これって良いですね。

2021-02-18 18:05:00 | 日々の考え事
最近さいたま教室の譜面台に小物置き台を復活させた。レッスンに来た生徒さんが、先週来た時にはまだ無かった事に気がついて、「これって良いですね。」と言ってくれる。何故か皆さん同じことを同じ感じで言うから不思議だ。
「前からありましたっけ?」と聞く方には説明する。もともとこの譜面台は私が23年も前に教室を始めた時に、修行時代お世話になったある先生にお祝いとして頂いたもの。事あるごとに当時を思い出させてくれる私にとって大事な大事なアイテムである。所々ガタが来ているが、自分で補修しながら使っている。この小物置きももともとは使っていたものだが、事あるごとにギターケースのストラップなんかを引っ掛けて置いて有るものをぶちまけるし、だいたい譜面台自体が重くなるし、なんだかスタイリッシュじゃないなと感じて来て、しばらく外してしまい込んでいた。
最近になって譜面台周りの物が増え出して来てなんとかならないかなと思った時にこの台の存在を思い出して、普段は滅多に開けない収納場所から見つけ出した。「捨てちゃったかな」と半分思っていたので、見つけた瞬間はなんだか20年ぶりに思いがけず友達に再会したような懐かしさが半端ない!
ずいぶん久しぶりな分汚れていたので綺麗にしてあげて譜面台に改めて取り付けると譜面台自体がなんだか「久しぶり」な感じに。メトロノーム、チューナーとあと6色揃うととても賑やかなのが気に入って大人買いしたプレスマンという速記用のシャープペンを乗せる。これでスッキリしてまた気持ちよくレッスンできる。
ちなみにこのプレスマン6色セットは大変気に入っていて同じセットが各教室にある。私が楽譜に注意書きを書き込む為のものだけれど、もちろん生徒さんが書き込む用でもある。芯の太さは0.9mmと太めで鉛筆の様な書きご心地なのがまた良い。子供たちはてっぺんのキャップを外すと出てくる消しゴムに(というかその仕掛けに)きゃっきゃと喜んでくれて、レッスン自体も賑やかになる。
コロナ禍になってから、何かとこうやって長く使い込んできたモノが愛おしく思えるようななった。こういった木製の譜面台も今はどこも作っていない。真面目に作れば作るほど、採算が取れないらしい。
譜面台に限らず、考えてみればずいぶん安いものを買っては使い捨てる生活に慣れてしまったなと思う。もともと何を買うにしても真ん中か、気に入った物があれば少し高いものを買って修理しながら使うのが好きな方だ。でも最近はそう言った使い方の出来そうな物が少なくなった気がする。修理して使い込むほど魅力を感じなかったり、新しく買い直した方が安くついたり。
目の前にあるコロナ問題の影に隠れて、モクモクと入道雲のように湧き上がって来ているのが地球の環境問題。これかの10年がその後の地球の自然環境を決めるだろうと言われている。問題は温暖化だけでは無さそうだ。次々と買っては使い捨てる事が、自然環境に大きな負荷を掛けている。例えば身近な例を挙げればペットボトル。いつも収集場所に出す度に、ウチだけでこんなに出して大丈夫なのかと思う。実際とうに大丈夫じゃなくなって来ている。
自然破壊とか地球温暖化の問題は自分が今よりずっと若い時から耳にして来た。「このままいくと地球は20XX年には...」などというフレーズをテレビで聞くたびに随分と遠い未来のように感じた。自分はもうこの世にはもういないだろうとも考えた。
それは思ったよりずっと早く来た。心の準備が追いつかない。増してや子を持つ身となった今では、問題は自分に対してだけの事ではもはやない。
明日はその息子の17回目の誕生日。たった一人の息子の誕生日が来るたびに、彼が産まれたその日の夜は2月とは思えない暖かさだったのを思い出す。その年の夏はひどく暑い夏となった。今思えば、その頃から自分の心にずっと引っかかっている気がしてならなかった物が何なのか、今ようやくわかって来た様な気がする。