--何故理にかなっているかを具体的に教えていただきます。まずコチラ、FOMCですね。メインシナリオはさっき仰ったように年3回、サプライズは年4回。
 
(フリップ5:FOMC)
《広木氏》 「だと思うんです。極々シンプルな仮定ですけどね。ものすごく単純なんシナリオで、この2つしかないと仮定した場合、どっちが確立的に高いかというと、年3回にとどまるほうが確立としては高いと思うんですよ。ただ、その場合、マーケットはもう織り込んでいると思うので、若干、失望で売られる程度じゃないかなと・・・。そうすると、この場合の期待値が(マイナス)30円なんですけれども、もしも年4回という示唆が出て、かつそれをマーケットが織り込みに行ったとすると、先ほどの佐々木さんの例だと、為替は119円50銭ですか。そこまで行くんだったら日経平均は2万円に届いちゃいますね。ということなので、昨日の終値19600円から400円高とすると、可能性としては低いんだけども、期待値としてはものすごく大きい。なのでこのイベント全体の可能性としては、期待値としてはプラス130円になる。だからこっち全体(プラス130円)に賭けに行くということですね。だからメインシナリオだけを予想しに行くと、これはもうギャンブルですね。どっちになりますかと言って、片方に賭けに行くというのがギャンブルだと思います。」

--こういう(メインとサプライズの)シナリオを見たうえで、(プラス130円を)見ていきましょう。ではオランダですね。
 
(フリップ6:オランダ総選挙)
《広木氏》 「こっちは逆なんですね。いまウィルダース党首率いる自由党、極右政党ですけれども、これは直近・直前の世論調査で失速しているというニュースもあるし、それからどっちにしろ万が一、第1党になったとしても、連立が組めないから、政権が取れないということで、かなり警戒感は後退しているんですね。これはブレグジットの時と同じですよ。世論調査って当てにならないので、どう出るか分からないんですよ。だから今のメインシナリオは第1党にはならないだろうという確率のほうが高いんだけれども、その場合、せいぜい良かったね、で終わるぐらいだと思うんですよね。でも万が一、これが第1党になっちゃうと、あとあとフランスのルペン党首の追い風になるとか、そっちまでの連想が来ると、やはりどうしてもリスク回避・リスクオフがすごく強まると思うんですよ。ユーロなんかも売られて、ユーロ安円高というのも十分あり得ますよね。そのケースだと日経平均は、ブレグジットの時は1000円以上下げましたけど、今回だって500円ぐらいは下がる可能性が十分ある。そうするとこれはFOMCと逆ですけど、可能性は低くても下がるという期待値が大きいので、オランダの総選挙というイベント全体の期待値はマイナス(ネガティブ)のほうが大きい。そうするとFOMCの期待値はアップサイドのほうが大きい。でもオランダはダウンサイドのほうが大きい。そうすると時間軸を考えると、先にポジションを取っておいて、それで結果が判明するオランダの前に手じまってしまうというごく短期のトレーディングが理にかなっているんじゃないかなと思います。」

--あくまで短期のトレードですよね。これは為替にも言えることですか、佐々木さん。

《佐々木氏》 「そうですね。特に為替市場ではフランスの大統領選で、ルペン候補が大統領になるリスクを一時期かなり織り込んでいたんですが、コチラのほうもちょっと緊張感が緩和してきていて、大丈夫じゃないかみたいな感じで、ちょっとリスクの織り込み度合いが少なくなってきてますので、ここでオランダのところで、予想外に自由党が議席を伸ばすということになると、フランスの大統領選に対するリスクの織り込み方がまた大きくなるので、やはりユーロ円の売りにつながってくるということだと思いますね。」

--ですから円高になる可能性があるということになると、FOMCで例えば円安になったとしてもここでまた戻される可能性があると・・・。

《佐々木氏》 「そうですね。あり得ますね、十分。」

--佐々木さんはどちらだと見てますか。

《佐々木氏》 「私はFOMCでちょっと円安になるんですが、そこがピークで、そのあとは自然に円高傾向で、オランダの選挙とか、アメリカのほうのいろんな要因の含めて、円高方向に行くんじゃないかなというふうに見ています。」

--懸念されるのが、3・15の話を今しているんですけれども、そのあと週末にはG20がありますね。G20の為替というのはどうでしょうか。懸念されていますよね。

《佐々木氏》 「アメリカが比較的各国の為替操作に対して厳しい態度を出してくる可能性もありますので、そのへんが要注意かなと思いますね。」

--そうなると株にももちろん影響が出てきますよね。その辺り、広木さんはどう見ていますか。

《広木氏》 「僕は、G20それほど、終わってみれば、大きな波乱なく通過すると思いますね。」

--ということで、3.15、それから週末に向けての動き、まとめてお伝えさせていただきました。
 

■日経朝特急

非正規2万人組合員に
オリエンタルランドの労働組合は、約2万人いる非正規従業員を4月1日付で組合員にする。組合員は現在の約2900人から22000人程度に増える。対象はアルバイト、ショーの出演者、嘱託社員などで、全従業員の8割以上を占める。従業員の賃金や働き方の待遇改善を進め、人手不足に対応する。
 

データ保護幅広く
経済産業省は、企業が販売するデータを不正に取得する行為に対し、損害賠償を求められるようにする。現行法では企業が社外秘としていることが保護の条件とされていて、一旦データが売買されると、保護を受けにくくなっている。あらゆるものがネットにつながるIoT技術やスマホの普及で、価値を生むデータが増えていることに対応する。
 

貯蓄率、15年ぶり高水準
総務省の家計調査によると、貯蓄率を示す去年の黒字率は、27.8%と前年比1.6ポイント上がり、15年ぶりの高水準となった。雇用改善で所得は緩やかに増えたが、高い年齢層の世帯を中心に節約志向が根強いことが浮き彫りになった。
 

■日刊モーサテジャーナル

アメリカの無保険者、↑1400万人との試算
アメリカの医療保険制度改革法(通称オバマケア)の見直し案について、共和党が検討する法案通りとなれば、保険に加入していない人が、2018年には今より1400万人増えるとの試算が明らかになり、各紙が大きく報じている。
《共和党案》
・ 「保険加入義務や罰金を廃止」
・ 「低所得者への政府の補助金も削減」
試算を出した米国議会予算局によると、見直しが実現すれば、今後2年間で平均保険料は15~20%上昇。ただ2026年までに財政赤字を3360億ドル縮小できるという。ニューヨークタイムズは、「低所得者から保険を奪った金が、富裕層のための減税に回されるだけだ」と批判している。
 

イギリス経済指標、公表前に漏洩か?(ウォールストリートジャーナル)
2年間のイギリス国債先物価格の動きの平均を示したグラフ。発表の一日前から価格が動き始め公表後、公表前、同じ方向に動いていることが分かる。こうしたことから、「イギリスの経済指標の数字が公表前に漏れている可能性があるのでは」、と警鐘を鳴らしている。ある調査によると、2011年4月~16年6月の公表されたイギリスの経済指標は、172あり、そのうちの約6割のケースでイギリス国債先物価格の指標発表後の上げ下げを正しく予想していたという。記事は、「アメリカなど他の国のトレーダーは、経済指標をイギリスのトレーダーと同じ精度では予測できない」、と指摘。また、「イギリスは公表前に数字を事前開示される対象者が約100人近くに及ぶため、漏洩のリスクを大幅に高めている」、と苦言を呈している。
 

アメリカ抜きのTPP、日本に注目
15日からチリで開かれるTPP環太平洋経済連携協定の閣僚会合について、アメリカ抜きでTPPを実現できるのか、その行方が注目されている。記事は、「TPPマイナスワンの合意に向け、各国が奔走しているものの、合意に向けて極めて重要な役割の日本が、アメリカがいなくなった今、市場を開放することに乗り気ではない」、と指摘。そのため「米国無しでのTPP合意は望みの薄い賭けだ」、と伝えている。
 

・ 「アメリカの無保険者、↑1400万人との試算」について

--アメリカの財政を考えると、オバマケアは見直される方向なのは間違いない。

「そうですね。だからこれをいまトランプ大統領は最優先課題として行っているが、なかなか解決まで時間がかかりそう。今日連邦債務上限が復活して、このあと連邦暫定予算が期限切れになるので、4月末あたりになると、資金繰りに困るような形になってくる。その後、国境調整の話があって、それから法人税率の引き下げという話になるので、かなり道は長いですね。だからなかなか法人税率引き下げまで今年中に行くというのは、だいぶ可能性としては低くなってきたているということだと思いますね」

--広木さん難しいですね。その辺りは株式市場も期待しているところですけれどね。

「そうなんですね。でも今、佐々木さんが仰った通りですね。やっぱり減税とかインフラというのは先の先になりそうですね。ただこのオバマケアの見直しは、これはすごく共和党向きの案件なので、オール議会が共和党ですので、これについてはすんなり行くだろうなと思いますね。」

--それから予算も出ますね。

「ただ、これが最初は予算教書とか言っていたのに、予算方針という大枠になっちゃったので、コチラも期待薄ですね。」


■今日の予定

日銀金融政策決定会合(~16日)
米FRBイエレン議長会見
米2月消費者物価指数、小売売上高
米債務上限引き上げ適用期限
オランダ総選挙
 

■ニュース

OPEC月報 原油価格 47ドル台
OPEC=石油輸出国機構が14日に発表した最新の月報を受け原油価格が急落しています。2月のOPEC全体の原油生産量は減少し、減産継続を示す内容でした。ただ併せて発表された各国の自己申告データによりますと、サウジアラビアの生産量は増加しています。
《OPEC原油生産量(日糧)》
・ 1月 3210万バレル
・ 2月 3196万バレル
《サウジアラビアの生産量(自己申告)》
・ 1月  975万バレル
・ 2月 1001万バレル
一方、今年のOPEC非加盟国の生産量予測は日量5,774万バレルと前回より16万バレル上方修正されました。カナダのオイルサンドやアメリカのシェールオイルの生産増加の見通しを指摘しています。
 

米2月生産者物価指数↑0.3%
アメリカの2月の生産者物価指数は前の月に比べ0.3%の上昇と市場予想を上回りました。
《食品↑0.3%、貿易↑0.4%、エネルギー↑0.6%》
食品やエネルギー、貿易など幅広い項目で上昇しました。前の月よりドル安が進んだことや原油などの商品価格が回復したことが背景にあるとみられます。食品とエネルギーを除くコア指数も0.3%上昇と市場予想を上回りました。
 

英中銀 ホッグ副総裁が辞任
イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行のシャーロット・ホッグ副総裁が14日、就任からわずか2週間で辞任しました。兄弟がイギリスの金融大手バークレイズに勤めていることを申告していなかったためで、利益相反の問題があるとして批判されていました。
 
 
オランダ総選挙 自由党躍進か
さてオランダでは15日に総選挙の投票が行われる予定でEUからの離脱やイスラム教の排斥を訴える野党・自由党が第一党をうかがう勢いとなっています。今回のオランダ総選挙ではEU離脱を訴える野党・自由党がどこまで議席を伸ばすかが焦点です。仮に自由党が第一党となっても、他の政党は自由党との連立を拒否する構えを見せていて、政権につく可能性は極めて低い状況です。ただ同じく反EUを掲げているフランスの大統領候補ルペン氏には追い風となり、今後のEUの結束に打撃を与えそうです。最初の出口調査の結果は日本時間の16日午前5時以降に出る見通しです。
 

東芝 WH株の過半数を売却へ
経営再建中の東芝はきのう、巨額損失の原因となったアメリカの原発子会社、ウェスチングハウスの株式の過半数を売却する方針を発表しました。(東芝・綱川社長)「ウェスチングハウスの位置づけを根本的に見直す。戦略的選択肢を積極的に検討するということで進める」東芝は2017年度中にウェスチングハウスの株式の過半数を売却し、損失が東芝本体に及ばないよう連結対象から外す考えです。さらにウェスチングハウスによるアメリカ連邦破産法11条の適用申請を選択肢として検討していることも表明し、巨額の損失を出し続けている状況に歯止めをかける考えです。東芝はきのう、去年4月から12月期の連結決算の発表を来月11日まで再延期すると関東財務局に申請し承認されました。次回再々延期が認められない場合、東芝は、8営業日後に上場廃止となります。東京証券取引所は、きょう付で、東芝株を上場廃止の恐れのある「監理銘柄」に指定替えします。
 

ソフトバンクグループ 孫社長 サウジ国王と会談
(ソフトバンクグループ・孫社長)「サウジを大いに繁栄させていく。投資を通じて繁栄させていく」ソフトバンクグループの孫正義社長は昨夜、来日しているサウジアラビアのサルマン国王と25分間にわたって会談しました。孫社長は、サウジアラビアの政府系ファンドと共同で発足させる10兆円規模の投資ファンドについて説明し、サルマン国王からは、「大いに期待している」とのコメントがあったということです。孫社長は、サルマン国王に、ソフトバンクの人型ロボット、「ペッパー」を贈りました。
 

三菱自動車 主要ポストに日産出身者
三菱自動車は、来月1日付で、日産自動車出身の4人が執行役員に就く人事を発表しました。4人は商品戦略や販売、購買などの主要部門を担当します。また、執行役員の数を38人から27人に削減し、日産の会長を兼務するゴーン会長のもとで、意思決定の迅速化を図る考えです。
 

小池都知事 「第三の道は考えず」
東京都の小池知事は、都議会の予算特別委員会で、「豊洲市場への移転」と「築地市場に残留」以外の選択肢について、「現時点で第三の道は考えていない」と述べた上で、移転の可否を総合的に判断する考えを示しました。また、どちらが衛生面で優れているかとの質問については、「豊洲市場は開場していないので比較できない」と明言を避けました。
 

中国 固定資産投資 8.9%増
中国の国家統計局が発表した1月から2月の固定資産投資は1年前に比べ8.9%伸びました。政府のインフラ投資など景気刺激策が支えとなりました。また不動産開発投資も8.9%増加し、伸び率は2年ぶりの高い水準でした。政府は住宅購入規制を強めているものの、開発業者の投資意欲は衰えていないもようです。一方消費は冴えませんでした。小売売上高は9.5%のプラスと、2006年以来11年ぶりに伸び率が一桁に留まりました。今年から減税措置が縮小し、自動車販売が落ち込んだことが影響しました。
 

森友学園めぐり 稲田大臣の答弁訂正で攻防
国会では学校法人森友学園をめぐり、稲田防衛大臣が答弁を訂正したことについて、大臣の辞任を求める野党と、辞任に値しないとする政府与党の攻防が続いています。(稲田防衛大臣)「夫の代わりに出廷したと確認できた。訂正しおわびします」稲田大臣はこれまで、過去に森友学園が起こした裁判に関わったことはないと国会で明言してきました。しかし、弁護士として出廷していた記録が明らかになったことから、きのう、発言を訂正し、謝罪しました。ただ、大臣の辞任については否定しました。民進党など野党は、稲田大臣の発言を「虚偽答弁」だとして、大臣の辞任を求め、追及を強める構えです。一方、政府は、答弁の誤りは故意ではなかったとして、辞任は必要ないとの姿勢を崩していません。ただ、籠池理事長とは10年ほど会ってないとする稲田大臣と、1、2年前に会っているとする籠池氏とで、発言に食い違いも残っています。国会ではきょうも森友学園についての質疑が行われる予定で、激しい論戦が展開されそうです。
 

米北東部に大雪 混乱も
アメリカ北東部は14日、大雪に見舞われましたが、ここニューヨークでは予想ほどではなかったというのが正直なところです。ニューヨーク周辺の空港では5,800便以上が欠航となるなど大きな影響が出ました。これを受け、アメリカの航空大手ユナイテッドの株価が一時およそ5%下落するなど、航空各社の株価は軒並み下げました。(ユナイテッド↓5.0%、アメリカン↓3.6%、デルタ↓2.6%)。ただ、ニューヨーク州は直撃をまぬかれて、非常事態宣言を出していたニューヨーク州のクオモ知事は先ほど、「今回も難しい予報だった」とコメントしました。ワシントンでは雪の影響で連邦政府が職員の出勤を3時間遅らせましたが大きな混乱は確認されていません。
 

■【コメンテーター】
JPモルガンチェース銀行/佐々木融氏(為替)
マネックス証券/広木隆氏(日本株)

・ 米国生産者物価↑0.3%・幅広く上昇

--さて広木さん、アメリカの物価が継続して上昇していることが確認されました。ただ、これは世界的な動きのようですね。

《広木氏》 「そうですね。世界的にいま景気の・・・から循環的に回復基調が強まってますから、製造業の景況感などもみんな強いですし、それでインフレの指標も上向いてきているということですよね。だからだんだん今までデフレ・ディスインフレの時代だったのが、脱デフレ・インフレのほうに向かっているということですね。ニューヨークのレポートでも、人手不足で今後、賃金上昇圧力が・・・なんて話があったと思いますけれども、生産者物価もそうだし、消費者物価もそうだし、いよいよ賃金もという、そういう段階に近づいているんじゃないでしょうかね。」

--アメリカも利上げへGOという形になりそうな中で、ただ一方で、佐々木さん、別のリスクを警戒する動きもマーケットにみられますね。

《佐々木氏》 「そうですね、オランダがトルコと揉め始めていて、これが自由党の予想外の躍進なんかにつながると、やはりフランス大統領選をにらんで、リスクオフになる可能性があって、昨日は円高になっているんですけれども、先ほどニューヨークのトレーダーと話をしたら、やはり少しこれを意識してユーロ円が売られたというようなことも言っていたので、これが少し意識されるかもしれないですね。」

--ナーバスになってきているようですね。


・ きょうの経済視点 「政治リスク、季節の変わり目」

《佐々木氏》 「政治リスク」
「今日、利上げが行われれば、次の利上げはおそらく6月と予想されるんですが、そこまで政治リスクが目白押しで、オランダの選挙が終わった後に、あとまだブレグジットもありますし、あとフランスの大統領選挙もありますし、アメリカのほうではこれからようやく政権が本格起動してきて、4月には為替操作報告とか、日米経済対話もありますし、その辺の政治リスクがあるので、むしろちょっと金利から目が離れてリスクオフになりがちになってくるんじゃなかなというふうに見てます。」

《広木氏》 「季節の変わり目」
「ニューヨークは大雪で、東京も今日は真冬のような寒さですが、でも実はもうお彼岸ですからね、春分の日。もう季節も春になるんですよ。そうすると、株の物色対象や為替や金融政策や、いろんなものがこれまでとはたぶん変わってくる。相場も潮目が変わってくる頃じゃないかなと思いますね。」


2017.3.14 Newsモーニングサテライト

2017年03月14日 16時36分09秒 | MS
■マーケット

NYダウ 小幅に反落
13日のNY株式市場は高安まちまちでした。今週は市場にとって今年にて一番の山場。アメリカの金融政策、そしてヨーロッパの行方などビッグイベントが満載です。金融政策に関しては今年の利上げペース加速への警戒が高まっていて、アメリカの10年債利回りは2.6%台と高い水準で推移しています。経済指標の発表はほとんどなく反応できる材料も限られた中、株価は引けにかけて下げ幅を縮めました。オランダ総選挙やブレグジットの手続きなど今週は様子見を誘う材料が盛りだくさんです。12日からアメリカは夏時間で、日本時間の朝5時にNY株式市場は取引を終えました。では終値です。ダウは3日ぶりに反落し21ドル安の2万881ドル。ナスダックは4日続伸し14ポイント上昇の5,875。S&P500は3日続伸し0.8ポイントプラスの2,373でした。13日のセクター別騰落率、全体的に動きは小幅でした。金などの商品価格の上昇で素材セクターがしっかり。一方、株価が底堅い動きでいわゆるディフェンシブのヘルスケアなどはさえない動きでした。

【NY証券取引所中継】米 利上げ後の株は?
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏

--週明け、高安まちまち、やはり様子見が強いですかね。

はい、インテルによるモービルアイ買収が話題となりましたが、FOMCなどのイベントを控え、マーケット全体としては小動きとなりました。

--さてアメリカには足下の状況を暗示するような格言があるようですね。

はい、「Three steps and a stumble」(3回の後はつまづく)。つまり「3回目の利上げの後は株価が下落する」といことです。
(フリップ:「3回利上げ」後のS&P500(1971年~))
実際、調べてみると1971年以降、3回以上の利上げは10回ありましたが、3回目の利上げから、3か月後の株価を見ると、6回は株価が下落していて、平均の下落率は2.2%です。利上げは金融引き締めを意味するため、株価にとって短期的な悪影響を反映したものと思われます。
 

--ということはやはり格言通りなんですね。

ただ、半年後のパフォーマンスを見ると、10回中7回は上昇で、格言の指摘は利上げ直後の短期的な反応のようです。また過去10回のうち、1~2回目の利上げは平均で111日、2~3回目の利上げは平均で64日でした。これに対して今回は、1~2回目が364日、また今秋利上げをすれば、2~3回目は約90日です。つまりFRBは慎重な利上げで、利上げの影響を吸収する時間を市場に与え、結果として株価への影響は限定的になる可能性が高いと思います。

 
【NY証券取引所中継】米 利上げで景気は?
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏

--やはり様子見が強かったですね。

はい、インテルによるモービルアイ買収が話題となりましたが、FOMCなどのイベントを控え、マーケット全体としては小動きとなりました。

--さて今週の利上げはほぼ確実とみられる中、金利の動きに警戒との声もありますよね。

(フリップ1:年3回利上げで10年債利回り2.8%予想)
はい、利上げの折り込み度合いを示すFFレート先物と10年債利回りには一定の関係があり、市場が年内3回の利上げを完全に織り込むと、10年債利回りは2.8%程度まで上昇すると見ていますが、今はまだ完全に織り込めてはいないようです。今回の会合で、最低4人のメンバーが利上げ見通しを年4回に変更すれば、中央値でも4回が示唆され、長期金利はさらに上昇する可能性が出てきます。

--なるほど、ただ、金利上昇が景気を冷やす懸念が台頭してきませんか。

はい、目先予想されている水準であれば、そんなに心配はいらないと思います。例えば、金利(10年債利回り)が3%まで上昇したとすると、前年比で1.3%~1.5%上昇することになります。
(フリップ2:金利上昇も景気に逆風なし)
10年債利回りの前年比とIMS製造業景気指数には相関性がありますが、過去に10年債利回りが前年比で1.3%~1.5%程度上昇した局面でも、ISM製造業景気指数は上昇していて、景気の逆風にはなっていません。

--なるほど、ただ他にも金利上昇に敏感な業界はありますよね。

はい、住宅市場もその1つです。家計が住宅取得に必要な所得水準を上回っているかどうかを見る住宅取得能力指数というものがあります。100を超えていれば環境は良好で、現在は160を上回っています。住宅用品大手「ホーム・デポ」の幹部は「住宅ローン金利が7%まで上昇しなければ、100を割ることはない」と指摘していて、現在はまだ4%強の水準です。つまり目先、長期金利が上昇しても、住宅や製造業などに深刻な影響を与えるまでには至らないと考えられます。
 
 
【為替見通し】注目ポイントは「“イエレンドット”の行方」
解説は野村証券の池田雄之輔氏

--NY市場も動きづらい展開でしたね。

そうですね。雇用統計、先週金曜日にありましたけれども、これを消化し、そして明日のFOMC待ちということで様子見といった具合です。

--今日の予想連委は、114.30-115.50円です。

上値のほうとしては、やはり金曜日の115円51銭を受けるには材料不足ですし、かといって、下のほうは114円30銭辺りにテクニカルなサポートレベルがありますので、ほぼ横ばいのような相場になると見ています。

--そしてFOMCでは利上げが確実視されていて、焦点はメンバーが想定する利上げ回数、いわゆるドット・チャートに移っていますよね。そんな中で注目ポイントは「“イエレンドット”の行方」です。

(フリップ1:イエレンドットはどこへ?)
ドット・チャートではそれぞれのメンバーが利上げの回数をどのように考えているかということが分かるわけなんですけれども、イエレン議長はFOMCのメンバーン中で、利上げの回数は少なくていいと考えているハト派から数えまして、おそらく5番目辺りに位置しているというのが、メンバーン発言などから判断できます。12月の時点では、イエレン議長は5番目ということですと、17年は2回の利上げでよいという考えであった可能性が高いんですね。ところが最近の発言では3月の利上げにもかなり前向きになっていますので、おそらく今年3回の利上げを念頭に置き始めている可能性が高いと思います。そのようなことが今回のドット・チャートで、もし1回、2回のメンバーが大きく減ってきますと、イエレン議長はやっぱりここ(3回)に移ったんだということで、市場の見方が変わってくる可能性があると思います。イエレン議長でさえ3回の利上げを指示しているということになりますと、それを織り込んで1ドル116円台というのが目安になってくると思います。

【日本株見通し】注目ポイントは「嵐の前の静けさ」
解説はコモンズ投信の糸島孝俊氏

--今日の予想レンジは、19500円~19700円です。

明日のFOMCや米国債務上限期限の到来、オランダ総選挙などの重要イベントを前に、米国市場は小動きとなりました。今日の東京株式市場も昨日と同様に小動きで、19600円を挟んだ狭いボックス内での動きを想定します。多くの投資家はイベント後の動きに備え、ポジション調整に終始すると思われます。

--その日経平均株価は、昨年来高値を更新してはいますが、小幅な値動きなんですよね。

(フリップ:日経平均、高値更新せず)
そうですね。このグラフはアベノミクス相場が始まって以降、日経平均高値20952円を付けた2015年6月第4週の終値を100とした日経平均の各指数の推移です。東証2部指数、日経ジャスダック平均ともに先週末までに高値更新が続きましたが、日経平均は未だ更新できていません。
 

(フリップ2:日経平均銘柄、海外依存高い)
世界的な景気敏感株である日経平均は、採用銘柄の海外売上高比率が、東証2部や日経ジャスダック銘柄に比べ高く、約半分の48.8%です。海外イベントを前に日経平均の売買が手控えられていることが原因と思われます。

--ということは注目ポイントにもあるように、日経平均は15日の重要イベント後に「春の嵐」がやってくる可能性が高いのでしょうか。

はい、上下に500円程度、変動してもおかしくありません。基本的にはイベントの無事通過で株価上昇シナリオを見ていますが、内容があまり新鮮味がなければ、材料出尽くしから、投機的筋による仕掛け的な動きもあると思います。まさかの展開も頭に入れておきたいところです。
 

■【プロの眼】米政権の「日本たたき」はあるのか
3月17~18日に開かれるG20声明の為替をめぐる文言が大きく修正される可能性が浮上しているが、為替や通商政策をめぐって、日本たたきはあるのか。野村証券の池田雄之輔氏は日本への言及は他国と比べて少なく、日本たたきはないと見ている。また、4月に予定されている日米経済対話での批判もないとみる。
 
--アメリカ政権の「日本たたき」はあるのでしょうか。もちろん今週はビッグイベントがたくさんあるんですけれども、なかでも今週末のG20声明の為替をめぐる文言が大きく修正される可能性が浮上してきていますが、まず為替に対する日本たたきというのはどうでしょうか、無いですか。

「はい、基本的にないと思っている。今回は、アメリカの新しく財務長官に就任したムニューチン氏がデビュー戦ということになるわけなんですが、今までの発言からすると、日本をたたくということは基本的にないと考えています。それから注目ポイントとしては、G20の文言が変わるかもしれないという合意事項なんですけれども、もともとは必ず『保護主義に対抗する』というような言葉を盛り込んでいたんですが、今回それを修正して、『公正な貿易』という言い方に変えるような、いわばアメリカの新政権の意向を若干反映させるということはあるかもしれないと思います。あとは今回、開催地がドイツということですので、ドイツの対米貿易黒字に対して何らかのコメントがあるかもしれないということも言われているんですけれども、基本的にユーロ・円を批判するということは、可能性は低いんじゃないかと思いますね。」

--そうですか、ただ、振り返ってみますと、為替や通商問題に関して、トランプ大統領は日本を名指ししたこともありますし、そのうえでの日本たたきはまだ懸念しなけれいけないんじゃないですか。

「そうですね。ただ、名指しでの日本批判というのは、トランプ氏の場合は1月中に2回あっただけで、いずれも自動車メーカーのトップや医薬品メーカーのトップなどのビネスマンの前での、いわばリップサービス的なものであって、本当の政府の方針ではないと思うんですね。」

(フリップ1:日本への言及は5回)
「通商チームの本当の方針という意味では、私が非常に重要だと思っていますのが、昨年の9月にある共著のレポートというのが発表されていまして、それはアメリカのロス商務長官、ナバロ貿易担当補佐官が30ページぐらいのホワイトペーパーというものを昨年9月に書いているんですけれども、その中で国ごとにどれぐらい言及があるか、それによってどれぐらい批判されているか、されていないか、1つの目安になると思うんですけれども、中国は39回も言及があるんですよね。そのあとにドイツ(ユーロも低めて)が16回、メキシコ12回で、日本はわずか5回しか言及がないんですね。しかもその中でも、日銀への言及はゼロです。そして円安あるいは円ということも全く触れられていなくて、さらには自動車貿易についても一切批判がないんですね。」

--そうですか。それではちょっと私たちも神経質になり気味だったのかという気もしますね。ただ一方で4月中旬には日米経済対話も始まる見通しですし、ここでは2国間という上での日本たたきということは考えられませんか。

(フリップ2:「日米経済対話」で日本たたきは?)
「今回の4月の最初の日米経済対話では、そこまでの何かギリギリとした交渉ということは多分ないと思うんですね。そう考える根拠は3つほどあると思うんですけれども、まず第1に、今回の日米経済対話という新しい枠組みのアメリカ側のトップをだれがやるのか、ということなんですが、ペンス副大統領なんですね。ペンス氏は昨年までインディアナ州の知事をやっていた。これが重要だと思いますね。インディアナ州というのは日本の自動車メーカーが最も進出して、現地に工場をいっぱい建てているところなので、いかに日本車メーカーが現地生産でアメリカのコミュニティ、そして雇用に貢献しているかというのを、一番分かっているのがペンスさんだと言っても過言ではないと思うんですね。そこは安心感があると思います。」

--それからアメリカ政権発足間もないということで、ここはまだ話が詰まっていないということですか。

「そうですね。しかもここからアメリカにとって一番重要なのは、NAFTAの再交渉と、それから6月の米中戦略対話なんですね。ですので対日の交渉にかける時間と人材の余裕はあまりないのではないかということですね。さらには、そもそも日米経済対話の中には、為替というのは議題から外れてまして、これは財務省間で別途やるということになっていますので、4月の経済対話では特に日本たたきはないと考えています。」
 

■日経朝特急

退位、特例法制定へ
今の天皇陛下の退位を認める特例法が今の国会で制定される見通しになった。皇室典範の付則に特例法の根拠規定を設けることで、恒久制度化を主張してきた民進党が容認する方針を固め、与野党合意のめどが立った。
 

フリーランス失業に保険
政府はフリーで働く人への支援を手厚くする。失業や出産の際に所得補償を受け取れる団体保険の創設を提言する。副業も含めた広義のフリーランス人口は1064万人に膨らんでいて、政府は損害保険大手と商品を設定し、来年度から民間で発売してもらう。介護や子育てを理由に、自宅で働く人も増えていて、若年層や女性の多様な働き方を支える。
 

新規流通、2016年度ゼロ
新たに流通する1円玉は、今年度は4年ぶりにゼロになりそうだ。スマートフォンでの決済や電子マネーの普及で、1円玉を使った取引が少なくなったためで、流通量の減少傾向が続くとの見方が強くなっている。
 

家庭紙1割値上げ
家庭で使用する紙が1割値上げ。大王製紙は、ティッシュペーパーやトイレットペーパーの出荷価格を5月1日から10%以上引き上げる。電力料金やガスなどの燃料費上昇に加え、円安による輸入パルプの価格上昇が理由だ。家庭紙国内首位の大王製紙が値上げに踏み切ったことで、他社にも動きが広がる可能性がある。
 

■日刊モーサテジャーナル

英EU離脱交渉、難題に直面も(ウォールストリートジャーナル)
英メイ首相が早ければ今週にもEUに対し正式に離脱を通知すると見られている中、ウォールストリートジャーナルは、「イギリスはいよいよ難題に直面することになるだろう」、と伝えている。記事は、「EU離脱決定後もイギリスの経済は堅調で、悪影響はほとんどなかったように見えるが、それはまだ離脱問題が現実のものになっていないからで、その証拠に先週発表されたイギリスの経済成長率見通しが今年の2%から来年以降は鈍化する。」、と指摘している。また国内を見ると、スコットランドが独立を問う住民投票実施の意向を示しているほか、北アイルランドでは陸続きで、主要な貿易相手であるアイルランドとの関税障壁などへの懸念からアイルランドとの併合機運が高まり、イギリスの火種となる恐れがある、と見ている。
 

ユーロ圏国債利回り、上昇続く見通し(ウォールストリートジャーナル)
ドイツの10年債利回りのグラフをみるとBNPパリバ、JPモルガンなどの債権専門家は今年、ユーロ圏諸国の債権の利回りは上昇を続けると予想している。記事は、その理由として、「ユーロ圏のインフレ率の上昇や堅調な経済成長が背景にある」、と指摘。今後、オランダ総選挙やフランス大統領選など、政治的リスクを抱えているものの、ある社債の専門家は、「どんな結果が出ても、ユーロ圏の国債の利回りは上昇を続け、結果として社債と国債の差が6月までは広がると見ていて、債権取引には注意が必要がある。」、と警鐘を鳴らしている。
 

米ニューヨークなど北東部に猛吹雪
アメリカでは観測史上2番目に暖かかった2月から一転、今晩から明日にかけNYやワシントンを含む北東部が、激しい吹雪に見回られることについて、USAトゥデイなどが報じている。既に中西部に雪をもたらしている今回の猛吹雪は、強い風と積雪が特徴で、瞬間最大風速は時速80キロを超え、多いところで45センチ以上の雪が積もると予想されている。USAトゥデイによると、今回のような猛吹雪が3月にやってくるのは1960年以降、3度目とのこと。前回の1993年にはフロリダ州やメーン州を襲い、約300人が亡くなったという。既に12日(日曜日)から100便以上の欠航が相次いでいて、14日に予定されていたトランプ大統領とドイツのメルケル首相との会談も、17日に延期が決まった。
 

・ ユーロ圏の金利上昇、今後も続くわけとは

--池田さんはユーロ圏の金利の上昇というのはかなりしっかりと上がっていくと見ていますか。

《野村証券/池田雄之輔氏》
「確かに今指摘もありました通り、景気見通しとインフレが上がってきているというのは事実だと思うんですね。ただ、もう1つは、やはり物理的に国債をECBが買いたくないというのが出てきているので、それによって金利が上がりやすくなっているということもあると思います。」

--ということは今後の金融政策次第ということもあるわけですか。

「ただ、それについてはまだ失業率が高すぎるということがありますので、早急な利上げはないと考えていいと思いますね。」

--ただ、テーパリングというのは来年以降の予定は見えてないですもんね。

「そうですね。そこは9月にはおそらく決定されるんですが、それを巡っての思惑が揺れ動くと思います。」

 
■今日の予定

日・サウジ ビジネスフォーラム
中国1~2月鉱工業生産、小売売上高など
米2月生産者物価指数
米FOMC(~15日)
 

■ニュース

トルコ大統領「オランダに制裁も」
オランダとトルコの関係が急速に悪化しています。トルコのエルドアン大統領はオランダに対し制裁を課すことを辞さない構えを示しました。トルコでは来月、大統領権限の強化を問う国民投票が予定されていて、オランダに住むトルコ系住民の政治集会が予定されていました。しかし参加予定だったトルコの閣僚の入国をオランダが拒否したため、非難合戦となっていたものです。トルコが課す制裁の影響は、経済だけでなく、文化・軍事面などにも及ぶ可能性があるとみられます。
 

米 インテル モービルアイ153億ドルで買収
アメリカの半導体大手インテルは、自動運転技術の開発を進めるイスラエルのモービルアイを153億ドル=およそ1兆7,500億円で買収すると発表しました。モービルアイは、カメラのセンサーを使った事故回避の技術などで定評があります。スマートフォン市場で出遅れていたインテルですが自動運転の分野では、去年7月にドイツのBMWと提携するなど技術開発に力を入れています。
 

アトランタ連銀総裁にボスティック氏
アメリカのアトランタ連銀は、退任したロックハート総裁の後任として、南カリフォルニア大学教授のラファエル・ボスティック氏を指名すると発表しました。就任は6月5日付で、アフリカ系アメリカ人の連銀総裁は初めてです。ボスティック氏はFRB連邦準備制度理事会の元シニアエコノミストで都市開発が専門です。
 

スコットランド 再び住民投票の意向
スコットランド行政府のスタージョン首相は13日、イギリスからの独立を問う2回目の住民投票を実施する意向を示しました。来週に法的手続きを開始し、早ければイギリスがEUを離脱する前の来年秋にも投票を行うとしています。これに対しイギリスのメイ首相は「政治はゲームではない」とけん制し「住民投票はスコットランドにさらなる分断と不透明感をもたらすだろう」と言いました。
 

安倍総理が要請 残業「月100時間未満」で決着へ
安倍総理大臣は、経団連と連合の労使のトップと会談し、時間外労働の上限規制について、繁忙期の例外を月100時間未満とするよう要請し決着する見通しとなりました(安倍総理)「ぜひ(時間外労働の上限を)100時間未満とする方向で検討していただきたい」時間外労働の上限規制については「100時間以下」としたい経団連と「100時間未満」としたい連合で折り合いませんでしたが、経団連は安倍総理の要請を受け入れる方向です。これに対し過労のため自殺した電通元社員の高橋まつりさんの母・幸美さんは、「まったく納得できません。繁忙期であれば、命を落としてもよいのでしょうか」などとコメントを発表するなど、過労死遺族は強く反発しています。
 

4月~12月期 東芝 決算発表を再延期へ
経営再建中の東芝が、きょう予定していた2016年4月から12月期の決算発表を再び延期する見通しとなりました。経営陣に不正の疑いが浮上しているアメリカの原発子会社に関する調査が長引き、監査法人の最終的な承認が得られていないことが原因とみられます。東芝の綱川社長は、きょう記者会見を開いて、経緯などを説明する予定です。
 

三越伊勢丹 杉江次期社長 対話不足など反省
(三越伊勢丹ホールディングス・杉江次期社長)「対話、コミュニケーションが不足していた」三越伊勢丹ホールディングスは来月、社長に就任する杉江俊彦氏が会見し従来の経営方針を引き継ぐとしながらも従業員らとの対話不足や矢継ぎ早の多角化を「反省点」と指摘しました。事業の撤退や縮小など構造改革については5月に予定している決算発表で公表すると述べるにとどめました。
 

日・サウジ首脳会談 「脱石油」へ9分野の協力で合意
安倍総理大臣は、サウジアラビアのサルマン国王と会談し、エネルギーやインフラなど9つの分野で日本が協力していくことで合意しました。サウジアラビアが進める「脱石油」の経済改革を後押ししていきます。両政府は日本企業の進出を促す経済特区の創設や、トヨタ自動車が現地生産の可能性をサウジアラビア政府と共同で調査するなどの協力を進めます。
 

シャープ 戴社長 高い業績でボーナス最大8ヵ月
経営再建中のシャープの戴社長は「シャープの人材がモチベーションアップしてスピードアップすれば業績回復は問題ない」と会見で述べ、2017年度のボーナスについて、高い業績を挙げた社員に最大年8ヵ月分を支給すると明らかにしました。平均は年4ヵ月分ですが業績に応じて最大2倍にする一方、最も少ない場合は年1ヵ月分とし、信賞必罰の処遇を一段と徹底させます。
 

DeNA情報サイト 記事2万本 画像74万件著作権侵害か
IT大手ディー・エヌ・エーはずさんな管理が発覚した情報サイトについての調査結果を公表し最大2万本の記事と画像74万件あまりで著作権侵害の疑いがあることが分かりました。第三者委員会の調査報告書によりますとDeNAが運営していた10のまとめサイト約37万件をサンプル調査をしたところ、記事で最大約2万本、画像で74万件あまりに著作権侵害の疑いがあるとしました。また、10本の記事では医薬関連の法令に違反した可能性があると認定しています。調査結果を受けて守安社長は、責任を取って月額報酬の減額幅を拡大するほか、創業者の南場会長に再び代表権を与え、法令遵守を徹底するとしています。
 

国連本部で会見 北朝鮮次席大使 正男氏殺害に言及
北朝鮮のキム・インリョン国連次席大使が13日ニューヨークの国連本部で記者会見しました。金正男氏がマレーシアで殺害された事件ついてキム次席大使は殺害に猛毒の神経剤VXが使われたのが事実であれば、韓国から持ち込まれた可能性があると根拠を示さずに主張しました。また遺体は北朝鮮国籍の「キム・チョル」だと強調し、事件は全てアメリカと韓国の作り話だとしています。
 

トランプ大統領 初の閣僚会合
アメリカのトランプ大統領は先ほど、ホワイトハウスで初めてとなる閣僚会合を開きました。(トランプ大統領)「この内閣はアメリカ国民を守るためにある」トランプ大統領は、これまでにおよそ50万人分の新たな雇用を創出したと強調した上でメキシコから不法に入国する人がおよそ4割減ったことを成果としてアピールしました。一方で、野党・民主党の抵抗で労働長官など4人の閣僚がまだ就任できていないとして民主党を強く批判しました。
 
 
4月にも中国 習主席訪米 首脳会談へ
アメリカ・ホワイトハウスのスパイサー報道官は、中国の習近平国家主席が近くアメリカを訪れトランプ大統領と会談する方向で調整していることを明らかにしました。アメリカメディアによりますと両首脳は来月6日から7日にフロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の別荘、「マールアラーゴ」で会談する方向で調整していて、経済や安全保障の幅広い分野について協議し両国の関係改善を目指すということです。
 
 
■【リーダーの栞】WHILL(ウィル) 杉江理(すぎえさとし)社長
電動車いすを手がけるベンチャー企業、WHILL(ウィル)の杉江社長が進める1冊はソニーの創業者のひとりで、長らく日本の国際的な顔であった故・盛田昭夫氏の自伝「メードインジャパン・わが体験的国際戦略」。ウィルは会社設立の翌年の2013年、電動車いすの市場が日本の10倍とも言われるアメリカに進出します。自動車メーカーの開発出身の杉江社長はアメリカ進出当時、セールスやマーケティングの経験や知識は全くなかったと言います。知識がない部分をどう補うかのヒントがこの本にありました。

電動車いすベンチャーのWHILLの杉江理CEO。乗ってきたのは主力商品の電動車いす。9時間充電で20キロの走行が可能、前輪に24個のタイヤを使い小回りが可能に。操作はレバーだけで行う。4輪駆動により、7.5cmまでの段差を乗り越えられる能力があり、悪路の走行もこなせるという。価格は99万5千円。世界最大の車いす市場の米国に拠点を置き、本格販売を目指す。

杉江理CEOの今回の一冊は、ソニーの創業者の一人で長らく日本の国際的な顔であった故盛田昭夫氏の自伝「MADE IN JAPANわが体験的国際戦略」(朝日新聞社)。ソニー設立から国際的企業に成長までの記録、そしてグローバル展開で培った経営論が綴られている。

WHILLは会社設立の翌年の2013年、電動車いすの市場が日本の10倍と言われるアメリカのシリコンバレーに進出。しかし自動車メーカーの開発出身の杉江CEOは、アメリカ進出当時、セールスやマーケティングの経験や知識は全くなかったという。

知識を補うヒントがこの本にあった。印象に残ったのがソニーのしたたかな価格戦略だった。アメリカでのトランジスタラジオの売り込みで、初めて10万個もの大量注文に対して、森田氏は価格を下げるのではなく、あえて値上げして見積もり、アメリカ人を驚かせた。
 

■【コメンテーター】野村証券/池田雄之輔氏

・ アトランタ連銀新総裁、ボスティックの役割は

--今週のFOMCが注目を集める中で、アトランタ連銀のロックハート総裁の後任が決まりましたけれども、こういった人事というのも大事ですよね。

「そうですね。もともとFRBの高官という意味では、重要なのがイエレン議長、フィッシャー副議長、それからニューヨークのダドリー総裁だったんですけれども、アトランタ連銀のロックハートさんも執行部にかなり近い意見を持っているので、非常に参考になったんですよね。今回、ボスティックさんという方が後任と目されていますけれども、元FRBシニアエコノミストということなので、おそらく同じように執行部に近い見方になるんじゃないかなという感じで見てます。」

--結局、私たちに対する手がかりを見せてくれるような方であるといいですね。

「そうですね。そのほうが分かりやすくなりますね。」
 

・ きょうの経済視点 「プロレス通商」

「やはりアメリカのトランプ政権の通商政策と言えば、ターゲットになるのはおそらく中国ですね。アメリカと中国というヘビー級同士の対決が本格化してしまって、それこそ関税率の引き上げ合戦みたいになってしまっては大変だという心配はあるんですけれども、私はキーワードはやはりトランプ氏ですね。実際にリングに上がっていたこともありますけれども、プロレス通商ということで、うまく力を抜きながら、とにかくアメリカ国民、特にトランプ氏を支持した層に向けて、見せる演出のような形の通商政策になってくるのではないか、と考えています。」

--ちょっとショー的な要素もありつつ、これって双方が分かっていないとダメ、ということは中国とアメリカで納得しているところがないとダメですよね。

「そうですね。例えば、中国でしたら、過剰的な設備をスクラップするということをやってダンピングを抑えるとか、そういうことですね。」
 

2017.3.13 Newsモーニングサテライト

2017年03月13日 19時02分02秒 | MS
■マーケット

NY
アメリカは12日から夏時間で日本との時差が13時間になります。今週の注目は何と言っても利上げ。実施はほぼ確実ですが、問題は年内3回か4回か、そのペースです。10日に発表された雇用統計で、非農業部門の雇用者数は予想を上回る23万5,000人。この数字が今週の利上げをほぼ決定づけたようです。市場には年内3回の利上げを織り込めていないとの声もあり、FRBの見通し次第で相場が動く可能性もあります。16日には予算方針の公表も予定されています。具体的な中身についてはまだ先と見られていますが、再び財政拡大の思惑も材料になりそうです。10日の株価終値です。そろって続伸でした。ダウは44ドル高の2万902ドル。ナスダックは3日続伸し22ポイント上昇の5,861。S&P500は7ポイントプラスの2,372。

【アメリカの専門家インタビュー】雇用統計、賃金上昇に注目

・ 米賃金上昇を確認

注目を集めた2月の雇用統計について、エコノミストは、前回低下した前年比の賃金上昇率が再び上昇したことが最大のポイントだと指摘しました。

《S&Pグローバル/べスアン・ボビーノ氏》
「景気回復期がある程度続いたこの時期は、通常、賃金の伸びは前年比で平均3.5%になり、年末までにこのレベルに達すると期待する。実は前回の雇用統計では2.5%に落ち込み、『賃金はこのまま下落するのか』との懸念があった。しかし今回の伸びは、再び上昇に転じ、その懸念が払しょくされた。」

・ 米利上げは年3回か

また雇用統計を受けて今月の利上げは確実なものになったと見ています。

「今回の雇用統計は、3月利上げが確実になるための材料として注目していた。実際とても強く利上げの正当性を裏付ける結果となった。ただ利上げは年3回にとどまるだろう。インフレ率の上昇ペースが遅いため、利上げも緩やかなペースになるとみている。」
 

【為替見通し】注目ポイントは「予算教書」
解説は三菱UFJ信託銀行の酒井聡彦氏
 
--まずは先週末の為替市場はいかがだったでしょうか。

2月のアメリカ雇用統計が予想を上回ったことを受けて、発表直後こそドル金利上昇とドル買いとなったものの、続かず、ドル円は115円台半ばから114円台後半まで下落しました。

--今日の予想レンジは、114.20-115.50円、注目ポイントは「予算教書」、16日にはその概要となる予算方針が公表される予定ですね。

はい、マーケット参加者は今週行われるFMOCでの利上げを確信したものの、トランプ政権の政策遂行力には未だ確信を持てず、そのため相場は力強さを欠いた状況です。今週発表される予算教書の概要となる予算方針は、上級管理職の政治任命が未だ限定的なため、具体化が十分でないかもしれません。しかし一般教書演説で示された大枠の方向性を、予算という目に見える形で見える化することで、前政権とは異なる国造りのの姿が明らかになると想定しております。

--その場合、ドル円はどのような展開を見ていますか。

はい、先進国経済で現在最も強いモメンタムのアメリカで、アメリカ国内の投資を促進させる減税と民間資金も活用しながら巨額のインフラ投資を警告するなど、拡張的な経済政策が採用されることになるため、FRBは金融政策のペースを速め、結果として4月には120円を超えるドル高基調を想定しております。トランプ政権の政策遂行力、イエレンFRBの動向からは目が離せません。

【日本株見通し】注目ポイントは「日本株のリスクプレミアム」
解説は岡三証券の阿部健児氏
 
--今日の予想レンジは、19500円~19650円です。

株式市場のの関心は、」FRBの3月以降の利上げペースに移っています。投資家は15日のFOMCまでは動きにくく、今日の日経平均は19600円近辺で小動きと考えています。

--注目ポイントは「日本株のリスクプレミアム」です。

(フリップ:日本株は割安?割高?)
日本株のリスクプレミアムを、トピックスの12ヵ月先予想益利回りから、10年物国債利回りを引いて計算したのが、コチラのチャートです。リスクプレミアムが大きいほど、日本株の利回りが国債利回りを上回ることになり、日本株が国債に比べて魅力的で割安であることを示します。9日時点で、リスクプレミアムは6.9%と去年6月のブレグジット決定直後の8.5%から縮小しましたが、アベノミクス相場の平均の6.8%に近く、日本株は割安でも割高でもないフェアバリューと考えています。

--でもこの日本株のリスクプレミアムの先行きはどう見ているんでしょうか。

今後は堅調な米国景気、FRBの利上げによる円安進行、米国財政政策の内容発表を受けて、もう一段低下すす可能性があります。日本銀行がリスクプレミアムの縮小を促すことを目的に挙げて、ETFの買い入れを決定したときは、アベノミクス平均と同じ6.8%でした。今後、この水準を安定的に下回るようになれば、日経平均は2万円を超えていると考えらえられ、その場合は日銀がETF買い入れ額の減額を行う可能性があると見ています。
 
 
■【エマトピ】ケニア インフラ投資 地熱発電にチャンス
ケニアは、2015年のGDP成長率5.6%、2016年も6%の上昇がが見込まれ安定成長しています。近年この国で急速に開発が進んでいるのが地熱発電。2015年の地熱発電容量は3年前の3倍となり、その潜在総発電能力も電力需要を大きく上回っています。解説は丸紅ナイロビ支店の坂梨正典氏。
 
(フリップ1:ケニアGDP成長・ケニア輸出品目)
--まずはケニアの経済状況を見ておきましょう。ケニアのGDP成長率は
、2015年で5.6%、IMFの予測では2016年は6%成長と見られています。その成長のけん引役の1つが、GDPの3割を占める農林水産業です。主要な輸出品目を見ても、紅茶やそして切り花などの園芸作物といった農産物が上位を占めています。

《ケニア輸出品目》
・ 1位 紅茶
・ 2位 園芸作物(花、野菜など)
・ 3位 衣料品・アクセサリー
・ 4位 コーヒー

--ケニアのナイロビにいる丸紅ナイロビ支店の坂梨正典氏と電話がつながっています。さて今ご紹介したようにケニアの主要な輸出品目は農作物ですけれども、日本はケニアからどんなものを輸入しているんですか。

《丸紅ナイロビ支店/坂梨正典氏の解説》
「はい、代表的なものはバラです。約44%がケニア産で、バラの輸入先ではトップとなります。ケニアは赤道に位置した暑い国と思われがちですが、国土の大半は標高1200m以上で、日本の軽井沢のような気候、バラも育てやすい環境にあります。」

--バラというのはずいぶん意外なつながりですよね。さてそうした中、ナイロビでは去年8月にアフリカ開発会議が開催されて、日本もインフラ投資を進めると発表しましたね。

「そうですね、2016年から18年の3年間で、官民総額300億ドル(約3兆円規模)の質の高いインフラ整備や保険システムなどの投資を行うことが発表されました。ケニアをはじめとしたアフリカ諸国の成長への期待の表れだと思います。」

--現在進められているインフラ開発はありますか。

(フリップ2:東アフリカ物流網開発)
「今ケニアでは東アフリカの玄関口と呼ばれるモンバサ港の拡張工事と内陸の国であるウガンダやルワンダなどをつなぐ輸送ルートの整備が進められています。これが完成すれば、2030年には現在の2.3倍に当たる6100万トンの荷動きができるようになると見込まれています。既に日本企業がこの事業に関わっていますし、今後、周辺道路や工業団地建設などでも期待できるとみています。」

--そういったインフラが整備されますと、エネルギーも必要になってきますが、そういった対策はできているんでしょうか。

(フリップ3:ケニア地熱発電能力拡大)
「はい、近年急速に進んでいるのは、地熱発電の開発です。2015年の発電容量は3年前の3倍となりました。ケニアは地熱発電に必要な高温高圧の水蒸気を発する大地溝帯を有し、その潜在総発電能力は7000メガワット現在の電力需要の3倍と言われています。大規模地熱発電用タービンは日本のメーカーの独壇場であり、今後も大きなビジネスチャンスがあります。丸紅もインドネシアなどでの実績がありますし、タービンを供給できるメーカーと組んで、地熱発電案件に積極的に取り組んでいます。」
 

■【特集】入国禁止を逃れたシリア難民
アメリカのトランプ大統領が命じた入国制限令は世界の難民問題に波紋を広げています。先月かろうじて入国制限を免れ、アメリカへの渡航を果たしたあるシリア難民家族の苦悩を取材しました。

今月6日、トランプ大統領はイスラム圏7ヵ国からの入国禁制限に代わる、新たな大統領令に署名しました。

《ティラーソン国務長官》
「我が国の安全保障への脅威は、常に進展し変化していることから、国を守るため必要な制度をっ継続的に見直すのは当然だ。」

対象国からイラクを除外したほか、シリア難民の受け入れ停止期間を無期限から、他の国と同じ120日間に緩和しました。しかしこの決定を受け、即座に反論したのが、国連だ。国連難民高等弁務官事務所は7日、「各国には命に関わる暴力から避難した人を支援する責任がある」との声明を発表しました。アメリカの措置は世界の難民問題に混乱をもたらすという。

《国連高等弁務官事務所/ジェニファー・フェントン氏》
「難民受け入れは、もはや国際的な常識です。難民を追い返すようなことをしたら、命に関わるからです。」

紛争や迫害によって避難を余儀なくされた人は、一昨年、6530万人に達し、過去最高を記録しました。最も多いのはシリアで、490万人にも上っています。アメリカが入国制限に揺れる中、先月、渡米を果たしたシリア難民がいます。ファリス一家です。内戦が続く中、6年前、父親は殺されました。母親のファリダさん(50歳)は子供たちを抱え、恐怖におびえる日々だったと言います。

《母親のファリダさん》
「シリアは人が住める状態ではありません。とても怖かったわ。電気も暖房もなく、子供たちもいつも怖がっていました。」

《長男オマール君(15歳)》
「銃撃戦が絶えず、家にいられなくて、いつもシェルターに避難する生活だった。毛布もなくとても寒かった。良いことなんて1つもなかったよ。」

住んでいたダルアーの街は、政府軍と反体制派が激しく衝突し、爆音が鳴り続けていました。そしてついに隣に住む兄の家が爆撃され、2013年1月にシリア脱出を決めました。ここから一家の漂流が始まります。向かった先はヨルダン(13年2月)。最初に身を寄せた孤児院は1年で居られなくなり、たどり着いたのはザーダリ難民キャンプ(14年2月)。しかし環境は劣悪でした。着いたのは真冬で、水やトイレの衛生環境が整っていないうえ、食料や生活用品が常に不足し、子供たちの未来も見えなかったと振り返ります。

《母親のファリダさん》
「暖房がなくとにかく寒かった。真冬なのに薄い毛布1枚で寝ていました。」

キャンプを出た後、ファリダさんはアメリカへの難民申請をします。国連を通じて10回以上のインタビューと書類審査を経て、ようやく難民認定が下りたのは、今年1月のことでした。アメリカ行きの航空チケットも購入し、いざ出発というその時、トランプ大統領が入国制限令を出したのです。

《長男オマール君(15歳)》
「アメリカに行けないと知った時、全ての希望が消えました。ヨルダンの生活に逆戻りなんて、僕の将来はどうなるんだと思いました。」

結局、大統領令は差し止めとなり、入国を果たすことができました。シリア脱出から4年がたっていました。

《母親のファリダさん》
「アメリカについてやっと安全な場所に来られたと感じました。ここでは人権が尊重され、みな親切だと思っています。」

しかし新天地アメリカでの定着は容易なことではありません。まずは英語の勉強から。トランプ大統領の新たな入国制限は、今週16日から始まります。

世界で難民数が増え続ける中、実は日本への難民申請も去年初めて1万人を超え、過去最高を記録しました。しかし実際に申請が認められた人は前年比1人増のわずか28人にとどまっています。難民問題が深刻化する中で、アメリカだけでなく、同様に日本の立場も問われかねない状況です。
 

■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(調査期間:3月10日~12日、対象:番組出演者36人)

(1) 今週末の日経平均予想
予想中央値(19800円)
先週終値(19604円)

《ソシエテジェネラル証券/杉原龍馬氏》
(2万円予想)
「アメリカの追加利上げに日銀がきっちり金融緩和継続のメッセージを送ればポジティブ。」

《大和証券/石黒英之氏》
(19400円予想)
「アメリカの利上げは織り込み済み、海外勢の様子見スタンスが続くなか、戻り売りに押されやすい。」
 
(2) 今週末のドル/円相場
予想中央値(115.00円)
先週終値(114.81円)

《ブラウンブラザーズハリマン/伊庭剛氏》
(117円予想)
「各国の金融政策の発表が出揃った後、ドルの優位性が再認識される。」

《三菱UFJモルガンスタンレー証券/植野大作氏》
(113.50円予想)
「G20への警戒感がドル円の上値を抑える。」
(3) 景気先行指数
今週はFOMC、追加利上げを専門家はどう見ているのか。
3月(78%)、5月(0%)、6月(11%)、7月(3%)、9月(8%)

(4) モーサテ景気先行指数
    (44.4に上昇)
 

■【特集】原油価格 ボックス相場を維持
先週、米国の原油在庫の積み上がりに対する懸念から急落した原油価格。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国が合意した協調減産では世界的な過剰供給の解消に不十分との見方やトランプ政権の誕生で中東情勢に不透明感が増す中、今後の原油価格はボックス相場が続くといいます。その理由とは。解説は住友商事グローバルリサーチの髙井裕之氏。
 
--高井さんは先月、国際エネルギーフォーラムに出席されたということで、これはサウジアラビアで開催されたものですね。
 
(フリップ1:国際エネルギーフォーラム)
「そうですね。首都のリヤドで開催されまして、出席をしてきました。当時はまだ55ドルという油価だったので、非常に和やかな雰囲気で、非常に皆さんハッピーな感じでしたね。」

--サウジアラビアのファリハ産業鉱物資源相などの参加したというところだったんですけれども、今ちょっと原油は急落という場面になっています。そこで聞いていきたいんですけれども、テーマとしては、その情報を聞いてきた結果、高井さんは「原油価格はボックス相場を維持するのではないか」と・・・。何故そういうふうに思われるんでしょうか。

(フリップ2:主要4ヵ国の関係者)
「それでは主要な関係者の関係から説明をしていきたいと思います。皆さんご存知の通り、トランプ大統領、サウジアラビアのサルマン国王(今日来られましたね)、それからプーチン大統領とイランのロウハニ大統領、このそれぞれのリーダーたちにはアジェンダがあるんですけども、皆さんよくご存じの通り、米国とサウジは同盟関係、そしてロシアとイランというのは中東において協力関係を結んでおります。トランプさんとプーチンさんというのは、いまいろいろ話題になっていますけれども、関係修復を図っているのではないかと・・・。一番の問題は、アメリカとイラン、核開発合意をトランプさんは破棄するぞということを、選挙期間中にずっと言ってきたんですけども、今回私も向こうに行ってイランにも行ったんですけども、おそらく破棄はないというのが大方の見方ですね。」

--何故そういうふうに・・・。

「やっぱりイランがもう一度核開発をするということは、周辺の国にとってみんな反対することなんですね。それとあとは、イランというのは中東の今いろいろ揉め事がありますけれども、シリアとか、イラクとか、そこで前線で戦っているのはイランの軍隊なんですね。ですから中東の問題を解決するためには、イランを味方に付けておく必要があるということですね。」

--ただ、こうして見ますと、構造を見るとやはり対立構造が非常に目につくんですけれども、この4者の関係というのは、今後変わりそうですか。

(フリップ3:利害の一致)
「おそらく現状はあまり変わらないというふうに我々は思っておりまして、何故ならば、この4人のリーダーの利害が一致するところというのは、1つ目は、①『イスラム国の妥当』、これはもうトランプさんもずっと選挙期間中からずっと言っているわけですね。それからもう1つ、これはもう重要なんですけれども、②『原油価格が安定』してくれること。この2点において、この4ヵ国というのは利害が一致するということですね。」

--ということは多少の対立関係はあったとしても、大喧嘩をするようなことは無いと・・・。この原油価格の安定というのが非常にいま重要になってきていますが、それでは需給のところを見ていきます。なんと言っても原油価格のカギを握るのは、OPEC減産の動向がありますね。

(フリップ4:OPEC原産開始)
「そうですね、これはOPEC産油国とアメリカの原油の算出状況をグラフにしてあるんですけれども、若干これは軸が(左右で)違いますから、左側(の単位)がOPECで、右側(の単位)がアメリカのシェールです。ご覧になって分かるように、OPECは減産を合意してからずっと減産が開始されまして160万バレル、もうピークから原油の生産量というのは落ちております。逆にアメリカのほうは増産しているわけですね。油価が上がってきています。結局、160万バレル(減産)と60万バレル(増産)。ちょっと軸が違うので、長さが同じに見えますけれども、100万バレル、世界の需給というのはタイトになっているというのが今の状況です。これがありますから、45ドルが55ドルに油価は上がっていたということなんですね。」

--なるほど。でもこれがこの後、ボックス圏に入るというふうに、高井さんは見ていらっしゃる。コチラを見ていきましょう。見通しとしては今後1年ほどで見ますと、このボックス圏に収まると見ていらっしゃるんですか。

(フリップ5:原油価格はボックス相場に)
「そういうことですね。これはどうしてかと言いますと、50ドルを割ってくるような状況では、まずサウジを中心として、OPECが減産を実施する。今ちょっと先物で少し売られていますけれども、おそらく50ドルというのは1つのラインになってくるかなと・・・。逆に油価が上がってくる局面では、60ドルに近づいてくると、トランプさんも米国のシェールを増産、増産と言っていますから、米国のシェールが増産に動いてくると・・・。結果として、下値を50、上値を60の、このサンドイッチ状態で、おそらく今年1年間は油価は推移するのではないかというふうに見てます。」

--ちょうど今サルマン国王がきていますけれども、例えばサウジアラビアにとって、この水準というのは受け入れやすいものなんでしょうか。

「そうですね。逆に油価が40に下がっちゃうと、財政赤字が大きくなっちゃう。逆に油価が70に上がってしまうと、今ビジョン2030を実行しようとしますから、国民の危機意識というのが薄れてくるということがありまして、この間に入ってくれるのがちょうどいいという感じですね。」

--ああ、国民の意識というのが大事なんですか。

「そうですね。いま公共料金を上げたりとか、公務員の給料をカットしたりしていますから、厳しいことを国民に課しておりますから、油価が上がっちゃうと、また国民が『結局は油が上がってくれたんだ』ということで、みんなアブラの上にアグラをかいちゃうといいうことですね。ですから危機意識を持つためにも、これぐらいの注意安定というのがサウジにとって一番ベストだということですね。」

--では今後の原油価格、ボックス圏に収まるかどうかということを見るうえで、注目すべきことを挙げていただきました。

(フリップ6:今後の注目ポイント)
1 強調減産の順守率
2 米シェールオイルの増産ペース
3 5月OPEC総会、減産合意の延長あるか
4 投機筋のポジション調整

--まず何と言っても協調減産の順守率が重要にもなってきますが、2つ目、シェールオイルの増産ペースですね。

「そうですね。これが一番のポイントになってくると思います。あまり増産ペースが強くなってくると、今度は5月25日のOPECの総会で、今の減産というのは6月で終わりますから、これを延ばすか延ばさないかというところには、米国のシェールの増産のピッチいうのは非常に重要になってくると思います。」

--この見通しはどうご覧になっていますか。

「現地ではおそらく合意は延ばさないということを言ってますけれども、おそらくそれは今の段階で、延ばすということを言ってしまうと、みんなやっぱりある程度、気分がだれてしまいますから、近づいてこないとこれは分からないですね。私は個人的には減産は延長するんじゃないかと見ているんです。」

--そうですか。分かりました。一時、ポジション調整で動くときはあるけれども、基本的にはボックス圏で動くだろうというお見通しですね。
 

■日経朝特急

日サウジ経済協力深化、総理・国王、会談で合意へ
サウジアラビア、サルマン国王来日。日本とサウジの経済関係が新たな段階に入る。きょう安倍総理と会談し、経済を軸にした協力方針「日サウジビジョン2030」を打ち出す。日本企業の進出を促すために、サウジに経済特区を作ることで合意し、トヨタ自動車やJXグループ、3メガバンク、東京証券取引所などが経済面で協力する。日本への原油輸出に偏った貿易構造から脱却し、遅れていた日本企業の進出が加速する。
 

東芝、テック株売却へ
東芝が非中核企業を切り離す。東芝は、POSレジ最大手の東証1部上場子会社「東芝テック」の株式を売却する検討に入った。優良であっても、中核企業と関連の薄いグループ企業の資産売却で、早期の債務超過回避を狙う。
 

トヨタ、ベア1300円
トヨタ自動車は、きのう今年の春季労使交渉でベースアップに相当する1300円を含む2400円の賃金改善に応じ、1100円は育児中の社員を対象とした家族手当の拡充に充てる。ベア実施は4年連続だが、実質的なベアは安倍総理大臣が要請した少なくとも前年並みの水準を下回った。また電機大手は月3000円のベア要求に対し、1000円で決着する見通しだ。
 

■日刊モーサテジャーナル

米堅調な雇用統計、逆に過熱リスク?
アメリカの新聞各紙は、緊張な雇用統計を受け、今月の利上げはほぼ確実という見方を多く掲載している。
ウォールストリートジャーナルは、「良すぎただけに、逆に経済の過熱リスクが高まっているのでは」、と懸念を示している。消費の弱さなどを背景に、アメリカの1-3月期GDPの成長見通しは現在、年率1.6%、年初時点での見通し2.3%から下方修正されている。こうした中、トランプ大統領は、インフラ投資や減税などでGDPを底上げしたい考えで、記事は、「もしこれが成功すれば、雇用市場がさらに過熱することになると警戒、低い水準にとどまっている労働生産性が急上昇する可能性は低く、景気の回復に対し、企業は雇用の増加で対応、それに伴い、賃金の上昇が急加速するのでは」、と分析している。また「FRBの利上げペースも投資家の予想以上に早くなる可能性がある」、とみている。
 

米ティラーソン国務長官、力量に不透明感
今週、ティラーソン国務長官が日中韓3カ国を歴訪する。これまで、どちらかと言えば、存在感が薄かったテラーソン国務長官。
ニューヨークタイムズは、「対北朝鮮政策や中国との関係など、課題山積のアジア情勢に対応できるのか不透明だ」、と報じている。記事は、「テラーソン長官は就任演説で、自身の生い立ちや外交政策に対する信念などを語ったものの、それ以来、長官から目立った発信はない」、と指摘。また国務省の予算は大幅に削減されて、人事を巡っても大統領と衝突。ケリー前国務長官から十分な引き継ぎ行った形跡もないという。ただ、記事は、「ティラーソン長官の沈黙自体が周到な戦略かもしれない」、という見方も掲載。エクソンモービルのCEOだった時も、言葉数は少ないがしっかり根回しをして取引を成立させる手腕は有名だったという。
 

14日にも英国EU離脱通知
英メイ首相が早ければ14日にもEUに離脱を通知する見通しで、EU高官の間でもそれに備える動きが広がっている、と報じている。現在、イギリスの上下両院は、メイ首相にEU離脱通知の権限を与える法案を審議中で、記事によると、法案は13日にも成立する可能性があるという。こうした状況を受けて、EU内では4月6日に臨時のEU首脳会議を開く方向で調整が進んでいるという。14日の翌日、15日にはFOMC、オランダ総選挙、米国の債務上限引き上げ期限が控えていて、今週はマーケットにとって重要イベントが集中することになりそうだ。
 

・ 米ティラーソン国務長官、ビジネスを第一に思考?

--高井さんは商品市場に詳しくいらっしゃいますけれども、国務長官になったティラーソン氏のことは、話にはよく聞いていましたか。

《住友商事グローバルリサーチ/髙井裕之氏》
「そうですね。エクソンモービルは何と言っても石油の大手ですから、実はティラーソンさんと一緒に仕事をした女性と先月食事をすることがありまして、彼女が言っていたのは、ティラーソンさんというのは、寡黙なんですけども、ビジネスにとって何がベストかという判断をする方と・・・。だから仕事に対しては非常に信頼感がおける方という評価ですね。」

--ただメディアとなかなか対話するということがないと・・・。

「そう、だから寡黙だというところが、メディア嫌いというふうに取られているんだと思いますけれども、もともとこの方は41年前にエクソンに入って、生え抜きでずっと・・・。エンジニアの方なんですね。ですからアメリおしゃべりをするというタイプではなくて、ただ信頼できる人というのが、彼を知る人のコメントですね。」
 

■今週の予定

3月13日(月) 安倍総理がサウジアラビアのサルマン国王と会談、1月機械受注、2月企業物価指数
3月14日(火) 中国2月小売売上高など、米FMOC(~15日)
3月15日(水) 日銀金融政策決定会合、米ティラーソン国務長官来日、オランダ総選挙、米2月小売売上高、米債務上限引き上げ適用期限
3月16日(木) 日銀黒田総裁会見、英中銀金融政策委員会結果発表、米予算方針を公表
3月17日(金) G20財務相中央銀行総裁会議、米2月鉱工業生産
 

■今日の予定

安倍総理がサウジアラビアのサルマン国王と会談
1月機械受注
2月企業物価指数
米2月労働市場情勢指数(LMCI)
インド休場
 

■ニュース

G20声明 為替文言を大きく修正か
17日から18日にかけドイツで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議を前にG20声明の為替をめぐる文言が大きく修正される可能性が浮上しました。これは、ロイター通信が伝えたもので、草案の段階で、声明から「競争的な通貨切り下げを回避する」といった為替相場の安定を狙う文言が削除されたということです。その一方で、世界的な不均衡の是正を訴える表現が含まれているもようです。ロイター通信は、まだ草案の段階で、声明の内容が変更される可能性も残されているとしていますがもし草案通りになれば、アメリカの貿易赤字を問題視するトランプ政権の意向が存在感を示した形になります。
 
 
韓国 朴氏 大統領府を退去
10日に韓国の憲法裁判所に罷免された朴槿恵前大統領はきのうの午後7時すぎ大統領府から退去し、ソウル市内にある自宅に戻りました。朴前大統領の自宅周辺では朴氏に近い議員のほか、多数の支持者が集まり、朴氏が到着すると韓国国旗を振って迎えました。朴氏は笑顔を浮かべながら支持者たちと言葉を交わしました。また、側近の議員を通じ、「大統領としての使命を最後まで果たせず申し訳なく思う」との声明を発表しました。
 
 
サウジアラビア 国王が46年ぶり来日
日本にとって最大の石油供給国、サウジアラビアのサルマン国王がきのう羽田空港に到着しました。サウジアラビア国王の来日は46年ぶりのことです。サルマン国王は、サウジアラビアから事前に持ち込んだエスカレーター式のタラップを使って降り立ちました。訪問団は閣僚や企業の幹部など1,000人以上となる見通しです。空港では皇太子さまが出迎えられ、サウジアラビアやアラブ各国の駐日大使を交えた歓迎式が開催されました。サウジアラビアは原油価格の低迷を背景に財政赤字が続き、産業の多角化を迫られていて、日本側は製造業や医療などさまざまな分野での協力を表明する方針です。
 
 
民進党 蓮舫代表 衆院くら替えを明言
民進党の蓮舫代表は次の衆議院選挙に出馬する考えを示しました。参議院議員の蓮舫氏はこれまでも衆議院へのくら替えを示唆していましたが、今回、初めて衆院選への出馬を明言しました。会見に先立ち開かれた党大会では、「二大政党制の実現を目指したい」と結束を呼びかけました。さらに、現状「2030年代に原発ゼロ」としている目標の前倒しに向け、「基本法案」を作成する方針を表明しましたが、当初、発表を目指していた「2030年に原発ゼロ」という目標年限は連合や労組系議員の反発もあり言及しませんでした。
 

■【コメンテーター】住友商事グローバルリサーチ/髙井裕之氏

・ サウジ国王訪日、日本の民間投資に期待

今週はビッグイベントの集中ウィークということで、大変なんですけれども、そうした中、サウジアラビアのサルマン国王が来日しましたが、何故今このタイミングになったんでしょうか。

「やはりトランプ政権に代わって、これから外交の関係を米国一辺倒からアジア重視、特に日本と中国重視ということで、多角化していこうというのがあると思いますね。」

--そういった中で、民間を呼び込みたいという思惑が強いんですか。

「そうですね。ビジョン2030というのを去年発表してます。その中で民間のセクターのGDPの寄与度を4割から65%に上げていこうというのがありまして、特にやっぱり日本の製造業、日本の協力というのが必要になってくるということですね。」

--だからこそ今回も民間企業とコンタクトをとるという形になってますね。

「そうですね。あとはアラムコの上場というのがありますので、下馬評ではニューヨークが一番可能性があるんですけれども、2つの市場に上場するというのがありますから、東京の可能性も出てくるということですね。」

--そうですか、ということはやはり双方にとっていいタイミングだったということですか。

「そうですね。ビジョン2030というのは彼らがどうしてもやりたいということで、日本の協力が必要だということですね。」

--ただ、いま原油が急落しているという局面なんですよね。

「そうなんです。非常にタイミングが悪くて・・・。原油価格は50ドルでサポートされていたんですけれども、ここにきて3日間ぐらいで割り込んできてます。一番の原因は、投機筋の買い越しポジションの利食い売りです。これは新しい売りが入っているというよりかは、古いロングポジションの利食い売りが入ってますので、(直近は、投機筋の買い越しポジションが)80万枚を超えている非常に歴史的に高い水準にあるんですけれども、それが利食い売りで少し下がってきている。ですけども本当に下がったところというのは、まだ反映されておりませんので、先週の動きを反映すると、おそらくこの買い持ちポジションというのはこのぐらい(60万枚ぐらい)まで下がってくるんじゃないかなと・・・。ただ、これは利食いの売りですから、トレンドを変えるような大きいものではないというふうに考えていますね。」


・ きょうの経済視点 「コーンvsナバロ」

「コーンというのは、国家経済会議の委員長のゲイリー・コーンさんのことですね。それからナバロというのは、ピーター・ナバロさん。この方は国家通商会議の委員長ということで、今ホワイトハウスの中で、コーンvsナバロというのが、経済政策とか、通商政策を巡って対立していると言われているんですね。ご存知の通り、コーンさんというのはゴールドマンサックスの出身で、非常にリベラルな考えを持って自由貿易主義者。それに対してナバロさんは非常にラディカルな保護貿易主義者ということで、この2人のうち、どちらが主導権を握って、これから経済政策・通商政策をやっていくかということで、大きくトランプさんの政権の方向性が変わるということですね。」

--ナバロ氏に関しては、やはりトランプ氏もサポートしてきてくれただけに、粗末には扱えないというところもありますね。

「そうですね。イデオロギー的にはある意味トランプさんのバックボーンになってきた方ですから、ただ、やっぱり大事なのは経済ですから、そういう意味では一番力を持って、物事をよく分かっている人に、主導権を渡していくんじゃないかなというふうに思いますね。」

--そういう流れにはなりつつあるというふうなこともありますけれども、ホワイトハウスはちなみに・・・。

「コーン氏だと思います。」