今日(6/3)南座 坂東玉三郎特別公演に行ってきました。
はっきり言いまして、「素晴らしかった。」のひとことに尽きます。
1年分の歌舞伎を観て来たような気分です。
高尚な気分というのはこういうものなんだなあと思いました。
■□■
午後3時から開演だったのですが、2時に行きますと、すでに南座はすごい人。
客席は整備中とのことで入れず、みなさん「坂東玉三郎美の世界展」をご覧になられていました。
さらさらさらっと、30分程度で見学したあと、客席へ。
なんとなく客層がいつもと違うような…。気のせいかしら。
今回はとちりよりやや前の本当に中央。
これだけでテンションあがりまくり。
■□■
1.壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)阿古屋 1幕
壇ノ浦の戦いのあと平家の侍大将悪七兵衛景清は源頼朝を討とうとして失敗、行方をくらました。
恋人五条坂の遊君(遊女?)の阿古屋(玉三郎)が尋問を受けているが知らないというばかり。
秩父庄司重忠(愛之助)は岩永左衛門(薪車)と同席のもと、堀川御所に阿古屋を連れ出し審議する。
幕が開くと遠山の金さんが出てきそうなお白州のセットがあって、義太夫さんの状況説明の語り。
すると、お奉行さんのように白い着物に黒の裃袴の愛之助さん登場。
真っ赤な顔の薪車さんも出てこられましたが、あれ、カクンカクンした動きに後ろには二人後見さんが。ああ、これが人形振りなんですね。
初めて観ました。眉もお人形さんのように動いて面白いです。
目をかぁっと見開いたり、大げさにつぶったり、お人形さんみたいでした。
重忠の家臣(坂東功一)が阿古屋の来訪を告げると、鳥屋口から声はするけど、なかなか出てこない。
客席は揚幕に注目しっぱなし。
いやあ、すぐには阿古屋は出てきませんよとばかりに(そういうわけではない)、義太夫さんの語りがしばらくあり、揚幕のちゃりん、が聞こえると、捕り手が前後ろに三人ずつついて、阿古屋が登場。
客席は「ひゃ~(綺麗わぁ)。」の声があちこちで、ざわざわざわざわっっ。
七三よりちょっと手前、六四(とは言わないでしょうがこんな感じのところ)で一回りして、七三で両手を広げて、ひや~、綺麗。綺麗としかいいようがない。
帯の孔雀の羽が照明で照らされて、ものすごく綺麗。
私は景清の居場所はわかりませんと、階段を上っていって重忠のところへ。
だらぁんと身をそらせて、ものすごく綺麗。衣装もすべて見えて、愛之助さんは綺麗やし、最高でした。
人形ぶりの岩永左衛門は詮議が生ぬるい、もっと厳しくしろという。義太夫さんの語りがまたいい味出されてました。これはすごく効果的かも。
そして、中間たち(六人くらい)に拷問の道具を持ってこさせるが、この中間がちょっと狂言ちっく。
なんなんですかねえ。ぴょんぴょんぴょんっと飛び跳ねて、声もなんか「ぴょぴょぴょ。」とか。
秩父庄司重忠は中間たちを退かせ、琴と三味線と胡弓を持ってこさせ、阿古屋に弾かせる。
お待ちかねの阿古屋の演奏の場面です。
お琴の爪をはめるところから、色っぽい。
ぽろぽろぽろっと。ひゃぁ、綺麗。
太棹三味線さんとの合奏でした。三味線3人はちょっとうるさかったかも。
お琴の音をもう少しはっきり聴きたかったです。
あの、右手をじゃらじゃらじゃらじゃらら~んとするところが、んもぉ色っぽくて。
たまりませんでした。
あと、弦をぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅいんっと、しごくようなことをされてたのは何なんでしょう。
次は三味線。
下手から長唄さんが出てきて、合奏。
一節玉三郎さんが唄ったあとは、長唄さんが主に唄ってはりました。
調子あわせの時のお顔がまたいいのって。
玉三郎さん、棹でとんとんとんとんっと拍子を打って、あわせてはりました。
頭も衣装も大きいので、三味線が小さく見えました。
最後はお待ちかねの胡弓。
中国で見た二胡とは違うのかなあ、三味線を立てて弓で弾いるように見えました。
これも唄いながら、独特のきゅいんうわぁんきゅおんという音色で。
阿古屋には胡弓が一番似合っているように思いました。
途中いちばん高い音のところに指をおさえて「ちりちりちりちりり」という音から、低い音にいってうわぁんとなるところが良かったなあ。
唄の内容は番附で確認していたので、姿と音しかみてなかったのですが、あんなに重いお衣装に頭で、真剣に弾くとかじゃなく、演じて弾くなんて、こちらの想像を絶するところでしょうが、それを見事に演じきる玉三郎さんってほんとすごい。すごいっていう言葉では足りませんね。でもこれしか思い浮かばないです。
動くたびにきらきら光るびらびらの簪が余計に美しさを際立たせていました。
演奏の間、重忠はじっと聴き入っていましたが、人形さんの岩永左衛門は三味線の時は寝てるし、胡弓のときは火箸でまねて、やけどするし。
阿古屋ばかり見ていたので、見落とすところでした。あぶないあぶない。
演奏を聴いた重忠は阿古屋が偽りを言っていないということで解き放つことにする。
おしまいは登場人物みんな舞台前に来て、絵面。
美男美女と人形。スタンディングオベーションしそうなほど拍手していた私でした。
幕間 30分
2.傾城 長唄囃子連中
客席が暗くなり、舞台には吉原の提灯の明かりがてんてんと点いている。
ぱっと明るくなり、舞台には傾城が。
舞台には長唄さんたちがずらずらずらっと。
若い物に手をかけて花魁道中。
高下駄?のあのぐるんとまわして歩くあの足さばき、やっぱり玉三郎さんがいちばん。
足だけでもう美人ってわかる感じがする。
足の裏が色っぽい。(この際なんでも綺麗、色っぽいんじゃないか)
暗くなって、明るくなると、今度は赤から紫に金の刺繍を施したうちかけ。
その後、うちかけを取って、踊り。
手踊りや団扇を持って踊り。
細かくは忘れましたが、団扇を手鏡に見立てた振りがあったと思うんです。
そのときは情景が出てきました。
あと、男のひとを思っているのかなあとか。
しぐさ、しぐさで情景がでてくるかのようで。
つたない文章で言い表せないのが悔しいのですが、なんともいえませんでした。
おしまいは、長唄さんの背景がすっと開いて、雪を表す電気?がちかちか。
どんどんどんどんっと雪が降っている音。
黒いうちかけを着た傾城。
あの、見返り美人みたいな体勢がまたもう、最高でした。
15分ぐらいの踊りだったかと思いますが、3分くらいにしか感じませんでした。
えっ?もう終わり?って。
終わった途端、口をぽかぁ~んとしていた自分に気がつきました。
見とれるってこういうことなんですね。
生きてて良かったなあ。それしか言うことないなあ。
なんだかそんな気分になった歌舞伎観劇でした。
はっきり言いまして、「素晴らしかった。」のひとことに尽きます。
1年分の歌舞伎を観て来たような気分です。
高尚な気分というのはこういうものなんだなあと思いました。
■□■
午後3時から開演だったのですが、2時に行きますと、すでに南座はすごい人。
客席は整備中とのことで入れず、みなさん「坂東玉三郎美の世界展」をご覧になられていました。
さらさらさらっと、30分程度で見学したあと、客席へ。
なんとなく客層がいつもと違うような…。気のせいかしら。
今回はとちりよりやや前の本当に中央。
これだけでテンションあがりまくり。
■□■
1.壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)阿古屋 1幕
壇ノ浦の戦いのあと平家の侍大将悪七兵衛景清は源頼朝を討とうとして失敗、行方をくらました。
恋人五条坂の遊君(遊女?)の阿古屋(玉三郎)が尋問を受けているが知らないというばかり。
秩父庄司重忠(愛之助)は岩永左衛門(薪車)と同席のもと、堀川御所に阿古屋を連れ出し審議する。
幕が開くと遠山の金さんが出てきそうなお白州のセットがあって、義太夫さんの状況説明の語り。
すると、お奉行さんのように白い着物に黒の裃袴の愛之助さん登場。
真っ赤な顔の薪車さんも出てこられましたが、あれ、カクンカクンした動きに後ろには二人後見さんが。ああ、これが人形振りなんですね。
初めて観ました。眉もお人形さんのように動いて面白いです。
目をかぁっと見開いたり、大げさにつぶったり、お人形さんみたいでした。
重忠の家臣(坂東功一)が阿古屋の来訪を告げると、鳥屋口から声はするけど、なかなか出てこない。
客席は揚幕に注目しっぱなし。
いやあ、すぐには阿古屋は出てきませんよとばかりに(そういうわけではない)、義太夫さんの語りがしばらくあり、揚幕のちゃりん、が聞こえると、捕り手が前後ろに三人ずつついて、阿古屋が登場。
客席は「ひゃ~(綺麗わぁ)。」の声があちこちで、ざわざわざわざわっっ。
七三よりちょっと手前、六四(とは言わないでしょうがこんな感じのところ)で一回りして、七三で両手を広げて、ひや~、綺麗。綺麗としかいいようがない。
帯の孔雀の羽が照明で照らされて、ものすごく綺麗。
私は景清の居場所はわかりませんと、階段を上っていって重忠のところへ。
だらぁんと身をそらせて、ものすごく綺麗。衣装もすべて見えて、愛之助さんは綺麗やし、最高でした。
人形ぶりの岩永左衛門は詮議が生ぬるい、もっと厳しくしろという。義太夫さんの語りがまたいい味出されてました。これはすごく効果的かも。
そして、中間たち(六人くらい)に拷問の道具を持ってこさせるが、この中間がちょっと狂言ちっく。
なんなんですかねえ。ぴょんぴょんぴょんっと飛び跳ねて、声もなんか「ぴょぴょぴょ。」とか。
秩父庄司重忠は中間たちを退かせ、琴と三味線と胡弓を持ってこさせ、阿古屋に弾かせる。
お待ちかねの阿古屋の演奏の場面です。
お琴の爪をはめるところから、色っぽい。
ぽろぽろぽろっと。ひゃぁ、綺麗。
太棹三味線さんとの合奏でした。三味線3人はちょっとうるさかったかも。
お琴の音をもう少しはっきり聴きたかったです。
あの、右手をじゃらじゃらじゃらじゃらら~んとするところが、んもぉ色っぽくて。
たまりませんでした。
あと、弦をぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅいんっと、しごくようなことをされてたのは何なんでしょう。
次は三味線。
下手から長唄さんが出てきて、合奏。
一節玉三郎さんが唄ったあとは、長唄さんが主に唄ってはりました。
調子あわせの時のお顔がまたいいのって。
玉三郎さん、棹でとんとんとんとんっと拍子を打って、あわせてはりました。
頭も衣装も大きいので、三味線が小さく見えました。
最後はお待ちかねの胡弓。
中国で見た二胡とは違うのかなあ、三味線を立てて弓で弾いるように見えました。
これも唄いながら、独特のきゅいんうわぁんきゅおんという音色で。
阿古屋には胡弓が一番似合っているように思いました。
途中いちばん高い音のところに指をおさえて「ちりちりちりちりり」という音から、低い音にいってうわぁんとなるところが良かったなあ。
唄の内容は番附で確認していたので、姿と音しかみてなかったのですが、あんなに重いお衣装に頭で、真剣に弾くとかじゃなく、演じて弾くなんて、こちらの想像を絶するところでしょうが、それを見事に演じきる玉三郎さんってほんとすごい。すごいっていう言葉では足りませんね。でもこれしか思い浮かばないです。
動くたびにきらきら光るびらびらの簪が余計に美しさを際立たせていました。
演奏の間、重忠はじっと聴き入っていましたが、人形さんの岩永左衛門は三味線の時は寝てるし、胡弓のときは火箸でまねて、やけどするし。
阿古屋ばかり見ていたので、見落とすところでした。あぶないあぶない。
演奏を聴いた重忠は阿古屋が偽りを言っていないということで解き放つことにする。
おしまいは登場人物みんな舞台前に来て、絵面。
美男美女と人形。スタンディングオベーションしそうなほど拍手していた私でした。
幕間 30分
2.傾城 長唄囃子連中
客席が暗くなり、舞台には吉原の提灯の明かりがてんてんと点いている。
ぱっと明るくなり、舞台には傾城が。
舞台には長唄さんたちがずらずらずらっと。
若い物に手をかけて花魁道中。
高下駄?のあのぐるんとまわして歩くあの足さばき、やっぱり玉三郎さんがいちばん。
足だけでもう美人ってわかる感じがする。
足の裏が色っぽい。(この際なんでも綺麗、色っぽいんじゃないか)
暗くなって、明るくなると、今度は赤から紫に金の刺繍を施したうちかけ。
その後、うちかけを取って、踊り。
手踊りや団扇を持って踊り。
細かくは忘れましたが、団扇を手鏡に見立てた振りがあったと思うんです。
そのときは情景が出てきました。
あと、男のひとを思っているのかなあとか。
しぐさ、しぐさで情景がでてくるかのようで。
つたない文章で言い表せないのが悔しいのですが、なんともいえませんでした。
おしまいは、長唄さんの背景がすっと開いて、雪を表す電気?がちかちか。
どんどんどんどんっと雪が降っている音。
黒いうちかけを着た傾城。
あの、見返り美人みたいな体勢がまたもう、最高でした。
15分ぐらいの踊りだったかと思いますが、3分くらいにしか感じませんでした。
えっ?もう終わり?って。
終わった途端、口をぽかぁ~んとしていた自分に気がつきました。
見とれるってこういうことなんですね。
生きてて良かったなあ。それしか言うことないなあ。
なんだかそんな気分になった歌舞伎観劇でした。