小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第429回小麦句会結果発表

2020年05月23日 21時27分33秒 | 15日句会

こんばんは。
先日、よく行っているラーメン屋さんに行久しぶりにったら、一人一人に仕切りができていました。以前、福岡のラーメン屋さんがそんな席になっていて驚いたのですが、これからはこういうお店が増えてくるんですね。

兼題:葉
渋でよし木ぶり臆せぬ柿若葉  瞳人 
○(敏)柿若葉の瑞々しさに、臆せぬ「木ぶり」を見たのでしょう。渋かろうが甘かろうがこの柿の木は柿の木なのです。

ままごとの三権分立若葉風  楊子
◯(卯平)「父」は僕。「母」は近くの女の子。「子」は弟。ままごとは正に三権分立が成立していた。若葉風の下のこうした景は今では懐かしい。あの「の子」、今では既に孫がいる世代だろう。  
◯(道人)コロナ禍の公園で小学生が「総理役」「議長役」「裁判長役」に分かれて飯事をしているようで、時事句として俳諧味あり。
〇(ちせい)季語は「若葉風」。早熟な子等なのかもしれません。

ねぎらいの言葉に汗の笑顔かな  泉
◯(アネモネ)何だかこちらまでなごやかになって来ます。

夏落葉静まり返る箒立て  藤三彩
○(あちゃこ)校庭の片隅には、庭箒置場がある。誰にも使われる事なく、ここにも寂しい日常がある。

大学の艇庫閉ざして青葉騒  アネモネ
〇(藤三彩)関東では戸田辺り。新入部員の勧誘もできずに夏へと季節が移る。
○(餡子)せっかく、受験戦争を勝ち抜き、大学に入り、ボート部に入ろうと思っていたのに・・・。このコロナ騒ぎで、すべて取りやめ。嗚呼、青春よ!本当に、気の毒に思います。桜咲くから、もう青葉になってしまい、自然だけは変わらずに生き生きしている。  
◎(宙虫)何もかも接触することが危険。青葉騒がこのコロナ禍の空気感につながっている。
◯(アゼリア) 近くに女子高の艇庫が有りますが、やはり閉ざされているのでしょうね。早く頼もしい筋肉女子の練習風景がみたいです。
○(まきえっと)青葉騒の季語が効いていますね。
選外(卯平)景としてはよく描かれてはいるが。それ以上でもそれ以下でもない。

葉桜となりて安らかなるそよぎ  餡子

遠山の透き通りたる柿若葉  仙翁

人気無き小公園や夏落葉  敏

優曇華や葉山苫屋は薬研堂  吾郎
◎(泉)見事な回文だと思います。
◎(珠子)葉山とてすべてが華やかなおしゃれな所とは限らないはず。苫屋があり優曇華も見つかる静かな場所もあるはず。地元の方が普通に住んでいるとろが。この安定感が回文であることの驚き。 
◯(道人)季語「優曇華」と続く固有名詞がいいですね。回文句を超えたリズムです。
◎(まきえっと)何かのんびりした感じがします。

合言葉忘れてしまふ麦の秋  卯平
◯(アネモネ)わたしのばやいは暗証番号。
〇(春生)遊びに熱中している子たちが浮かんできます。 
○(あちゃこ)親しい人と会えない時間。忘れてしまふより、忘れはしないの方が、より切ない。
〇(楊子)菜の花畑では決して忘れない合言葉ですね。
〇(メイ)忘れてはいけないのに忘れるかもしれない。そんな不安を、実りの秋の情景がそっと包んでくれる。

父を呼ぶ氷菓とけだす針葉樹林  宙虫

葉桜の中の葉桜深息す  道人
◎(ルカ)葉桜のざわめきの中にいる感じが、とてもよくでています。
○(あちゃこ)葉桜と自分を重ねているのか。光が欲しい。
〇(楊子)うっそうとした葉桜の重なりに息苦しさをおぼえるときがあります。
〇(ちせい)季語は「葉桜」。深息が桜の葉にかかるような句だと思いました。

ことの葉のゆたかにかなし傘雨の忌  メイ
○(餡子)久保田万太郎は、わかりやすい言葉で平易に詠っている句が多い。物足りないと思いつつ、それはそれで、惹かれる事も多い。
◯(卯平)この句は久保田万太郎を十分に踏まえた句。中七に久保田万太郎の作風が込められている。
○(吾郎)中七のやわらかな情感が万太郎的かと
◎(敏)「傘雨」は久保田万太郎の俳号。「ゆたかにかなし」に万太郎俳句の特質がよくあらわれています。
◯(道人)万太郎忌らしい句ですね。
◎(アゼリア) 私生活では恵まれなかった久保田万太郎を上五中七で上手に表現されていると感心いたしました。
(選外)(藤三彩)浅草生まれの江戸っ子久保田万太郎。「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」傘雨

山鳩の今朝の調律若葉風  珠子
〇(瞳人)あの鳴き声、聞かなくなったなあ、奥のありそうな声だった 
〇 (多実生) 山に近い所で育った私は、山鳩は聞き慣れた響きです。美声とはかけ離れた声に懐かしさを感じます。
〇(楊子)高く低く鳴く声が今日の心の準備をしているようです。
◯(道人)この句のように日毎朝山鳩の声を聴いて暮してみたい。

若葉風手からはみ出るハンバーグ  あちゃこ
○(泉)美味しそうなハンバーグですね。
◎(吾郎)これは美味しそう、作っているウキウキ感が素敵に思える今日この頃
〇(宙虫)上手に焼けますように。ビッグサイズを欲張ってはだめ。

気が付けば青葉の上に朴の花  多実生

客を待つ若葉の下の人力車  春生
◯(アネモネ)爽やかです。
〇(仙翁)今は、人力車に乗る人は少なくなっているでしょうね。
◯ (アゼリア) しょうがないですが、これでは何処でもご商売が大変ですよね。

青葉風藍の暖簾のひるがえる  まきえっと
〇(仙翁)爽やかですね。何の暖簾でしょう。

花は葉に断捨離出来ぬ母の文  アゼリア
○(餡子)私も、同じように今断捨離に取り組んでいます。最近のたまりにたまった手紙類を、読んでは処分。どうしても捨てられない文は、10通ほどた。
○(泉)しみじみとした感慨があります。
〇(春生)この気持ちよくわかります。季語がいきています。  
〇 (多実生) 貴重と思われます母の文、大切に保管です。

豚ミンチ麻婆豆腐に柿若葉  ちせい

青葉時雨また鳥の声一雫  ルカ
〇(メイ)心地よいリズムに自然との一体感を感じます。「鳥の声」に重なる「一雫」の響きがどこまでも拡がって美しい。

テーマ:合わない
コロナ禍や粽にそへる老婆心  瞳人 
◯(道人)幾たびも疫禍を経験して来た老婆の心配りが滲んだ句。

さみだるる気性合はずの夫婦かな  メイ

サンダルをぷかぷか履いて逢いにゆく  ルカ
◎(餡子)これは男性のかたの句と思いました。「逢いにゆく」なので、特別の人でしょう。なんとなく、昭和の神田川的なドラマが感じられます。
○(泉)「ぷかぷか」という表現が面白い。
◯(卯平)この仲はもう「他人」ではなく腐れ縁の仲。呼び出され、仕方なくボサボサ髪を掻きながら逢いに行く詠み手。おそらくこの後彼女から決断を迫れたに違いない。既に彼女のお腹には。。。。。 
○(まきえっと)恋愛の歌を思い出しました。

ジャストミート出来ぬは初夏のヘボゴルフ  多実生

ずれている阿吽の呼吸薄暑光  まきえっと
〇(瞳人)阿吽の息なんて、なくなっちゃったなあ
〇(珠子)三か月も自粛・蟄居しているうちにどことなくずれてきた家族?宣言解除を期待したいところです。
◎(あちゃこ)元々合うことが前提の阿吽の呼吸がずれている?これは事件です。何が起きてもおかしくないご時世ですから。絶妙な説得力。
◎(楊子)心地よいずれ、納得のずれです。年いった夫婦とはそのようなものです。

一瞬のピントが合わぬ花火かな  泉
〇(春生)ピントを合わせるのが難しいですね。

家計簿に不明の支出豆の飯  餡子
◯(アネモネ)なんだか責められてるような・・・。
〇(藤三彩)ついつい見切り野菜や特売品を買ってしまう。後で何を籠に入れたのか覚えていない
○(吾郎)なんだったかなぁ~、え~と、ま、いいか……と収める豆飯ってすごい
○(ルカ)季語がぴったりです。
〇 (多実生) 私の場合は小遣い帖、絶対に合いません。過不足はその他で帳尻を合わせます。
○(まきえっと)ボールペンの替え芯も通販。もう何がなんだかわからない。「豆の飯」がいいですね。
(選外)(メイ)不明をみつけたのは、家計簿をつけた人なのか、チェックした人なのか。豆の飯に免じて見ないふりをするのか、豆ご飯を頬張りながあれれと考えたのでしょうか。

噛み合わぬ話蜥蜴の尻尾斬り  あちゃこ
〇(春生)真の悪者は現れず、下っ端だけが使い捨てのように切られてしましますね。
〇(珠子)答弁が噛み合っておりません!また蜥蜴の尻尾斬りでごまかすおつもりですか!

若鮎や合わなくなった釣りズボン  藤三彩
〇(瞳人)養殖アユみたいになっちゃった、まさか
◯(卯平)以前はフィットしていた釣りズボン。今ではブカブカ。ダイエットに成功したのか。季語の位置が面白い。 
◎(ちせい)季語は「若鮎」。実感が素直に句に。

身の丈に簾売れ出す2桁のみ  吾郎

青葉闇転職サイト賑わえり  道人
◯(アネモネ)ほんとほんと。

ウイルスと苦闘の医師や雲の峰  アゼリア

窓越しの恋は猫にも月おぼろ  アネモネ
〇(仙翁)コロナで猫も、窓越しですか。テレビコマーシャルを思わせます。
○(敏)窓越しの恋は、猫にとって辛く哀しいことでしょう。月が潤んで見えます。
◯(道人)韻律が素敵です。もちろん窓越しの恋も。

袖丈の違う立夏の寝間着替え  敏
〇(宙虫)ちぐはぐ感が不思議におもしろい。
(選外)(メイ)爽やかな「立夏」に、自然に即したきちんとした生活がみえるよう。

読まぬまま返却の本夏落葉  春生
〇 (多実生) 借りる時は複数冊です。句の様なこと良く有ります。
〇(ちせい)季語は「夏落葉」。心情にペーソスが有ると思いました。

品書の先付八寸青楓  珠子

不意打ちの蚊は心情に合わぬもの ちせい
○(吾郎)おお、早くも! 籠城中には不適切な輩

母の日の宅配楽天市場から  楊子
〇(瞳人)来るだけましと感謝します

迷い来て山猿夏の都会の灯  仙翁
〇(藤三彩)猿だけではなくハクビシンなどが鎌倉とかに出没するそうな。
(選外)(道人)「山猿」が実際の猿とも、比喩ともとれて味わい深い。季語がもったいない。

木苺や画面の貌はすれ違ふ  卯平

立葵母の時間で母が呼ぶ  宙虫
〇(楊子)もう自分本位でしか生きられない母。スクッと背をのばして娘の名を呼ぶ姿がみえます。
〇(仙翁)母の時間、ありそうで、面白いと思います。
○(敏)私にも私の時間があるのに、いつも母の時間に合わせられます、といった句意でしょうか。一日花の立葵の斡旋で情景が見えます。
◯ (アゼリア) こちらは今忙しいのになんて思わずに良い返事をすれば良かったと反省しています。
〇(メイ)立葵の咲く庭で、呼ぶ「母」と呼ばれる「子」。子である作者は「合わない」と思いつつも、余裕をもって母に応えるのでしょう。

雑詠
蟇見上ぐ儂の目の皺具網忌避  吾郎

筍に蘞み汚染土山積みに  餡子
◯ (アゼリア) 問題は、コロナばかりではないですね。課題山積みです。

緑濃き密なる宴亀鼈  藤三彩
◎(メイ)もの言わぬ宴のエネルギーが立ち上る。亀鼈の世界と人間世界をつい比べてしまいます。

幼年のおぼろ束ねて桐の花  珠子
◎ (多実生) 鮮明とおぼろと束ね切れず、幾束もの思い出が有ります。桐の花がとても適切と思います。
〇(ちせい)季語は「桐の花」。ちょっと上手い言い方かなと思いました。
(選外)(道人)桐の花はいつも危なっかしい幼子の動きを優しく眺めていることでしょう。

どさくに紛れて夏の来ておりぬ  まきえっと
◯(アネモネ)まさに今年はそうでした。
○(餡子)春はどさくさに紛れて行ってしまいました。気がついたら、夏が・・・。
○(泉)コロナ騒動でも、季節は確実に巡ります。
○(ルカ)今年はほんとにドサクサが多い。

母の日や母の母にも母がいる  楊子
◯(卯平)先祖代々への思いを詠み手はこの母の日に。父の日はこうはいかない。 
〇(珠子)当たり前のことですが、言われてみるとそうです。明治時代の苦労された母であろうと思います。
○(敏)連綿と私に繋がる一家の歴史を思います。「父の日や父の父にも…」と呟きたくなりました。

二種類の金時豆や明易し  ちせい
(選外)(メイ)「二種類の金時豆」の有無を言わせぬ存在感と、季語とのバランスが絶妙。

道に人無く列なして咲く躑躅  敏

定植の苗にトマトの香のかすか  アネモネ
◎(藤三彩)ポットの実生苗を土に植える。次の準備の支柱や誘引、脇芽取りなどを思い大玉やミニトマトなどの成る景色が脳裏に描かれる
◎(春生)とまとの成長は早く、定植するや否や、トマトの香がしますね。 観察眼が素晴らしい。 
○(吾郎)通りに人影はなくとも、トマトはトマト
○(ルカ)苗の匂いを感じたのがお手柄です、
◯ (アゼリア) 私の地元は、トマトの産地で、美味しいトマトーフルーツトマト、ブリックス等甘くて新鮮ーを毎日頂いています。良い香りがしてきました。
○(まきえっと)毎年、作ってみたいなと思っています。苗にトマトの香がいいですね。

昼火事にねぐらを無くすつばくらめ  アゼリア

大衆を番号にして夏来る  仙翁
〇(藤三彩)マイナンバーが給付金申請に必要。カードリーダーは売り切れ状態。なんか国民は馬鹿にされているようだ。
◯(卯平)夏と言えば、敗戦忌、原爆忌と続く。今ひしひしと同じ足跡が忍び寄っているのを実感しているのは詠み手ばかりではない。そう遠くない将来我々の子孫はこの番号で再び戦地に赴くのでは。
〇(楊子)この省略と皮肉はおもしろい。夏までにマイナンバーカードで10万円ゲット。

まくなぎに好かれてすぐにきらわれて  ルカ
〇(珠子)まくなぎは確かにそんな感じです。
〇 (多実生) 炭酸ガスを求めて来るのでしょうか?人間とまくなぎ、立場の違いがはっきりしています。
○(敏)人との関係性にも同じ様なことがありそうです。
〇(宙虫)めんどくさいけど、離れるとちとさみしい。
(選外)(道人)桐の花はいつも危なっかしい幼子の動きを優しく眺めていることでしょう。

蛇の衣出口入り口突破口  あちゃこ
〇(メイ)三つの「口」へと、蛇ののたうちまわる様子が見えてきて、蛇にシンパシーを感じます。

散歩道突然消えたサクランボ  多実生
○(泉)ミステリアスであり、またユーモラスな俳句だと思います。
◎(仙翁)サクランボの実は、鳥に食べられたのでしょう。鳥は直ぐに食べ尽くします。

根こそぎてもなほ毒だみの蔓からみけり  メイ
〇(藤三彩)どくだみは白い花を咲かせるのでまだかわいいが、藪枯らしの根が広がると嫌なんだわ
○(吾郎)地下茎的に凄みをみせる奴らですから
○(ルカ)はらってもはらっても。

薫風や清(きよ)肺炎の鬼哭聞く  瞳人 

夏服や祖父母は派手な色が好き  泉
〇(春生)若者より若々しい服装でいいですね。
〇(宙虫)案外そんなものかもしれない。

遠青嶺母郷はとこしえに異郷  道人
○(あちゃこ)深過ぎて、理解が追いつかない句。苦しさだけが迫る。

まばたきの間にほうたるを見失ふ  春生
◎(瞳人)都市に近いところの蛍って、ほんとに、少なくなっちゃった。長いこと、見てないよ
○(ルカ)刹那感がよく出ています。
〇(ちせい)季語は「ほうたる」。改めて蛍の儚さを認識できました。

ビル街の西日に抱く不信感  宙虫
〇(珠子)「西日に抱く不信感」が気になり、それがなぜビル街なのかさらに気になり。丸ごとすっきりしないのに捨てられない句。
〇(仙翁)何となく、よく見るものにも。違和感を感じることはありますね。
〇(メイ)なぜ「不信感」なのかはわからないけど、そうなんです。

この恋はオートロックや鳥雲に  卯平
◎(アネモネ)シュールな恋!
○(餡子)どうしてかしら?いろいろと想像してしまう恋ですねえ。
○(あちゃこ)心にもなく別れが突然訪れたのか。軽さの中に切なさが滲む言葉のセンス。
〇(宙虫)これから情熱の時間がくるというのに・・・。
○(まきえっと)「恋はオートロック」とは、発想がすごいです。

次回をお楽しみに。



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2020-05-24 17:56:22
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

いよいよ暑くなって来ましたが、コロナは未だに感染が続いています。やはり当分は消えない様子です。感染するか否かは、「運まかせ」かも知れません。経済活動もありますから・・・。
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