鉄鋼材料を溶接して用いることは色々なところで行われ用いられており、構造物の組み立て方法としては現在では一般的なものです。
鉄鋼材料には色々な分類の仕方があって、製造工程の熱処理だけで見ると、調質鋼(熱処理で強度を調整する鋼) と 非調質鋼(熱処理しないで用いる鋼) の2種があります。
調質鋼には、高張力鋼(40kgf/mm^2以上の引っ張り強度が高張力鋼と呼ばれる)の物が含まれ、今回の潜水艦にはおそらく80~100kgf/mm^2クラスかな? が使われています。
その主要な調質の工程は、焼入れと焼戻しの工程がセットで鋼材の製造時に絶対的に組み込まれています。
そして更に、鋼材の製造時の調質工程 プラス 溶接時に鋼材に加えられるの熱 によって材料特性がどう変化するかを見込んで、潜水艦の完成時に最適な材料特性を発揮するように製造します。
この時に、へんな析出物(破壊現象の起点となる)が鋼材内の結晶組織に出来たりしないように、焼戻し温度や予想される溶接時の熱履歴を上手く調整したりします。
また、高張力鋼の溶接なら、水素が非常に鋼材に悪影響(水素脆性や水素脆化と呼ぶ)を及ぼすので、鋼材を予め余熱して溶接したり溶接場所の湿度管理をしたりと面倒なノウハウがあります。
以前、私が勤めていた工場では雨の日に鋳込んだインゴットは水素含有量が高く、真空鋳込みをしたかったけど、コストがかかる等、上下の工程間で論争になって決着しなかった事がありました。
ここらは、技術論文では一応ボヤけて出ているものの、実際にどのような温度や製造の履歴管理・設備を使っているのかになり、論文では表に出ない製造技術・ノウハウになります。
実際に、私が冶金の研究員として働いていた頃、研究者と現場の作業者でコミュニケーションが取れないと、現場の作業者・技術者が何を管理しているのか研究者が知らない事もありました。
現場と研究部門の両方に在籍していた私は、熱処理工程に関しては何を管理しているのか両方の立場で理解していた積もりでした。
が、上下の他の工程には関わる事が無かったので、インゴットの鋳込みや鍛錬工程、機械加工工程でどのような製造技術のノウハウがあってどんな管理をしていたのか把握しきれませんでしたね。
以上のことは、ちょっと判り難い例ですし、私も説明するには文章力が足りないと思います。
が、ドイツで製造した潜水艦を、よその国の違う会社に改造を依頼するなど、依頼する側(インドネシア)も受注する側(勧告)も”狂気の沙汰”のような気がします。
インドネシアや韓国は、物造りが解っていないです。
自前でコピー品の潜水艦が、オリジナルのドイツ製と同じ性能が出ないと騒いでいる韓国は、今回の事故のことを考えると何か納得できるように思えてきます。