乗客から「時間が過ぎているのに、バス停に人が居ないなら通過すればいいじゃないか?何故、わざわざバス停に止まって扉の開閉作業を行うのか?」というクレームを受けました。
早く目的地に到着したい乗客の心理を鑑みると、バス運転士の行動は少し糞真面目な印象を与え、歯がゆい思いをされるかと思います。
仮に、クレームを直接言われなくても、ため息や突き刺すような視線、モゾモゾ動く動作などはしばしば感じ、いたたまれない気持ちになることはよくあります。
もちろん、10分以上の遅延がある場合は、通過が可能なバス停は自己責任で通過します。
しかし、会社から全てのバス停に停車し、乗車用の扉の開閉は必ず行うよう指導されています。
何故、このような一見非効率で、非合理なことをバス運転士は行うのでしょうか?
それは、万一乗客がバス停に居るのに通過した場合、「バス停飛ばし」と判断されて、これも運行事故となり運輸局からの指導対象となるからです。
あまり、改善が見込めない場合は、車両使用停止や一定期間の営業停止処分などの行政処分を受けることがあるのです。
私も何度かやったことがあるのですが、待っていた乗客から会社にクレーム電話が入ったことがありました。
そのようなことがあった場合、運行管理者から大目玉を喰らった後、顛末書を提出することになります。
これについて運行記録として会社は保管し、年一回の運輸局の監査の際に、詳細にチェックされます。
万一会社側が、不利な運行記録を隠蔽したり、改竄したことが判明した場合、刑事事件にも発展する重大行為です。
このようなことが無いように、「バス停では、必ず停車し乗車扉の開閉を行う。」ようにしています。
これを行えば、仮に「バス停飛ばし」が発生しても運行事故にはならず、乗客からの普通のクレームになります。
バス運転士は、上記のような事故の他に、道間違えなどの運行事故にも注意しながら安全第一で運行していますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。