しん健堂

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脳の慢性炎症

2023-11-05 22:23:00 | 症例
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【脳の慢性炎症】
《脳の慢性炎症がうつ病を引き起こす》

「うつ病」という病気があります。現代社会で急激に増えた病気の一つかもしれません。うつ病の原因については、これまではモノアミン説というのが主流でした。モノアミンとはセロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質のことです。

神経伝達物質は神経細胞から神経細胞へ情報を伝える役割をしています。うつ病は脳内にモノアミンが不足しているから、神経細胞間の情報伝達がスムーズに行かなくなって発症すると考えられているのかモノアミン説です。

特にうつ病の人はセロトニンとノルアドレナリンが不足していると言われています。両者とも感情に関わるもので、セロトニンは頭をスッキリさせて心のバランスを整えてくれ、ノルアドレナリンは意欲や集中力を高めてくれます。

セロトニンとノルアドレナリンが不足すると、ぼーっとしたり心が不安定になったり意欲が低下したりと抑うつ状態になりやすくなります。そのためにうつ病の薬は、これらを増やす働きをするものが使われます。

うつ病はセロトニンやノルアドレナリンの不足すると原因だとするモノアミン説に基づいた治療が行われていますが、それとは別の「長引くストレスが脳に炎症を起こす」という慢性炎症説というものがあります。

慢性炎症は脳内でも起こります。重症のうつ病の人のCRP(炎症度合いを測る数値)が高いというデータもあります。慢性炎症があると脳の白質という部分がダメージを受けます。するとセロトニンやノルアドレナリンの働きが悪くなってしまいます。

セロトニンの原料はトリプトファンというアミノ酸です。トリプトファンはセロトニン以外にも使われるのですが、慢性炎症はセロトニン以外が作られる方に導いてしまいます。慢性炎症があるとセロトニンが作られにくくなるということです。

モノアミン説と慢性炎症説は全く別物ではなく、慢性炎症の方が先にあって、その結果セロトニンやノルアドレナリンの不足を招いてうつ病を引き起こしているということです。

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