お待たせしました。
結果発表です。
あっという間に冬ですね・・・・。
皆さん、風邪などには気を付けて。
秋の旅松林図譜を胸中に 敏
◯(アゼリア) 松林図譜が胸中にー句だけでなくその事にも感心しました。
〇(藤三彩)「松林図」の譜系を覚えての旅なのでしょう、七尾への旅かもしれない。
女子会のランチ栗飯・栗ケーキ 呆夢
〇(とっきー)私も女子会のランチを月一で楽しんでいます。秋ですから栗飯コースがあれば、みんな注文するでしょう。女子会と言っても若い女性とは限りません。でも、モンブランケーキはみんな好きです。
〇(アネモネ)いかにも女子会。栗ケーキいいですね。
窓叩き秋のどんどん遠ざかる まきえっと
〇(とっきー)秋も終わりの頃、凩一号が訪れるのを合図に秋が遠ざかって寒い冬がやってくる。窓を叩く時は、人や何かが訪れるのが定石だが、窓を叩き別れを告げるのも一つの別れの儀式のようで、好きな句です。
〇(仙翁)どんどんが、掛詞になっているのでしょうね。
◎ (多実生) 晩秋は寒さと風と雨、秋の侘しさを遠ざかるの表現で心に沁みます。
〇(泉)雨が降って、次第に寒くなって来ます。直ぐに冬になります。
霧深し逢ひたきひとは霧の中 道人
〇(仙翁)いつかどこかで会えるといいですね。
〇(敏)ロマン歌謡の一節のような世界。歌い手をあれこれ想像して味わいました。
〇(餡子)ちょっと甘い句ですが、今の私の心情を擽りました。
〇(宙虫)霧にむせぶ夜♪と歌ってしまう世代。
冷まじや大樹は雨に身を委ね あちゃこ
◎(ちせい)季語は「冷まじ」。大樹の貫禄。雨は蕭々と降って居る。
〇(まきえっと)「雨に身を委ね」がよいですね。
〇(春生)情景がはっきり見える句です。
〇(とっきー)雨に濡れそぼつ樹木の情景を愛情深く詠んだ句ではないでしょうか。
◎ (アゼリア) 不動智の一面を言っているような深い句と思いました。
〇(瓦すずめ)雨に生まれるままの大樹。冷まじという言葉から、心底冷たさが伝わってきて…やるせない気持ちになります。
〇(ルカ)擬人化がいいと思います。
〇(珠子)冬に向かう雨の中、大樹の達観・風格。すうっと共感しました。
〇(幹夫)季語がリズム佳く詠まれています。
〇(餡子)さすがの大樹も、雨には抗えない。雨にも風にもしなやかに身を任せて己を守るのですね。
〇(泉)本当に「冷まじ」という感じです。大樹は黒々としています。
目覚めれば霧が墨絵にするする下界 多実生
〇(餡子)霧って不思議ですよね。幽玄の世界へ引きずりこまれます。
朝からの雨は本降り神の旅 アネモネ
〇(春生)季語「神の旅」が効いています。
〇(呆夢)雨は吉だったのか凶だったのか・・・予定がある時のお天気は気になりますね。
降る雨の霙に変わる山の音 とっきー
◯(あちゃこ)山の音に焦点を絞り余計なことを言いすぎない。想像力を掻き立てられます。
◎(まきえっと)霙を山の音としたとこがよいです。静寂を感じます。
◎(敏)どちらにしても幽かな音のはず。その僅かな変化を耳にとめることが出来たのは、深山のゆえでしょう。「山の音」の措辞が的確と存じました。
◎(珠子)雨から霙になると音が変わります。写真から景色の変化ではなく音の変化を詠む感性に惹かれました。
〇(藤三彩)山の冷え込みが背中にゾクゾクしそうな感じがする。
〇(アネモネ)上手いなあ。静謐さが伝わってきます。
〇(宙虫)霙に移っていく感じがいい。
霧雨をくぐり峠の茸飯 珠子
◯(あちゃこ)冷えきった体がほっこりしますね。あえて‘くぐり’とした所がいいですね。
(選外)(とっきー)情景は良く分かるのですが、くぐりという言葉の働きが理解できません。
湯豆腐の好きな母逝く霧の中 餡子
露天風呂に秋思沈めて山降りむ アゼリア
〇(瓦すずめ)秋思を露天風呂に沈めるという発想が面白かったです。
〇(多実生) 日本一海抜の高い温泉(露天)を思い出しました。
〇(藤三彩)標高の最高峰の露天風呂は八ヶ岳の中腹にある本澤温泉が思い出される。山の気と乳白色の湯が裸身に染み渡る。
雨粒をはじく冬木の葉つぱかな 瓦すずめ
〇(幹夫)冬木の葉っぱの特性が詠まれています。
朝霧に煙りて山の音深し 仙翁
〇(呆夢)朝霧に包み込まれた街を見下ろすと、鳥の声や車の音など、きちんと聞こえます。場所はもっと山奥のことでしょうか。どんな音か気になりますね。
大欅いつか冬木となりいたる とっきー
大木の影そそり立つ神無月 ルカ
〇(ちせい)季語は「神無月」。大木の影と言うのに存在感の大きさを感じました。
〇(瓦すずめ)不穏な感じがしました。あくまで個人的ですが、神無月というのは冬であることもあり、神様がいない月であるということもあり、不穏な気配を持っていると思うのです。そこに大樹の影ですからより不穏に思いました。
秋雨に墨絵のごとき大樹かな 泉
〇(瓦すずめ)景色がはっきりと見えてきます。雨によって世界がモノクロになっていて、かつ大樹以外にはほとんど何も見えない、そんな光景でしょうか。
〇(多実生) 濃霧が大樹を浮かび上がらせています。
秋色の村の明かりで食う昼膳 宙虫
〇(道人)三枚の写真を詩情豊かに詠い上げて秀逸。
〇(泉)本当に良く晴れた日の昼膳という感じです。
折紙は折目が命窓の秋 幹夫
◎(瓦すずめ)懸命に折り紙を折っている、一方窓の外では秋の光景が広がっている。その様子は神秘的ですね。
〇(敏)車窓を秋景を配した折紙と見立てたのでしょう。どんなものにも、肝心なところやいのちそのものもあるのだと感じた一句。
歌ひ切り時雨野行くか島倉千代子 瞳人
◯(あちゃこ)人名の入った句を頂くのは初めてです。晩年のお千代さんが浮んできました。
秋霖に耳とらわるる一人の餉 敏
◯(あちゃこ)流石の一句。上手い!特に推そうか迷いました。巧みです。佇まいと心中を一人の餉で表現。
◎(春生)静寂な情景が良く出ています。「耳とらわるる」が良いですね。
〇(まきえっと)音がない音なのでしょうか?
〇(仙翁)一人だけの食事、耳を澄ませば雨の音。
〇(ルカ)旅気分がよくでています。
◎(宙虫)耳がいろんな働きをしています。
夕時雨托鉢僧と擦れ違ふ 春生
〇(道人)山頭火ですね。時代変われど、山頭火の歩いた景と変わらぬ「時雨」に味わいがある。
〇(とっきー)ありそうな設定で、夕時雨が生きています。
◯ (アゼリア) 家業としての僧ばかりの昨今時雨の中を托鉢だなんてー感動しました。
◯(あちゃこ)発想の飛び方に恐れ入りました。情景が浮かんできます。
◎(仙翁)今も托鉢僧はいるのでしょう。、文明がいくら進んでも、心の迷いは続きます。
〇(敏)この托鉢僧には、山頭火あるいは尾崎放哉の面影がありますね。互いに擦れ違った後の後姿に目を止めたかも。
〇(珠子)こういうこともあるだろうと。どんどん寒くなり辛い修業でしょう。
晩秋の午後から雨の止む予報 まきえっと
〇(幹夫)景が思い浮かんできます。
〇(宙虫)期待感もあっていい。
山頭火句集開けばしぐれけり アゼリア
〇(珠子)写真からのイメージの広げ方が柔らか。
◎(藤三彩)写真の情景は確かに山頭火。「あの雲がおとした雨に濡れてゐる」「けふもぬれて知らない道をゆく」
◎(泉)山頭火が旅をしている様な景色ですね。納得です。
遠く来てひとりの卓の新豆腐 ルカ
◎(道人)「新豆腐」が佳いですね。旅の寂寞感を癒してくれる温かみがあります。
〇(ちせい)季語は「新豆腐」。「ひとりの」と言う措辞に効果的な意義を感じました。
〇(まきえっと)帰りのことを考えると少し憂鬱ですが、明るいうちに麓に着きたいです。
〇(春生)旅人の孤独感が良く出ています。
〇(アネモネ)新豆腐がいいですね。
秋鮭の一切れ足りる旅の朝 藤三彩
〇(泉)十分に満足できる朝食だと思います。
〇(幹夫)一人旅の宿の朝餉です。
(選外)(とっきー)一切れで足るではないでしょうか。
あたたかき飯とみそ汁秋深し 泉
〇(まきえっと)これに限ります。
〇(瓦すずめ)素直な読みようが好きです。もの寂しい季節ですから、余計に温かいご飯とみそ汁にほっとします。
〇(幹夫)季語がリズム佳く詠まれています。
〇(藤三彩)ちゃんとに食べる朝飯が宿を出てゆく元気の源になる。
◎(アネモネ)これはもう美味そう。新米ですね。
(選外)(道人)平明で読むほどに心に響く不思議な句です。
秋霖を包む老境等伯画 藤三彩
◎(とっきー)京都駅に比較的近い智積院に長谷川等伯の国宝障壁画の数々が飾られています。等伯の息子のデビュー作となった桜図は楓図と共に壮大な絵画で、その前に佇つ人の魂を吸い取るように思えます。因みにこの智積院には、伏見城の戦の折の血塗られた板を張った血天井があります。
〇(珠子)100歳まで生きたとしても、私にはこういう老境は無理のような気がします。 私も等伯か魁夷かと思ったのですが、等伯はとてもこなせませんでした。
〇(宙虫)でも長生きは重たい。いまの自分にとって。でも、こうやって超越したい。
霧しぐれ誰か遠くで僕を呼ぶ 道人
〇(まきえっと)こういうことってありますね。
〇(呆夢)メルヘンの世界に迷い込んだようです。
〇(仙翁)誰かを待って、幻の声が聞こえてきたのでしょうか。
〇 (多実生) 霧時雨が人間を孤独にします。霧の中に誰かがいる様な?
◎(餡子)深山幽谷での霧・・・。こんな気持ちになりますね。
〇(アネモネ)この幻聴いかにもです。
細き木が秋霖受けてけぶらひぬ ちせい
湯豆腐や転職をしてもう五年 瓦すずめ
〇(ちせい)季語は「湯豆腐」。職を変わってからの感慨、その他、もろもろの情念が詰まって居るかと。
◯ (アゼリア) この旅で一休みしてまたキャリアを重ねていかれるのでしょうね。
秋霖の窓を拭へば神の杉 幹夫
〇(春生)神の杉の厳かさを感じます。
〇(呆夢)水滴の窓はなぜか触りたくなります。窓の向こうが神秘の世界です。
◎(ルカ)神の杉の断定がよい。
霧襖立木をクローズアップする 多実生
秋霖に息潜めたる松林 仙翁
〇(春生)「息潜めたる」が見事です。
霧幾重山は魁夷の岩絵具 珠子
〇(ちせい)季語は「霧」。東山魁夷氏。日本を代表する画家の岩絵具。自分の見た風景をそんな風にたとえる。味わいがあると思いました。
◎(呆夢)写真がまるで中国の風景のようです。ぴったり合った描写だと思いました。
〇(ルカ)私も魁夷を思い出しましたが、よく一句にまとめられたと思います。
(選外)(藤三彩)東山魁夷の絵はごてごてしていそう。
(選外)(道人)東洋の美の世界にうっとりします。「岩絵具」 が巧い。
陵の森の囚となり秋雨 あちゃこ
〇(道人)写真から「陵」は想像できませんでしたが、そう言われてみると神域とも言える近寄りがたい荒涼感があります。森に入ってしまうと出られくなってしまうような。
〇(ルカ)下五の大胆さがよい。
から揚げのカレイ肉厚神の留守 アネモネ
(選外)(瓦すずめ)カレイの唐揚が肉厚なのと、神の留守がどう関係しているのか、不思議で興味深かったです。
烏天狗の耳打ちだろう村狭霧 宙虫
〇(道人)懐かしい 「烏天狗」と「狭霧」には参りました。
◎(あちゃこ)深山からの烏天狗の発想。耳打ちから、幽かな山のメッセージを受け取っている。斬新さに憧れます。
〇(餡子)義経はこんなところで、天狗を相手に、剣術の稽古をしていたのでしょう。
湯豆腐や忘憂といふとも連れて 瞳人
◯(道人)独酌の旅なのでしょう。調べの観点からは難しい手法ですが、掲句の場合「忘愁」という漢表記と「とも」という平仮名表記の取り合わせが効いていると思います。
◯ (アゼリア) 良いお友達を連れて楽しい旅になりそうですね。
〇(敏)湯豆腐にはなにより日本酒(忘憂)があいますね。憂いを忘れるには最適な組合せ。
〇(泉)湯豆腐が似合う光景ですね。憂鬱も忘れてしまいます。
管という生きる術取り霧に逝く 餡子
〇(敏)拒否でなしに「取り」ですから、自然死ではなく自死したのでしょう。究極の選択をみつめた追悼句。
〇(珠子)身につまされます。写真からこういうイメージもありですね。
〇(宙虫)人生、本当に最後の決断ですよね。霧が重厚です。
霧深しお休み処の灯は温し 呆夢
〇(多実生) 濃霧の中、当然灯が恋しくなります。
雨粒と深山幽谷霧渡り ちせい
山頂へ続く古道や初時雨 春生
〇(ちせい)季語は「初時雨」。「古道」に興味を覚えました。熊野古道とかいろいろありますが、もしかしたらもっと古い古道だったのかもしれません。
◯ (アゼリア)一休みして山頂を目指すのでしょうか?
〇(とっきー)例えば熊野古道を歩いている時に、さーっと初時雨が通ったりしたら感動するでしょうね。好きな句です。
〇(呆夢)時雨に似合う山のようですね。
〇(仙翁)古道には時雨が似合いますね。
〇(ルカ)すっきりと詠まれています。
〇(多実生) 登山口が確信できない事が有ります。山頂への時雨の中の古道、複雑です。
〇(餡子)熊野古道を思い出しました。
〇(藤三彩)山の状況は天気予報のようにはゆかない。古道に興味があっても雨が降り始めたら下山を考えよう。
◎(幹夫)景が思い浮かんできます。
〇(宙虫)山頂をもってきたとろころがうまい。
新聞の俳壇に並ぶ、どれにもこれにも、反応しないのです。
それで、今回、休んでしまいました。
気を取り直して、さあ、いくぞ、と思い直しました。
ごめんなさい。
広島はいよいよ寒くなって来ました。昨日はアメリカ大統領選挙にトランプ氏が勝利して、私自身は唖然としました。しかし、アメリカも世界も大きく揺れ動いている、ことを改めて知りました。