オリンピックは閉会式を迎える。
この時期のオリンピック開催の是非は別にして、この大変な時に、がんばったアスリートたちを素直に拍手をしたい。
次のパラリンピックはさらに大変なことになるかもしれないが、選手たちにコロナ感染者増の責任転嫁するようなことにならないよう願ってもいる。
世界がコロナがかきまわされているが、当地九州は今夜台風9号が上陸するようで、暴風雨の中、テレビでオリンピックの閉会式を観ることになるだろう。
停電など起きず、最後まで見届けられるだろうか?
では、結果発表!
二回にわけて発表!
青山に夏柔らかき夕日かな 仙翁
◎(まきえっと)夏柔らかきがいいですね。
処刑待つ如くに座る夏木立 卯平
○(幹夫)納得の景です。
◯ (アゼリア) 処刑という俳句ではあまり使われない言葉が使われておりますが、抵抗なく、むしろ新鮮?な印象でした。
◯(道人)深読みかも知れないが「戦争」の匂いを感じる句。
石像や緑蔭に指揮棒落ちて居る ちせい
○(餡子)あの石像たちは何なのでしょうね。音楽を奏でているとは思いますが、興味の在る石像たちです。どの人が指揮者かしら?
○(泉)確かに、この石像群はオーケストラの様に見えます。
○(幹夫)目のつけどころに感心しました。
○(宙虫)指揮棒がドラマを見せてくれる。
風立てば風の世界の夏木立 道人
〇(仙翁)きれいな句ですね。
〇(まきえっと)「風」を上手に使っています。
◯(アネモネ)白く葉裏を見せて翻る木々のざわめきが見えます、
〇(メイ)人間のいない世界は、すっきりした風の世界。
〇(珠子)風が吹けば風に、雨が降れば雨に、日が照れば日に身を任せる木立。逆らわない・逆らえない。
◎ (アゼリア) 夏木立はいつも自然を受け入れ泰然と存在しているのですね。風のリフレインも素敵です。
〇(めたもん)「風立てば風の世界」という言い回しが気が利いていていい感じです。
○(宙虫)すっきりと夏木立につながっていく風がいい。
(選外)(ちせい)風の世界と夏木立が相並ぶ難しさを思いました。「風の世界の夏木立」。取りたかったのですが、私には風の世界と夏木立が分割されて感じられたのでした。
故郷へ急げ宅配雲旺ん まきえっと
◎(アネモネ)季語はどれかはさて置いて勢いがなかなか。
蝉の声山に張り付く山の寺 めたもん
○(あちゃこ)山形の山寺の景かと。蝉の声が暑さを増幅させますね。上五と下五を入替えて山寺や山に張り付く蝉の声の方が中七が生きるのでは?
◯(ルカ)山の寺では確かに張りついたように鳴いています。
◯(アネモネ)蝉の声のねっとり感が伝わって来ます。
〇(ちせい)「張り付く」に主張が有ると思いました。
炎帝を呑み込む埴輪闇の闇 あちゃこ
○ (敏)「闇の闇」は埴輪の持つ炎帝をも呑み込む底知れぬ力の象徴なのでしょう、たとえばブラックホールのような。
○(アダー女)1500年以上前に副葬品として作られたという埴輪。人間があらがい難い炎帝さえも呑み込む長き歴史と闇の世界。神秘としか言いようのない不思議な魔力を持つ埴輪。埴輪が守る埋葬された人物とは。日本の歴史と謎が十七音から魔力を持って伝わってきました。
玉音てふ宣旨流れて立あふひ アネモネ
〇(藤三彩)八月十五日の敗戦忌、コロナ感染者数は過去最大を更新するもオリパラは止まない。
(選外)(卯平)「玉音」と「立ちあふひ」の微妙な関係はこの句では成功してはいる。但し、中七が上五を二重に説明している。句材には発見があるだけに残念だ。
葛の雨運転席から恋のうた メイ
○(あちゃこ)遠距離トラックには、演歌か恋の歌でしょう。季語は、明るめの方がいいかなと?
○(餡子)気持ちのよい景色の中を行く運転手さん。恋のうたや口笛の一つも出てくるでしょう。
◯ (ルカ)気持ちのいい句。
○(卯平)中七下五の措辞にドラマ性が。そのドラマの方向性を上五「葛の雨」が導いている。若々しい句。この季語以外でも成り立つ句ではあろうが、季語の斡旋に作者の自己投影があるとすれば、このような斡旋も読者に魅力的。
◎(仙翁)ありそうで、楽しそうな感じでいいですね。
○(敏)以前に心弾ませながら観た「トラック野郎」を思い出しました。
◯ (アゼリア) 私は運転席にサザンが流れているような気がしましたが、なんの歌でしょうね。葛の雨の季語が素敵です。
〇(めたもん)上五「葛の雨」と下五「恋の歌」の取り合わせがユニーク。庶民的な雰囲気とリアリティーがよいと思います。
◎(宙虫)深夜のラジオ「走れ歌謡曲」を思い出した。葛の雨が演歌調なのがいい。
バカラに負けて夏野の底にあるねぐら 宙虫
○(アダー女)トランプ遊びに負けて地面の底にあるねぐらに帰るとするか。尊き死者(王とか豪族?)の様子を「バカラ」とか「ねぐら」という表現で飄々と捉えているのが良いなあ!
(選外)(道人)人生は「運」が半分。どんな勝負に負けても何とか生きていくのが人間の意思力。
(選外)(藤三彩)「カジノ法案」は「IR整備法」として既に成立。身包みはがされてこうなる人も出るのでは
石枕のみの石棺蝉時雨 珠子
◎(楊子)きっと誰かが葬られていたに違いない。石枕がみつけだとおもう。悠久のときを感じます。
◯(ルカ)見たことがあります。まさにこのとおり。
○(卯平)上五中七の景は珍しくない。驚きとまでは言わないが、古墳巡りをしているとこのような風景にはよく出会う。蝉時雨も予定調和の季語。だから報告的。それなりにデッサンは出来ている句。
◯(アゼリア) 古代の石枕に石棺と一週間の命の蝉の対比が効いていると思います。それにしてもミステリーですね。
〇(ちせい)シンプルイズベストなのかもしれません。
〇(めたもん)上五、中七「石枕のみの石棺」と「蝉時雨」により、無常な時の流れを感じます。
◯(道人)時空を超えたドラマあり。季語が効いている。
次の世へ想いを運ぶ夏加速 敏
○(泉)古墳群と高速道路の組み合わせ。来世への想いが加速します。
梅雨空の重きトラック北めざす ルカ
〇(楊子)重いことばが並びますが北と言い切ってもいいと思います。
〇(メイ)人間の世界で日々働くことへの肯定感を感じました。
緑陰に笛の音きよら時空超え アダー女
◯(アゼリア) きよらな笛の音が聞こえてくるようです。
八月やオーケストラは「運命」を 泉
○(餡子)いろいろな思いの続く八月。当に人それぞれの「運命」です。
○(卯平)八月はまさに「運命」の月。作者は数多の曲から『運命」を選択した。鎮魂の意味を込めて。
○(アダー女)緑陰の笛からオーケストラ、しかも「ジャジャジャジャ〜ン」の「運命」を想起するとはお見事。人間どんな時代のどこに生まれ死んでいくかは全て運命といえば運命ですからね。
◯(道人)やや理が勝っているが、「運命」は年末だけでなく日本人とっては八月が相応しい。
(選外)(ちせい)ベートーベンだと思いました。
万緑の底に目覚めしモアイ像 幹夫
十秒を切るトラックや夏の月 泉
緑濃し向かうは蒼穹神の国 アダー女
〇(ちせい)神の国の緑はもっと濃いのかもしれません。
〇(仙翁)青空は、神の国ですか。そうかも知れない。
木下闇くらりと過去を呼び起こす 楊子
◯(アネモネ)なるほど。そんなこともあるんだろうなと納得。
○(卯平)この句への共感は中七「くらり」。「くらりと過去」が陳腐との評もあろう。また季語である「木下闇」と「くらり」が近似とも言えなくもない。しかし、木下闇の世界を実際歩いてみると、この句を実感できるだろう。
○(敏)木下闇のもつ静けさが過去のあれこれを想起させてくれるのでしょうね。
○(アダー女)昼なお暗き木の下。お墓はさらに暗い地下。「くらり」という軽い措辞で歴史の過去を思い出させることがそう暗いことではなくなっている
〇(珠子)いったいどんな過去なのでしょう。いろいろあったかもしれませんが、今はこうやって俳句で遊んでいられます。
◯ (アゼリア) 万葉の昔にタイムスリップしたような不思議な写真でした。それを上手に表現されていると思います。
〇(めたもん)「くらり」は眩暈のよう。過去に戻っていくときの不思議な感覚が季語「木下闇」にぴったりです。
◯(道人)炎暑の中、大きな木下闇に入ると不意に過去が蘇ってくるのもよく分かる。「くらり」が巧い。
○(宙虫)木下闇にはいった瞬間、こういう感覚があるような気がする。
つづく
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