朝から浴衣の裾を縫おうとしたが、上糸と下糸の調子が上手く行かない。
何とか縫ったが、上糸と下糸とのバランスが取れない。
裾の角は額縁縫いにした。
その後も、いくら調整しても上手く行かない。
昼になってしまった。
温泉にでも行きたいなと、カブで25km離れた戸井温泉に行く。
コロナ対応で受付で記帳していた名前や住所は書かなくても良くなっていた。
浴室に入ったら全身カラー入墨の二人がいた。
地元の人なんだろうか。
スタッフの人も帰って下さいとは言えないのだろう。
特におかしな事をするわけでも無いので、それほど気にはならない。
自遊旅の向のアパートには過去に反社の親分がいた。
全身鮮やかな入れ墨だった。
夏に風呂から帰ってくるときは、裸の上にバスタオルだった。
そんなのを見ていたので当たり前だった。
反社に縁があったのは、日立の工場に実習に行ったとき、寮は季節者と同じ寮だった。
皆は敬遠して彼には寄り付かなかったが、私は普通に接していたので、何時も私の部屋に来ていた。
酒も飲まず普段は大人しい。
でも時々新宿に行ってはダフ屋から、映画のチケット等を取り上げ、多数持ってきた。
あげると言われたが流石に断った。
そんな彼は白衣に白い帽子で仕事をしている。
その帽子のツバには山口組と書いてある。
昼に食堂に行くと大勢の女性に囲まれている。
何故か持てるのだ。
私の姿を見るとこっちだと手招きする。
でもいやこっちで食べるといってそこには入れなかった。
仕事が終わって寮に戻ればやってくる。
そんな日が続いた。
彼は詐偽の常習犯だった。
仕事は残業も凄く3ヶ月で手取り90万円位稼いだ。
その間は全くお金を使わない。
ある程度たまったら、詐欺が始まる。
頭金だけで高級品を多数購入してくる。
口座を作るときも日立の寮に居るので信頼がある。
さんざん買ってその内大型トラックが来て、どこかに持っていく。
そして居なくなる。
実に鮮やかだった。
会社で使っている名前も住所も違う。
帰るときお世話になりましたときっちり挨拶に来た。
そんな事を思い出した。
今日の会った人は反社では無さそうだが、そんな過去を事を思いだした。
