立川です
2023年もあっという間に4月に突入です。
今年は花見もできず波乱に満ちた人生を
送っております。
さて、気分を整えて本日はマントン衣装のエピソードです。
マントンというのは一般的に100c~140cの正方形の布に
綺麗な手刺繍を施し、その周りにやはり手作業で糸を編み込んだフリンジが
付けられた大きなストールですね。
フラメンコをやっている方の多くがマントンを持っていますが
スペインの誇る工芸品といってもよいでしょう。
今回お客様が持ち込まれたマントンもとても美しく豪華なものでした。
実はこのマントンはお客様のお母さまのもので
ご自身はもう踊らなくなったので、娘さんに譲られたそうです。
ですのでかなりの年代物ですね。
糸で編み込んだフリンジ部分の劣化は激しく使えない状態でしたが
本体の刺繍部分は痛みも少なく綺麗で十分に使えるものでした。
マントンを衣装に作り変えるのはとても頭を使います。
まず、衣装のどの部分に花柄を持ってくるかを考えます。
なにも考えずに裁断するとあちこちに花柄の欠片が飛び散り
せっかくの刺繍が台無しになってしまいます。
しかも用尺が1辺が120cほどの正方形なので絶対に裁断の失敗は
許されません。
衣装の前、後ろ、脇の花柄刺繍の配置と柄を合わせをしっかり考えてから
いよいよ裁断です。
私は1点しかないマントンにハサミを入れる前には必ず
アーメンと唱え慎重に慎重に裁断します。
そして、パーツごとに柄合わせをしながら縫っていきます。
少しずつバランスを見ながら組み立てていきます。
花が大きいので大きな花の塊を一か所に集め、他は小花を置いて
メリハリをつけました。
そして完成したのがこちら
⇓ スカートの裾には内側にアクセントカラーで赤フリルをつけてみました。
⇓ 後ろも花の柄合わせをしてファスナーをつけています。
↓ 斜め切り替えの部分と袖口にはリリアン糸でできたフリンジを
取り付けてヒラヒラと動きが出るようにしています。
マントンの用尺はぎりぎりで残布はほとんど残っていません。
このようにドキドキな作業の連続ですが出来上がると
インパクトの強い格別な衣装になります。
今回のようにフリンジがボロボロで使えなくなったマントンも
このように衣装として美しく蘇り、お客様のお母さまも
きっと喜ばれていることでしょう!めでたし、めでたし
それではまた次回!
立川でした。