第483回小麦句会投句一覧（8月22日選句締切）

台風のような暴風雨。記録的な猛暑。世界中で異常気象が起きていますね。
北極圏の温暖化により偏西風が蛇行がすることが原因のようです。

兼題：文
文月や供華と遺影の文机　
秋鴉桂文治が脱ぐ羽織　　
糸とんぼ百円文庫並ぶ市　　
新涼や波乱を生きた幸田文　
夢に見し古文・漢文明易し　　
文筆業注文を待つ残暑かな　　
鶏頭に向く文机や子規めける　　　　
文月や葉書に貼りし紙の鶴　　
文鎮の重さ八月十五日　　
文章に瑕疵は少なし百日紅　　
夏の灯を消すよう女将の仕舞文字　
海面部濃霧はムウの文明か　
紀行文誘う佐渡へと秋の旅　　
例文のような恋文秋ぐもり　
読み返す父の文あり終戦日　　　
縄文の墓に今年の黒揚羽　　　　　
来し方のこと次々と大文字    
拙文の連載原稿夜の秋　　　　　　
競い合う原色文字の街晩夏　
文箱に戦死の子の遺書虫の声　　　
台風圏部首に呼び出す異体文字　　
幸田文塔再建記夏が逝く　　　　

テーマ：期限
いつぱしの顔してゐたる捨案山子　　　　
秋気澄むもう似合わない恋の歌　　
ひぐらしや二番ホームの弁当売    
延長の賞味期限や颱風裡　　　　　　
炎帝を鎮める九月神のかほ　　　　
花おくら今ごろ自白してごめん　　
解禁の鮎ににぎはふ峡の駅　　　
原爆忌天然水は期限切れ　　　　　　　
古酒よ締め切り決めし避けざる腐　
借りたまま学校印を曝書かな　
秋蝉や無人ポストに本返す　　
十日前の日付悩まし氷菓子　　
賞味期限切れし私冷奴　　　　
水蜜桃末期の兄に与えたき　　　　
生かされているうちが花滝飛沫　　
接触者待機台風余波の雲　　　
送り火や期限を感じる顎の凝り　
敗戦忌彼の日届きしハルノート　
原稿を待つ担当の夜長かな　
背を押され慰霊の登山赤のまま　
落蝉や七年七日を全うし　　　　　
黴生えるまでは捨てない祝菓子　　

雑詠
あの頃に在りしあの頃盆の月　　
けむりなきポパイのパイプ終戦日　　
何もかも笑ひ飛ばして生身魂　　　　　　
気が急くな待てないな手間泣く施餓鬼　
見る人に語るドームや秋高し　
雑巾で家の平和を磨く盆　　
秋澄めり車窓に夜の京都タワー　
集落の祖は源氏残党秋螢　　　　　
身辺りに水ある暮し原爆忌    
青き風包みて香る夏の水　　　　　
蜘蛛の囲に顔を包まる老眼鏡　
天守より望む湖の国秋暑し　　　
南風に提灯揺らぐ送り盆　　
戦には大義名分秋暑し　　
二十時の定点観測秋の蝉　
猫の尾のすこし鈎型秋立つ日　　
八月や一杯の水一滴の血　
反骨に貌をつければ真葛原　　　
保健室の奥に少女と花氷　　
盆の月とろり抜けでる島の影　　
立秋や不惑コボちやん緩緩まゐれ　　
睾丸を痒いと思う虫の夜　　　　

 

★選句要領

★選句数
６句選（うち特選１）
選外のコメントも受け付けます。

★締切
8月22日（月）２４時

★当番はまきえっとです（投句先メールアドレス）
makietto@nifty.com