ショウジョウバカマ。猩々袴、と書きます。
子供の頃、お釈迦さまの誕生日の4月8日(花まつり)に山道を通ってお寺まで一人で歩いたことがあります。 暖かくて麗らかな日でした。 木漏れ日に照らされて、このショウジョウバカマが可憐に咲いていたのを覚えています。
もうその山道は切り拓かれてしまっていて存在しませんが、適度に手入れされた里山には、人ひとりが通れるだけの小道がつけられておりました。所どころ急な登りのある、ありふれた道。辺りを森に囲まれて、木々の隙間からの光線が小さな流れを揺らしています。春を湛えたかのようなそこの空間には、湿りを含んだ空気が満ちていました。
ちょうどピッタリの場所に、ピッタリの角度で群落が展開しているのです。 夢のようでした。 その時の花の色は、赤。ショウジョウ色、としか表現できません。
ところがこの沢には、なにかの変異なのか、色の異なる種があるようなのでした。
これはピンク、ですよねぇ。
そしてこの花は淡い紫が混ざっているような。 首を高く掲げて、虫たちに存在をアピールしているかのようです。
ところが初めて花の姿をシゲシゲと見たわけですが、これはどうやら虫をあてにしていない。風媒花っぽいんです。
花弁が小さくて雌しべが立派、雄しべも柱頭のすぐ近くにがっしり延びている。 ダメでも自家受粉はしっかり確保。良ければ風に乗った他家受粉が。時間との闘い、ここでもしっかり行なわれているんだなぁ
さて、やっと見慣れた色のものがありました。これが普通のショウジョウバカマ。
でも、これは? びっくり、初めて見たのですが。 何? 黄色?
分かりません、ポピュラーな変異色なのか、土壌環境による個体変異なのか。 もし、新発見でしたらこれの観察場所は一応秘密、ということにしておいたりして。
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