今年の夏に開かれる洞爺湖サミットに向けて、広島、長崎の両県が共同で開催する原爆展の準備をしているという。
場所は、札幌での開催を予定しているが、場所と、期間、規模はまだ未定だという。
サミットには先進国の首脳が集まり、各国の報道陣や、NGOも集まってくる。その人たちに向けて核のない世界を、戦争の悲惨さを、被爆国・被爆県として訴えたいという。*(イージー)*
中国新聞コラム「天風録」から
広島へのエール '08/2/22
ひょんなことから広島市内のホテルに連泊した。眼下に平和大通りが延びる。行き交う車が川の流れのようにも見える。夜に朝に、部屋の窓から眺める百十五万都市の光景は見飽きることがなかった▲原爆資料館で開かれている写真展をのぞく気になったのも、その時の体験がきっかけだった。写真家の菊池俊吉さん(一九一六~九〇年)が、被爆後の惨状と復興に立ち上がる市民の姿を克明に記録している。被爆二カ月後と二年後。同じ場所で撮った写真の対比が印象的だ▲がれきが積み重なり、生き物の気配が感じられない爆心地。被爆二カ月後の写真には、どれもほとんど人が写っていない。しかし、二年後には状況が一変。爆心地にも、赤ちゃんをひざに乗せた若い女性の姿が戻っている。復興が軌道に乗り始めたことをうかがわせるひとコマである▲最初の写真は、政府調査団に同行して収めた。「食べるものがなく、塩をなめ、やっとの思いで撮影を続けたと聞きました」と妻の徳子さん(83)▲二年後の広島再訪は海外向けの写真集づくりが目的だった。暮らしに活気が戻る兆しを求めて歩き回った。四九年に完成にこぎ着けた写真集の冒頭には「ヒロシマは今も生きている」の文字が躍った▲「よくここまできたな」。寡黙な菊池さんは晩年、広島の復興ぶりについて、そう漏らすことがあったという。急性白血病で亡くなるまで、その後も広島にエールを送り続けていたようだ。
場所は、札幌での開催を予定しているが、場所と、期間、規模はまだ未定だという。
サミットには先進国の首脳が集まり、各国の報道陣や、NGOも集まってくる。その人たちに向けて核のない世界を、戦争の悲惨さを、被爆国・被爆県として訴えたいという。*(イージー)*
中国新聞コラム「天風録」から
広島へのエール '08/2/22
ひょんなことから広島市内のホテルに連泊した。眼下に平和大通りが延びる。行き交う車が川の流れのようにも見える。夜に朝に、部屋の窓から眺める百十五万都市の光景は見飽きることがなかった▲原爆資料館で開かれている写真展をのぞく気になったのも、その時の体験がきっかけだった。写真家の菊池俊吉さん(一九一六~九〇年)が、被爆後の惨状と復興に立ち上がる市民の姿を克明に記録している。被爆二カ月後と二年後。同じ場所で撮った写真の対比が印象的だ▲がれきが積み重なり、生き物の気配が感じられない爆心地。被爆二カ月後の写真には、どれもほとんど人が写っていない。しかし、二年後には状況が一変。爆心地にも、赤ちゃんをひざに乗せた若い女性の姿が戻っている。復興が軌道に乗り始めたことをうかがわせるひとコマである▲最初の写真は、政府調査団に同行して収めた。「食べるものがなく、塩をなめ、やっとの思いで撮影を続けたと聞きました」と妻の徳子さん(83)▲二年後の広島再訪は海外向けの写真集づくりが目的だった。暮らしに活気が戻る兆しを求めて歩き回った。四九年に完成にこぎ着けた写真集の冒頭には「ヒロシマは今も生きている」の文字が躍った▲「よくここまできたな」。寡黙な菊池さんは晩年、広島の復興ぶりについて、そう漏らすことがあったという。急性白血病で亡くなるまで、その後も広島にエールを送り続けていたようだ。