小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第383回小麦句会結果発表

2018年06月10日 06時11分32秒 | 1日句会

台風もいきなり発生して接近しています。

上陸するようなことはなさそうですが、雨の強くなる場所もありそうですので、お気をつけください。

梅雨の楽しみ・・・・そういう気持ちで自分たちのまわりをみつめてみるといいかもしれません。

俳句つくりの目で・・・・。

 

では、結果発表です。

次回も梅雨のど真ん中の句会ですが、告知をお待ちください。

 

★★

 

フロアボタンの指紋は小さし祭の夜   アネモネ

○(敏)ずいぶんこまかいところに目をつけましたね。祭りの夜、このビルを舞台にした事件でもあったのでしょうか。

〇(道人)小さな指紋と祭りの夜に物語性あり。

 

四葩咲く雨後の疎水に稚魚の影    アゼリア

○(アネモネ)絵画的で景がよく見えます。     

◎(幹夫)景がリズム佳く美しく詠まれいる。

〇(珠子)美しい日本の光景そのものです。今の時期紫陽花が本当に美しくて癒されます。    

〇 (多実生) もうこんな季節になりました。自然界の観察が素晴らしい。

〇(道人)雨上がりの疏水との景...動きがあって佳いですね。「稚魚の影」に余情あり。

 

紫陽花の葉をかじりをるかたつむり    瑠璃

〇(仙翁)実に、よくありそうで、でもいい景色。

〇 (多実生) 蝸牛が紫陽花に似合いますが、葉をかじるのは見た事が有りません。

 

カテーテル了へて清涼飲料水    幹夫  

◎(珠子)施術後に呑んだ自販機の冷たい清涼飲料水、ほっとした気持ちが出ています。お疲れ様でした。カテーテルという言葉はすっかり日常語となりました。 

〇(藤三彩)カテーテル検査で動脈硬化や急性心筋梗塞などにならないように動脈の状況を把握する。また甘い飲料を飲んだらダメでしょ。

〇(瞳人)ほっとしましたね

○(泉)難しい治療を無事終えて、ホッとした気持ちが、良く表現されています。

 

原稿に鋏を入れる濃紫陽花    宙虫

〇(珠子)PC画面だけでは理解できない文書・重要な文書はプリントしてしっかり読むことになります。それに鋏を入れたのかなと思いましたが。 

 

紫陽花の色なだれ込む昇降機   餡子

○(ちせい)季語は「紫陽花」。七変化ともいわれる紫陽花。その色と流れ込む人等との、絶妙な取り合わせ。特選でもいいと思いました。

◎(まきえっと)この時期どこでもいろいろな形や色の紫陽花が咲いています。「なだれ込む」がよく合っています。

〇(仙翁)エレベーターでなく、昇降機とは面白い。

○(幹夫)中句の大袈裟なところが佳い。

〇(珠子)実は私もこういう感じの句を作っておりまして…。  

◎(道人)丁寧に育てられた紫陽花は、育てた人や街の心を映して素敵な色香を纏っていますね。

〇(道人)昼休みに公園で紫陽花をみながら弁当を食べたのかも。無機質なビルの職場に戻るエレベータの中まで紫陽花の余韻が残っている。勝手読みの景です。

○(泉)ダイナミックな俳句だと思います。

○(ルカ)なだれ込む、が紫陽花の色のありようを、よくとらえてると思いました。

 

生き急ぐつもりじゃないよ濃紫陽花   道人

 

紫陽花や水の中には亀泳ぐ    ちせい

 

紫陽花やエレベーターの降り来る    春生

 

閉じるボタン汗で汚れるエレベーター  泉

◯(餡子)乗り込むとつい「閉じる」ボタンを押してしまいます。押さなくてもいいそうですが、習性になっています。これからの季節汗の指が何度もこれに触れることでしょう。

 

入梅や土星へ向かうエレベーター   宙虫

○(敏)上昇するエレベーターの中にいると、どこか未知の空間へと誘われていくような気になるものです。行先は紫陽花の毬花からの連想で土星を夢想したのかも。

○(泉)「土星」とは大きく出ましたね。正に宇宙旅行の時代です。

◎(仙翁)土星とは、雄大な。

 

頬伝ふ雨は涙か七変化     幹夫

 

現実に戻る一階濃紫陽花  まきえっと

◎(敏)三枚の写真から、それぞれ受ける印象を上手に取り入れての構成。一枚目の鋏が暗示している物語性からの覚醒が見事です。

〇(藤三彩)上層階はおとぎの国だったのかも。

〇 (多実生) 心の動きを詠まれているのでしょうか?

◯(餡子)エレベーターの中は、別室。遮断された世界です。一人だとなおさら。一
階でドアが開くと、いつもの現実が・・・・。ああ、今日も一日が始まる。
◎ (アゼリア) 私も今四階住いですので、この感覚よくわかります。

 

(選外)(道人)最上階近辺からと1階では紫陽花の色も形も違うことでしょう。

 

水面に顔せり出しぬ七変化  敏

 

夏空や十二階では低すぎる   仙翁

○(ちせい)季語は「夏空」。主観的な不満、客観的な不満。意外と技術的な見識に裏打ちされた不満なのかもしれません。

○(まきえっと)住むなら平屋がいいなと思います。

◯(ルカ)もっともっと夏空に近づきたい気持ちがよくでています。

 

缶コーヒーサイズの自由梅雨に入る  珠子

◎(ちせい)季語は「梅雨に入る」。常識的に考えれば缶コーヒーの缶のサイズの自由さでしょうが、ほかにも想像力が飛翔しそうでいいと思いました。

◯(あちゃこ)缶コーヒーサイズという捉え方が斬新!閉塞感に共感。

◎(アネモネ)「缶コーヒーサイズの自由」にはびっくり。上手い! 

○(幹夫)九州・四国地方に遅ればせながら中国地方も梅雨入り。入梅に斯くの如き小さな自由との取合せ。

◎(餡子)窓際に置かれた瓶は?と思って調べましたらジヨージア珈琲のブラックでした。この句の雰囲気いいですねえ。自由ってそんなもんかもしれません。 
〇(道人)梅雨入の頃は、その時その時喉の渇き方や心模様も微妙に違うもの。「サイズの自由」が良い。

 

紫陽花や当マイクロフオン偲ばるる   瞳人

 

(選外)(ちせい)季語は「紫陽花」。集音装置のマイクの事だと思うのですが、座5の「偲ばるる」の悪い意味で唐突感があると思いました。「当」の意味が少しわからなかったですし。

 

色で見るペーハの具合あじさい花  多実生

○(まきえっと)pHと紫陽花の取り合わせが合っています。

○(泉)「ペーハ」という着眼点が面白い、と思います。

 

黒南風の仕事鋏に残る癖   あちゃこ

○(敏)中途半端に開いた鋏から、何らかの仕事癖を見出したことと思われます。

○(アネモネ)なるほど。「癖」までよく言ったなと思います。

○(餡子)色々な職業の方が鋏をつかいますね。それぞれの持ち主の手に合ったように癖がつくのでしょう。   
◯ (アゼリア) 道具には使う人の癖が残りますよね。鋭いところをついていると思います。

 

(選外)(藤三彩)黒南風と仕事鋏の取り合わせが今一つピンとこなくて

 

短夜のいつも無人のエレベーター    ルカ

◯(あちゃこ)都会の切り取り方が良い。

〇(瞳人)ありますね、たしかに

 

黒南風や理事長籠る最上階  藤三彩

○(敏)連日のように問題視されている某大学の理事長さんでもありましょうか。時事川柳へのなだりを踏みとどめているのは、季語の的確な斡旋かも知れません。

○(アネモネ)いやいやなかなか。笑いました。

◎(泉)日大の理事長でしょうか。大変な騒動になりました。

 

(選外)(道人)写真詠の時事俳句として巧み。N大理事長、早く会見してほしいですね。

 

涼しきパジャマ選り父見舞ふ昼下がり   アゼリア

〇(藤三彩)父君の入院は長期戦のご様子。早く退院できるといいですね。家に帰られても困る家族の心理はあるのかも。お大事に。

 

十二階より紫陽花を見に降りる    春生

○(まきえっと)わざわざ紫陽花を見るために降りてくるというのがよいですね。

○(アネモネ)散文的ですが、発想が面白いです。

○(餡子)どうと言うこともない句ですが、紫陽花への期待感をこういう形に表現したところ、面白い。  

 

裁縫は死語となりしか更衣  泉

○(ちせい)季語は「更衣」。日本の将来を憂えて居るのかもしれません。ミシンや機械編みや、コンピューター制御編みの時代に。

〇(藤三彩)裁縫で身を立てる女性、例えば朝ドラ『カーネーション』の「コシノ三姉妹」を育てた母ちゃん。シンガーミシンも珍しくなりました。

◎ (多実生) 私は母の手作りを着せられ育ちましたが、裁縫が死語?大量生産の時代ですからね。

◯(あちゃこ)死語であり時代であり。チクチク族も流行ってはいますが。

 

亀の子のうしろに続くあめんぼう    瑠璃

○(まきえっと)可愛いです。逆だと怖い。

〇 (多実生) 良く見ればこんな事も有りそうです。

〇(瞳人)ひょっとして、だれかさんのこと

 

開きたるままの和鋏梅雨入り前   アネモネ

◎(ルカ)この句の季語は梅雨に入る、の方がいいと思います。開いたままの和鋏がいいですね。

 

珈琲はブラック紫陽花は藍がよし  餡子

○(幹夫)そのこだわりがよい。

〇 (多実生) 人にもよりますが私はこの通りです。

◯ (アゼリア) コーヒーはミルクは入れますが、紫陽花は同感です。

○(ルカ)断定も、ときには魅力的。

 

梅雨冷の誰のものでもなき鋏   ルカ

○(ちせい)季語は「梅雨冷」。皆で使う共有の鋏。何か伝わるものがありました。

◯(あちゃこ)誰かのものであった鋏。反語表現と季語との取り合わせが良い。

○(幹夫)梅雨冷と鋏の取合せに共感。

〇(珠子)こんなところに誰かが使いっぱなしの鋏。そして不安定な梅雨空。とにかく珈琲飲んだらもうひと頑張り!  

 

紫陽花の涙の痕を辿りけり   仙翁

 

紫陽花に疲れてふかす紫煙かな   道人

〇(藤三彩)タバコの吸える場所を探しで疲れると解してもよさそうな鎌倉や紫陽花の集まり場所。肩身がいよいよ狭くなる喫煙人口。

 

紫陽花や街の色香を身に添えて    あちゃこ

 

七変化胸高鳴れど悪女かと   瞳人

〇(藤三彩)昔は独り身で経済力のある女性はなんか取り付く島がなく怖い感じがしました。そして「私、悪女よ」など囁かれるともう・・(個人の感想です)

○(餡子)女心は七変化。紫陽花と同じく日々、変わりやすい。昨日の優しさは何だったのか。今日の冷たさは・・・。でも、悪女ほど魅力的です。

◯ (アゼリア) 悪女はやはり魅力的なんでしょうね。

 

新緑の谷へホテルの開かぬ窓  珠子

◯(あちゃこ)発想が面白い。季語はどうだろう?

○(敏)高階の開かずの窓と、開きかけた鋏、その脇に置かれた何やら怪しげな飲み物の缶から、一編のミステリーじみた物語が生まれそうです。

〇(仙翁)高層ビルの窓からのぞくと、本当に谷ですね。

◯ (アゼリア) ホテルの窓、開かなくて私も息苦しくて苦手です。

 

新聞の記事に入れる刃梅雨に入る  まきえっと

〇(珠子)「刃」ですからどういう意味かとは思いましたが、単純に切り抜きと思うことにしました。きっと重い記事だったのでしょう。

◯ (アゼリア) 私も俳壇などをよく切り抜きます。

 

見下ろせば鳥の目で見る街薄暑  多実生

○(まきえっと)鳥にとって高層階はどう見えるんでしょうね。

〇(仙翁)鳥になったようで、本当にそうですね。

○(アネモネ)なるほど。まさに「鳥の目」ですよね。

〇(瞳人)そういう感じって、わかります

◯(ルカ)見下ろせば、が気になりますが、鳥の目がいいと思いました。

 

ボタン押し撮影現場の如き夏   ちせい

 

赤い糸切れない鋏女梅雨  藤三彩

◎(あちゃこ)切れないから赤い糸。やるせなさが伝わってくる。

○(幹夫)赤い糸は運命の糸だ。

〇(道人)赤い糸は重い言葉ですが、写真の「鋏」を介在して女梅雨とよく合っています。

○(泉)「赤い糸」つまり「縁」は、鋏では切れません。

○(ルカ)赤い糸と女が重なりすぎていますが、着想は面白いです。

 

高処にて気分は国見青葉騒  敏

○(ちせい)季語は「青葉騒」。これは何ともゆったりとした感じがしますしいいです。

〇(仙翁)国見ですか、そんな気分もいいですね。

 

 

 



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2018-06-10 18:22:22
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島はいよいよ梅雨入りしました。今日も曇天で、小雨が降っています。梅雨寒というのか、あまり気温が上がらないので、何とか助かっています。
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