薔薇ジャムの薔薇の香霽れの銀の匙 珠子
〇(めたもん)テンポよくリフレインによって表現される銀の匙についた薔薇ジャムの香。「薔薇の香霽れ」という言葉があるのかとググったら…。
カラフルに閉じ込められて薔薇の園 仙翁
◎(泉)意味深な俳句だと思います。
◎(あちゃこ)人工的に設られた薔薇園を上手く描写していますね。同じような感覚を覚えた時があったかと。
〇(あき子)カラフルの軽さが、閉じ込められた薔薇の園を際立たせています。
〇(ちせい)薔薇の色の種類も今では多いのでしょうね。「閉じ込められて」が印象的でした。
薔薇に噎せ余生の行方見失う 餡子
〇(瞳人)そういうことに、めぐり合ってみたいですね
○(卯平)余生まで言うかと思うが、同年代としてなるほどとは思う。薔薇に噎せるとはまだまだ詠み手は現役でおいでのようだ。お盛んでなにより。
○(あちゃこ)同じような句を今回詠みました。共感の一句。
◯(道人)薔薇園で薔薇の香の中に入ると時間が止まってしまう。過去も未来もない今この時があるだけ。
みな違う色して咲くや薔薇の花 泉
◎(幹夫)それぞれの薔薇がそれぞれ一本の薔薇という存在感と各々が自己主張している。共感する。
文豪の小径てふ闇濃紫陽花 春生
○(藤三彩)呟きつつ散策する「ギヨテとは俺の事かとゲーテいふ」
〇(珠子)どなたの小径かと想像が膨らみます。紫陽花の美しい手入れの行き届いた小径なのでしょう。薄闇の中で感じる濃紫陽花。
〇(楊子)あちこちに文豪の名を冠した道がありそうです。闇とありますからいわくつきの小路でしょうか。
○(あちゃこ)濃紫陽花の小闇に文豪の取り合わせがいいですね。
〇(まきえっと) 上五・中七がいいですね。
◯ (アゼリア)暗がりに濃紫陽花の鮮やかな青が浮かんでくるようです。
半島を越せば生国南風吹く 楊子
○(アネモネ)「南風」がいい!生国には行けたのだろうか?
〇(珠子)もう両親のいない故郷かもしれませんが、いつも同じところで同じことを思い出すのかもしれません。私にも、新幹線の窓から必ず確認する場所があります。
〇(カンナ)季語を上手く詠まれたと思います。
○(餡子)もうすぐ故郷に着くぞという期待の句でしょうか、それともすぐ近くの故郷が遠いと言う意味なのでしょうか?
◎(春生)朝鮮半島のことが思われてなりません。
弁当を奇岩見ながら初夏の海 ちせい
○(仙翁)本当に変わった石でしたね。
〇(カンナ)俳句らしい語順が良いと思います。
○(アネモネ)弁当が美味しそう!
(選外)(幹夫)岡山には「象岩」という奇岩がある。倉敷市下津井の六口島にある奇岩だ。景が浮かぶ。
まやかしの僕は緑に追われる身 宙虫
◎(アネモネ)緑さんに追われる作者の切迫感がなかなか。
◎(餡子)ボクだけではありません。私もです。
○(あちゃこ)マイナス思考で緑を捉え正に詩人。切迫感が痛い。
◎(道人)緑以外は全て抽象の世界。その緑の持つ圧倒的な力に己を虚しうするしかない気持ちがよく分かる。
〇(まきえっと)この時期は「緑に追われる身」がぴったりです。
◎(ちせい)季語性があやふやな句として印象的な句でした。
夏草や流るるものに身を任せ あちゃこ
○(卯平)「大根の葉」の句を彷彿させるが、揚句の場合はより詠み手の心情を夏草に委ねている。「大根の葉」は客観写生として評価が高いが、揚句はより心情に引きつけている。その場合でも「身を任せ」では艶歌の世界ではないか。しかし句全体としては捨て難い。
〇(珠子)その都度何かに身をまかせながら生きてきたと思います。まかせたモノに助られてもきました。
〇(あき子)夏草と音の調べが、身を任せの情感に響き合っています。
〇(春生) 勢いを感じる句です。
波止場には出会いと涙梅雨に入る 藤三彩
○(泉)映画のワン・シーンの様です。
雨意孕む歪んだ川面行行子 まきえっと
〇(めたもん)上五・中七は実景であり心象であろうか。行行子の鳴き声が痛々しく聞こえてきます。
〇(ちせい)心象風景が印象的な句だと思いました。
◯ (アゼリア) 確かに雨が降りそうです。
対岸へ心を乗せて茅花流し 餡子
〇(瞳人)潮来の伊太郎を思い出しました
◯(道人)対岸は彼岸か、現世の欲望の世界か。どちらとも読めるのが良い。
〇(あき子)どんな心を乗せたのでしょう。静かな情熱を感じました。
初夏の墓碑銘めきぬ河口かな 卯平
◯(道人)「河口」は大きな意味で河の終着場、墓でもある。
沢村と並ぶ快腕五月満月 瞳人
(選外)(幹夫)伝統の一戦、巨人戸郷翔征ノーヒットノーランは沢村栄治以来88年ぶりの快挙だった。5月24日甲子園球場は満月だった。
薔薇の花ときをり風の来て崩す 春生
○(アネモネ)薔薇の香りが豊かに伝わってくる。
〇(珠子)八重の緋の薔薇でしょうか。ここちよい風に威厳の力をゆるめるのでしょう。出会ってみたいものです。
〇(仙翁)薔薇の花が崩れる、面白いですね。
○(餡子)何でも無い一瞬!
◎(楊子)美しいものはいつかは果てがくる。咲ききった薔薇がもろくも風に崩されるという現実を詠んでいる視点がいいです。
〇(めたもん)美しい薔薇もいつの間にか散ってゆきます。まあ、そうゆうものなんでしょうね。と、「ときをり」が優しく納得させてくれます。
〇(まきえっと)出来れば散らないでほしいですね。
◎(宙虫)次の風の来るまでの時間と崩れる瞬間がいい緊張感。
十和田湖や乙女の像に白い薔薇 泉
○(藤三彩)なるほど『智恵子抄』の高村光太郎が作った「乙女の像」が十和田湖にあるそうだ
○(幹夫)高村光太郎最後の作品として知られる「乙女の像」に「白い薔薇」が適っている。
波立てて茅花流しの筑後川 アネモネ
○(藤三彩)筑後川を見たことがないのだが茅花流し(つばなながし)の南風が吹く様は想像できる
夏草のどこを分けても河滔滔 珠子
◎(あき子)堂々として迷いがない、「河滔滔」に参りました。
〇(ちせい)滔々と流れる「河」。川じゃないんですね。
薔薇園のかをる異郷の風の彩 幹夫
〇(まきえっと)薔薇から異郷のことを思いますね。
〇(春生)旅先での句でしょう。美しい景です。
パープルの薔薇の眼差し名は知らず 道人
○(藤三彩)年年歳歳新しい品種が開発されているんでわかりませんよね
◎ (アゼリア) 薔薇の眼差しが素敵です。
川風に夏草千里大海へ 仙翁
○(あちゃこ)大海へ向かうのは作者の心なのでしょう。
〇(あき子)川風になびいて千里先の大海へ向かう、夏草の存在感が伝わってきました。
六月の汽笛放課を待つベンチ めたもん
○(卯平)六月は「みなづき」と読んだ。六月では景が露骨過ぎないか。「みなづきの汽笛」であれば「放課を待つベンチ」に様々な物語を委ねる。少女の繊細な揺れる気持ちが「みなづきの汽笛」から伺える。特選としなかったのは「みなづきの汽笛」との措辞に至っていないからだ。水無月では少女の揺れる心情には至らないだろう。
〇(春生) 夢を運んでくるのでしょう。
○(宙虫)昭和感を孕んだ青春が見える。
青岬遠きまなざし時の音 あき子
〇(カンナ)独自性があって良いと思います。
(選外)(藤三彩)「時の音?」チクタクでもない。
気がつけば出られなくなる木下闇 カンナ
○(泉)例えばギャンブル依存症とか?
海猫や波止場に異動の修道女 アゼリア
〇(瞳人)移動? 異動? はて
◎(藤三彩)修道女(シスター)がお入りになるのは修道院、あるいは幼稚園への勤務なのかも
◎(卯平)かなりドラマ性が直截的。異動の修道女を導くとはその世界にかなり精通している詠み手と見受けられる。五島などの波止場で修道女を見かけた事があったが、あれは年度末だったか年度始だったか。そう言えばトランクが横にあったような・・・・。異動まで断定するとは詠み手は信者としてその修道女と親しかったのだろうか。海猫に移動先での波瀾万丈を予測させるか。
〇(ちせい)妙に印象的な句でした。海猫が霞んでしまうほどに。
今月の写真
一枚目・・・・広島市植物公園のばら園
二枚目・・・・広島市五日市駅の近く八幡川
三枚目・・・・長崎県島原市の島原港
では!次の句会まで!
広島はいよいよ梅雨に入りそうです。蒸し暑い毎日に、閉口しています。今朝はドジャースとヤンキースの試合があり、延長戦になって、ドジャースが2対1で勝ちました。しかし、最近の大谷選手は打撃不振ですね。心配です。明日は打つかな?