手漉き和紙の出荷額日本一の福井県越前市。出荷額は6億5100万円で第二位の富山県の越中和紙の2億700万円と比較してダントツの和紙生産地である。
今回福井県和紙工業協同組合からの依頼により、和紙刷毛を製作しました。
地元で和紙用の刷毛を作っていた職人さんが高齢のため廃業ということで、組合の原材料共同仕入担当者の山下さんが、製作には欠かせない刷毛の調達に奔走していたそうです。
和紙製作の工程において、漉いた和紙を圧搾して水分を取った湿り紙を一枚ずつ雌銀杏の板で作った干し板に貼り付けて乾かすそうです。紙の種類によって使う刷毛が異なり、3種類の刷毛の製作依頼がありました。
職人技を支える職人になりたいという日頃からの私自身の想いから、是非とも挑戦させてほしいということで試作に取り掛かりました。
まずは一般的な白刷毛(山羊毛)
毛丈は短めで、結構ボリュームたっぷりで、毛腰がしっかりしている。7寸・8寸刷毛が使用頻度が高いらしい。三味糸(絹糸)でしっかり綴じ込んである為、使えば使うほど刷毛板に食い込んでいきます。また、サンをステンレス釘を使って固定しています。サンを打つことにより使用中の板割れ防止になり、末永く使っていただけます。
これは、コウゾ100%の生ずき奉書の技術で国の重要無形文化財保持者(人間国宝)の岩野市兵衛さんから是非という依頼品です。
馬毛と山羊の仲間との混毛の毛玉に柔らかい馬毛を巻いて作ってあります。輪毛巻きの平刷毛を作るのは初めてでしたが、まずまずの出来栄えだと自負できる品になりました。
仕入れ担当の山下さんの話ですと、最初の使い始めとしては満足されていたそうです。
この後、使い込んできたときの評価が楽しみです。
使用材料は馬尾100%です。馬の尻尾は最近特に価格が上昇しよい材料が手に入り辛くなってきています。
この刷毛は干し板に刷毛で貼り付ける時、麻布等を当ててその上から押さえる時に使う刷毛だそうです。
8寸・9寸刷毛が使用頻度が高いらしい。これも三味糸綴じでサン打ち加工を施しています。
一応、三品とも良い評価を頂けた様だが、製作工程を一度見せていただいて、こちらから今後新たな提案もしていけたらと思っています。