俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

『ベノム陥落』その2

2009年04月23日 11時54分26秒 | 小説『ベノム陥落』
 ついにレーザーが、プラズマエンジンの心臓部を刺し貫いたらしい。
 自分の腹に手が差し込まれ、内臓をつかみ出されるような痛み。自分の体が傷ついたわけではないにもかかわらず、ウルフはそんな感覚に襲われた。

 馬鹿な……キツネ、てめえが……!!
「俺よりも、上なのか……」
 喉の奥から思考が漏れ出て言葉になった。

 高密度のプラズマをエンジン内部に押し留めていた外殻が、レーザーの連射を受け、消し飛んだ。
 推進剤として噴射されていたプラズマは四散し、ベノムの大気中へと失われてゆく。
 もはや飛ぶことはできない。――墜ちる。

 なぜだ?
 ウルフの脳裏にその言葉が閃き、血管や神経の束の間をすり抜け体内で反響した。なぜだなぜだなぜだなぜだ?
 疑問は一点に向かった。シールドは残り少ないとはいえ、4本のグラビティ・ブレードはすべて無事だった。旋回性能に問題は生じないはずだ。
 後方に敵機が……『アーウィン』という名の因縁ぶかい機体が回りこみマークされた瞬間にも、余裕でそれをかわし、削られるシールドを最小限に抑えられる。ウルフはそう確信していた。
 それなのに。あろうことか、レーザーの最初の一撃を受けた途端、機体のコントロールは利かなくなった。