こんばんは。
大変遅くなりました。
兼題:短
日短や白髪紳士銀杏過ぐ 瑠璃
淡々と短きニュース開戦日 泉
○(春生)「開戦日」と「短きニュース」が響き合っている。
◯(アゼリア)歳月と共に風化していくのは仕方のないことなのかもしれませんが、記憶に留めて繰り返さないようにしたいと思います。
○(幹夫)「朝刊の社説それぞれ開戦日」幹夫・・・毎年12月8日の朝刊は大体そんな感じ。
○(吾郎)本当に昭和は遠くなりにけり。開戦日は季語として残るのか──
◯(ルカ)あの熱狂的な開戦放送と現代のニュースとの対比。
明日へ撃つ竜馬の短銃懐手 藤三彩
◎(泉)「明日へ撃つ」という表現に、幕末の激動を感じます。
◎(アネモネ)「短」から「竜馬の短銃」へ飛んだ発想なかなかです。
◎(瑠璃) 竜馬は短銃を懐手に持っていたとは知りませんでした。
◎(餡子)まさに、あの写真の竜馬は短銃を胸に秘めて懐手をしている。もう少し長く生きていたら・・・・。
◎(まきえっと)「明日へ撃つ」がよいですね。写真がパッと目に浮かびました。
短日ややり残したる庭仕事 幹夫
◯(アネモネ)いかにもいかにも。
〇(藤三彩)植木屋が整枝した他人の庭を見て、そうだ!やらねばと思う共感句。下草や枯葉の処理も意外と時間喰い。
○(餡子)日も短くなって、予定通りに仕事もはかどらない。まして、庭仕事となると、思いのほか仕事が多くて手入れが大変である。今日はここまでにしておこう。
わが性の短きと友冬の月 瞳人
◯(あちゃこ)性をどう捉えるか、多様な読みがあるでしょうが。季語との取り合わせがいいですね。
短日や雲間に鳶の影光る 仙翁
○(ちせい)季語は「短日」。雲間に鳶の影。はっとした。
(選外)(道人)鳶の影の発見が良いですね。
短かびの巨泉CM冬灯し 敏
短足の影とをりたる冬日かな 卯平
屋上の祠あかあか日短か 道人
〇(仙翁)ビルの屋上には、祠があるものらしいですね。
◯(ルカ)屋上にあるのがリアリティがあります。いかにも夕日がさしそうです。
鉛筆のちびて短し波郷の忌 アネモネ
○(春生)「波郷の忌」を見事に捉えている。
◯(卯平)類想はあると思うが取り合わせは共鳴できる。中七が少々煩いか。
男なる私は短気落つ秋日 多実生
短日の影長々と野良仕事 春生
◯(アゼリア)ご苦労様です。働く人の句には惹かれます。
〇 (多実生) 障害物のない田畑では影の長さが一番実感出来そうです。
○(幹夫)短日夕方の景が佳く詠まれています。
(選外)(藤三彩)夕闇はすとんと辺りを暗くし、長々という訳にはいかない。
父方は短気の家系冬温し 餡子
晩秋や最短距離を鳥は飛ぶ あちゃこ
◎ (多実生) 渡り鳥は気流にのり移動する様ですが、一般的に強風や天敵でもいない限り最短距離は鳥の特権です。
○(泉)鳥は本能的に、最短距離を飛ぶのでしょうか?
◎(ルカ)鳥が最短距離を飛ぶ。考えた事ありませんでした。
〇(まきえっと)そうですね。遠回りはしておれませんね。
思い切り短髪にして桂郎忌 アゼリア
◯(アネモネ)短髪と桂郎忌の取合せがいかにもです。
白菜よ短冊残多よい策は 吾郎
◯(アゼリア)私も鍋料理の後いつも残しては、苦肉の策で味噌汁に入れたりしています。共感の名回文です。
短日や夕刊のくる音のして ルカ
◯(あちゃこ)来たではなく、遠き気配と捉えました。日常の何気なさを上手く表現しています。
短期的睡眠多し冬に入る ちせい
息を短く冬のタンゴの位置に立つ 宙虫
◯(道人)タンゴを歌う立場でも聞く立場でもきっと「息を短く」することでしょう。この緊張感。「冬の」が効いています。
〇(仙翁)タンゴのリズム、上手に踊っているのでしょうね。
◎(あちゃこ)凛とした瞬間!上手い。冬とタンゴのマッチングがステキ。
短編の起承転結冬三ケ月 まきえっと
◯(卯平)短編は書き方が一番難しい。その中にどうやって平地と峠を創るか思案のしどころ。季語の位置はこれでいいかどうか。
○(泉)短編小説を書くのは、本当に難しいと思います。
◎(宙虫)人生長く生きてくると時間の流れが速くて、月の満ち欠けも案外短く感じる。とにかく振り返ればあっという間。
(選外)(道人)「起承転結」と「冬三日月」の取合せの妙。
テーマ:食べる
オリオンや危篤電話受信せり 卯平
葱の束乗せて銅鑼の音海へ出る まきえっと
◯(瑠璃) 葱の束を出荷するのでしょうか?ドラマチックですね。
〇(宙虫)葱の束と海の関係が面白い。銅鑼・海・出る少々めんどい構成ではあるが。
◎(仙翁)今も銅鑼が鳴るのでしょうか、景が見えます。
一杯で満腹とせん鯨汁 敏
◯(あちゃこ)捕鯨問題と伝統文化と。考え過ぎでしょうか?
駅ナカのパン屋の匂い冬はじめ 道人
○(餡子)パン屋の匂いってどうしてあんなに心地好いのでしょうかね。朝!という感じです。
◯ (ルカ)通り過ぎる時に、特に感じます。冬はじめもいいですね。
食べるのは狐の自我か小砂利踏む ちせい
〇(仙翁)食べるのは、自我ですか、本能でしょうが、面白い。
エクレアを買っていたはず冬の鵙 宙虫
〇(藤三彩)買っていたのに、何処にやったのか、覚えがあります。鵙の贄のようですね。
○(餡子)そうなんです。~~したはず・・が増えてくるこの頃です。
◎(ちせい)季語は「冬の鵙」。確信は崩され癒され鵙が鳴く。
新米を握る寮母の背の円み あちゃこ
〇(瞳人)こころ込めて握るから、そうなる
〇 (多実生) 新米の季節です。背の円みに実景が見えます。
◎(幹夫)心あたたまる寮母の様子に共感です。
◯(瑠璃) 寮母さんの温かみが背中に出ていますね。
○(餡子)今は、寮母さんってすくないでしょうね。温かみのある世話焼きの東京でのおかあさんだ。
神の留守極辛覚悟するのみか 吾郎
○(泉)いつもながら、見事な回文だと思います。
〇(藤三彩)神様助けて、この辛さ、読みやすい回文。
◯(道人)「食べる」がテーマですがこの「激辛」の後には「人生」など食べ物以外も合いそうです。
〇(宙虫)神様がいないと何が起きるかわからない。用心しよう。
〇(まきえっと)覚悟は何事にも必要ですね。それにしても辛い。
黒鳥の水面を突く赤き口 瑠璃
◯(あちゃこ)生きる凄みがあります。
石蕗明り浜の飯屋の漁師飯 アゼリア
○(春生)「漁師飯」が効いています。
○(卯平)季語がこの場合的確であろう。中七から下五が整理できなだろうか。
◯(アネモネ)「浜の飯屋の漁師飯」リズムが良くて美味しそう。
浅漬や未だ丈夫な右奥歯 幹夫
〇(瞳人)そうとう堅そうですね
○(吾郎)実感の口中
◯(瑠璃) 浅漬は美味しいでしょうね。私も糠味噌つけてます。
即席の食品元祖蕎麦を掻く 多実生
○(ルカ)江戸のファーストフード。
体重の増えて迎える今朝の冬 泉
○(幹夫)食欲の秋を終えて立冬ですね。
丹精せし夫婦味なる焼芋よ 瞳人
〇 (多実生) 囲炉裏の灰の中での焼き芋は古い時代の思い出です。
冬銀河シチューの鍋をかきまぜて ルカ
○(ちせい)季語は「冬銀河」。シチューの鍋にもある宇宙。
凍星や宿直室からカレーの香 餡子
○(春生)インスタントカレーでしょうか。おいしそうですね。
◯(アネモネ)男の料理感横溢です。
○(吾郎)いいね、パックのカレーじゃないところがいい。肉は入ってないかもしれないけど。
◯(瑠璃) カレーの香で一気に寒さが遠のいていくようです。
○(ちせい)季語は「凍星」。食欲をそそり知識欲もそそられた。
〇(まきえっと)カレーの香りは寒いときにはスパイシーで体が暖まります。
湯気に隠れ鍋焼きうどん食ふておる 仙翁
◎(吾郎)ああ、これは美味そうだ。湯気に隠れる風情、たまりません。
巴里に行く話南京豆剥きつ アネモネ
◎(卯平)突然の出張の話か。下五の叙で一定の緊張感が伝わる。これが巴里以外であれば詩情は伝わらない。
〇(瞳人)パリ行きは人さまの話し、羨まし
〇(藤三彩)塩茹で落花生の薄皮は白い乙女のやう。固くなったピーナツを居酒屋でつにというTPOではないのね。
◯(道人)日常と非日常がないまぜになったさり気ないシーンが佳いですね。
〇(まきえっと)取り合せが面白いです。
百歳や肉よりひと口本鮪 藤三彩
餅搗きを終へて昼餉の辛味餅 春生
雑詠
あばら家につるべ落としや寝ぬばかり 仙翁
◯(道人)「寝ぬばかり」諦観を超えた悟りに近い心境が感じ取れます。
今も水湧く井戸曲輪小六月 まきえっと
◎(藤三彩)城址の井戸曲輪(いどくるわ)が今も活きているという発見。切れの場所が今ひとつの感じではあるが◎。
冬霧やよく透き通る指呼の声 餡子
○(春生)雰囲気があります。
◎(アゼリア)霧の中をよく透るきびきびした声が聞こえてきます。
〇(宙虫)通るだけでいい気もするが、「透き通る」としたところで世界観がひろがった感じ。
うそ寒や討ち入り志士に共鳴し ちせい
黄落の終着駅を発つ夜明け 道人
○(ちせい)季語は「黄落」。銀杏の木でしょうか。ビジネスか遊行。
恩受けし支局長の訃小春日に 瞳人
どちらともなく話しだす根深汁 ルカ
◯(卯平)このような夫婦の関係は理想だ。季語は的確である。特選を迷ったが少々類想感があるような。
◎(瞳人)作者の句意は違うでしょうが、若き大治郎のこと、小兵衛のことなど、偲ばせてもらいました
○(吾郎)根深汁だからこその景…ではないかもしれないが実感共感!
〇(道人)永い夫婦生活の醸し出す味わい深い根深汁ですね。
○(餡子)いい関係のお二人です。
窓大き娘の部屋に小春の日 瑠璃
寒竹の子も二の膳に酢味噌和へ 幹夫
金星人だとあいつは言った冬の竹林 宙虫
○(泉)何となくロマンチックな俳句だと思います。
〇(藤三彩)「竹林の七賢人」の如く平然としている。かつては火星人と呼ばれていた。
〇(仙翁)金星人は誰でしょう。あいつか僕か、それとも本当の金星人か。
御礼の手紙を添える歳暮かな 泉
○(幹夫)手紙で効果アップ、お歳暮の時季ですね。
今季しか着まい掻巻貸し金庫 吾郎
○(泉)いつもながら、見事な回文だと思います。
ほぞぬるき十一月のうどんかな 卯平
〇(宙虫)微妙なうどん。熱いうどんを期待していたのにとの想いがわかる。ただ、ほぞぬるきを十一月が説明してしまってちょっと残念。
○(ルカ)十二月のうどんはアツアツかなー。
声帯の長き声色冬初む あちゃこ
相棒は猫と金魚と冬の蠅 アネモネ
◯独居老人の独り言。詩情感としての余韻は果たしてどうだろうか。
〇 (多実生) 侘しさが募ります。
○(幹夫)相棒三物に共感です。
○(吾郎)さてさてその相棒たちと何をおっ始めることやら(笑)
◯(瑠璃) 相棒に猫と金魚はいいですが蠅は最近ちょっとあまり見なくなりましたね。
〇(仙翁)僕の相棒は、猫と鳶と冬の蝶。
冬椿終の住処はここと決め アゼリア
○(春生)季語「冬椿」がいいですね。素敵な場所ですね。
〇(瞳人)椿咲くところ、いいではないですか
◯(アネモネ)これはもう波郷です。
◎(道人)渡り鳥のような生活に終止符を打たれたのでしょう。共感の人生観。「冬椿」がさえています。
〇(まきえっと)住処を決めれると安定しそうです。
凍鶴のひと声宙に突き刺さる 春生
◯ (アゼリア)寒空の下鶴の声が響いてきます。
◯(あちゃこ)甲高い鶴の声は、大気圏を飛び出していきそう。
○(ちせい)季語は「凍鶴」。声に震撼した。突き刺さるのは我が心でもあるか。
灯を消して見れば一際秋夜景 多実生
薄目開く猫の縁側小六月 藤三彩
◯(アゼリア)気持ち良さそうです。
〇 (多実生) 寒がりの猫には日当たりの良い縁側は天国です。
〇(宙虫)猫のこの世界の句はたくさんありそう。季語がいい感じ。
立冬の朝に風を啼く鴉 敏
(選外)(道人)「風を」が巧い。
広島はなんだか暖かいような寒いような、不思議な気候が続いています。今年の猛暑の名残の様な気もします。貴景勝の初優勝。見事でしたが、引退した貴乃花親方の気持ちは、と思うと複雑ですね。