小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第399回小麦句会結果発表

2019年02月11日 01時04分35秒 | 1日句会



※次回句会の告知はすでに発表されています。

 

お待たせしました。

結果発表です。

三連休の真ん中。九州は天気予報に反していい天気でした。

日差しが出たおかげで割と寒さは感じなかったです。

夜になって雨になってきましたが・・・。

明日は最終日・・・・。

 

※結果発表

 

料峭の黄昏背中でモノを言う   藤三彩

 

電話ボックス占めて冬三日月の反り   幹夫

〇(珠子)あってはならない「いざ」という時のために必要な公衆電話ボックス。私は近くの駅前とスーパーの公衆電話だけは記憶しています。季語使いにびっくり。

○(あちゃこ)二つの明かりの対比が面白い。今夜の月は名刀正宗?

○(敏)顎のしゃくれた人物の横顔を思わせる三日月に占領された電話ボックスの、苦笑が窺えるようです。

 

鴨の来る川のある街地鎮祭  珠子

○(餡子)何はともあれ地鎮祭は。喜ばしい事です。 

○(アネモネ)幸せいっぱいないい景です。

◯ (アゼリア) 鴨の来る川のある街ー当然の事と思っていましたが、自然豊かな街なんですね。感謝の気持ちで観るようになりました。

○(ちせい)季語は「鴨」。川のある街はたくさんあるでしょうが、地鎮祭は厳粛に行われ、鴨が川に来る。

〇(宙虫)街に鴨が来る川があるというだけで、やすらげます。地鎮祭がうまくおさまって。

 

冬夕焼明日の希望を保障する    多実生

○(幹夫)沈む冬の夕日に明日を託して。

〇(瞳人)いいことありそうです

 

電話ボックス撤去のうはさ魚は氷に   アネモネ

◎(餡子)公衆電話の掛け方を知らない子が増えているとか。しかし、天災などの時には、スマホや携帯よりも、繋がりやすいとか。

◯(道人)季語「魚は氷に」が、季節の移ろい、ひいては人の世の移ろいを想起させて巧み。

◎(宙虫)季語と時代の流れにのる電話ボックスがいい。

 

寒落暉小銭が足らず切る電話   餡子

○(アネモネ)そんな経験確かにありました。

〇(藤三彩)テレカというカードを今も財布の中に入れている。公衆電話の利用のなんと少ないことか

◯ (アゼリア) 学生時代寮では電話の取り次ぎがなくて、小銭を持って公衆電話へ急いだ事を懐かしく思い出しました。

◎(まきえっと)もっと話したかったかもしれません。「寒落暉」と合っています。

 

横向いて聴き耳立てる野水仙  アゼリア

◯(道人)電話ボックスの傍の印象的な水仙を詠って俳味あり。

○(幹夫)野水仙の形。越前岬には群生。

〇(瞳人)ほんと、そんな感じですね

 

冬の鳥夕日の影の水脈引いて  ルカ

◎ (アゼリア) 美しい写生句と思いました。

◎(幹夫)川に浮かぶ冬鳥の美しき景。

 

釣り人は冬の日鳥に分けてやる  ちせい

◎(泉)この様な優しさが、鳥類保護に貢献します。

 

ひと日釣り魚籠の軽さや日脚伸ぶ  泉

○(あちゃこ)写真からイメージがはっきりとしていて、共感。私的には、語順を変え、軽さで締めてはいかがかと?

○(幹夫)それもまた一興。

〇(まきえっと)魚籠の軽さということは何も釣れなかったのでしょうか?でも外は気持ちよいですね。

○(ちせい)季語は「日脚伸ぶ」。魚籠の軽さ、ひねもすの釣果がユーモラスに詠まれた。

 

春暁の夢にとろける深夜便    瞳人 

〇(藤三彩)寝不足感が伝わる。深夜ラジオ聞かないナ

 

留守電に黙と白息たそがれて   道人

○(餡子)この電話ボックスから、どんな人がどんなことを伝えたかったのでしょう。留守電に入った沈黙は、別れでしょうか。告白でしょうか。ドラマが生まれそうな句です。  

◯ (アゼリア) 私もつい言いそびれてしまうことがあります。

○(敏)何も喋らない留守電に主人公の白い溜息があたりを覆っている……そんなイメージでしょうか。

◯(ルカ)留守電に白息も。どんな言葉が入っていたのか。

〇(まきえっと)沈黙が伝わってきます。

〇(宙虫)その間にも、十円玉が落ちていく。切り出せないのってつらい。

 

暁に地の神の声鴨の声  あちゃこ

◎(珠子)「地の神の声」が胸に響きます。神の声と合わせた鴨の声が秀逸。鴨の目覚めは早いのでしょう。「に」は気になりますが。  

○(アネモネ)おごそかな暁の景。

◯(ルカ)神の声、どんな声だったのでしょうか。

 

凡人と呼ばれ二月の地鎮祭   宙虫

○(アネモネ)唐突な凡人が面白い。

〇(藤三彩)「凡人」「名人」は近頃の俳句・生け花などで競うバラエティに身近か。「凡人」で十分。

○(あちゃこ)悔しさ?納得?何があったのでしょうか?地鎮祭にもさまざまな思いが交錯しますね。

〇(道人)地味ながらも地に足がついた生活者の目線が心に響く。

 

男には漢の時間寒没日  敏

〇(珠子)男と漢の使い分けがおみごと。シンプルですが俳味がギュッと詰まっています。 

○(泉)「男」と「漢」の違いが、今ひとつですが・・・?

○(アネモネ)寒没日。何が始まるんでしょう。

◎(道人)「寒没日」に漢の寂寥感がよく出ている。共感の句。

 

手に掬ふ寒九の水を紅唇に   幹夫

○(泉)「寒九の水」さぞかし、冷たいことでしょう。

◎(アネモネ)映画のワンシーンのようです。

 

(選外)(藤三彩)寒九の水の清廉さと紅唇の取り合わせがイメージにならないのです

(選外)(道人)透明な世界に「紅唇」の止めが佳いですね。

 

大寒の誰かの声を待つ受話器   まきえっと

○(餡子)たった一人の人の声を待ちわびた日もありましたね。 

○(あちゃこ)心が寒い。まして大寒。

◎(敏)スマホなどとは違って、固定電話の受話器そのものに、人間的な感情を齎してくれるところがありますね。

◎(ちせい)季語は「大寒」。誰かの声に惹かれました。待って居るものの曖昧さ。

〇(瞳人)いまや、出たくもない商売の電話ばかりですもの

 

寒明けて切土盛土を再開す    ちせい

 

終末時計あと二分鴨を観に  アゼリア

〇(珠子)終末時計の危機に、「鴨を見に」と軽く抜けたところが技。 

○(敏)三葉の写真を通して見ていると、ふと、世界の終わりが近づいてくるような気がしてきます。コンクリート堤の内側の川辺に悄然と佇む男、誰もいない電話ボックス、地鎮祭の形骸? などが、それを象徴しているようです。それにしても、終末まで「あと二分」とは! あらためて驚きました。

〇(道人)この写真から「終末時計」とは!しかもこの世の最後2分で鴨鑑賞とは!

◎(ルカ)明日、世界が滅びるとも今日、リンゴの木を植える。BY・ルター

〇(宙虫)本当にいつ終わりが来るかわからない。「あと二分」とわかった時の行動ってこんなものかも。

 

もどかしく暮色の包む寒の町  まきえっと

 

声を欲る電話ボックス春隣  珠子

○(泉)「欲る(ほる)」今時、電話ボックスを利用する人は、少ないでしょう。

○(餡子)この頃は、我が家のある街では、電話ボックスに人の居るのを見かけなくなりました。声を欲しがっているのですね。 

◯ (アゼリア) 春隣の季語が効いていると思います。

 

仮設出て家建てる旨初電話   餡子

○(泉)仮設住宅暮らしは、何かと大変です。良い知らせでした。

◎(藤三彩)年を新たにしてやれやれと安堵感が伝わります

◎(あちゃこ)発想の飛ばし方が見事。明るく元気がもらえた一句。

◯(アゼリア) おめでとうございますーを二回いわなくてはですね。

○(幹夫)同僚に倉敷市真備町の人がいる。

○(ちせい)季語は「初電話」。事実の重みが毅然と詠まれた。家建てるが揺らがないと思う。

〇(瞳人)よかった、よかった、と喜ぶ人、でもそれまでのこと大変でした

 

鴨にパンまいてはぐれる通勤路   宙虫

○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。

◯(ルカ)日常を見失う面白さ。

 

寒風に囲いの中で人を待つ    多実生

〇(まきえっと)寒さを凌ぐにはいい感じですね。

 

寒き夜にホッと花屋の明かりかな  泉

 

春立ちぬ背骨伸ばして眉上げて   瞳人 

〇(珠子)そうしましょう! 

◯(ルカ)たしかにあちこち伸ばしたくなる、春。

 

呼び出し音途絶え如月地鎮祭  敏

○(餡子)復興の地鎮祭・・・。もうすぐ3月のあの日がやってくる。でも、あの日、繋がらなかった電話。 

〇(藤三彩)祝詞を上げている間は静かにしていてね。

〇(まきえっと)どうなっちゃうのでしょうか?続編を。

〇(宙虫)マナーモード・・・・。でも、かける側は心配になる。何か起きているんではないかと・・・。

 

結界の幣を揺らして春北風   アネモネ

〇(珠子)春は名のみの風。繊細で立ち姿もよく俳句らしい俳句。

○(あちゃこ)慶びの春がもうすぐ。

○(ちせい)季語は「春北風」。結界の幣。揺らす春の北風。まだまだ寒い春。

 

赦されて闇に咲きたる雪中花  あちゃこ

〇(藤三彩)日陰の花という設定。罪多き人の原罪を言うか

◎(瞳人)なにか、矢切の渡し、みたいな光景が浮かびます

 

(選外)(道人)「赦されて」の措辞に好奇心が湧いてきます。 

 

呟きを二月の川の夕映えに  道人

○(敏)あのたそがれた川辺に佇む男性は、どんなことを呟いていたのでしょう。比較的暗いイメージの多い作品の中にあって、何となく明るい印象がするのは「夕映え」の効果かも知れません。

◯(ルカ)詩情があります。

〇(まきえっと)どんなことを呟いたのでしょうか? 

〇(宙虫)こんなに甘い一句もいいかなと・・・。

水仙の聞き耳たてる電話かな  ルカ 

○(敏)わが家の受話器も水仙の見える処にありますが、聞き耳をたてられていると感じることは、実感としてままありますね。

〇(道人)先の「横向いて」の句と発想は同じですが、より写実的な句。

○(幹夫)聞き耳を立てる切り花の水仙だ。

 

韋駄天の終れば撤収夜泣き鍋   藤三彩

○(ちせい)季語は「夜泣き鍋」。韋駄天と言う比喩。鍋が美味しく感じられるのでしょう。

 

★★★

それでは、次回句会へと。

次回当番はまきえっとさんです。



 

 


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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2019-02-11 11:24:14
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

最近は寒いですね。東京でも雪になっているとか・・・?さすがに広島では雪は降りませんが、寒さが身に応えます。しかし、さすがに日差しは強くなって来ました。もう二月半ばですか・・・。早いですね。
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