✳日々徒然✳

気儘な独り身備忘録。

【とり篠】岩屋

2021-01-09 18:00:00 | グルメ

まだ若い大将がやっている焼き鳥屋がある。

もともとはアラカルトのバル風焼き鳥屋だったのが、2020年の夏にリニューアルをして、コース1本の高級志向の焼き鳥屋になった。

こだわりの強い、端整な顔立ちの大将。やや気短なところもあり、ただし若いこともあってか、微笑ましい。

こちらの店も、日々試行錯誤を重ねて、進化しようとしている様子である。

最初の1品にスペシャリテを持ってくるという印象。

夏はトリュフを、冬はキャビアを、本人はけっして「映え」を意識しすぎることなく、適宜用いているという感じで、好感がもてる。

映えを意識するなら、もっとキャビアを前面に出してくるだろう。

そして、器が良い。奈良県の辻村塊さんの作品を多く使っている。器のことを語る大将は、何となく少年のようである。

肝なども美味い。

普段は飲んでも日本酒半合、あるいはハイボール1杯、あるいはシャンパン1杯のワタシだけれど、こちらのお店では日本酒を2合飲んでもまだ足りないほどである。

要は、美味しくて気分も居心地も良くなると(そして翌日の仕事が休みだと)酒量が増える。増えるといっても、まあ日本酒2合程度、シャンパン4杯程度なのだけど。

もものたたきが出てくると、とても嬉しい。

脂があまくていくらでも食べられるような気さえする。

そして粒胡椒だけで日本酒がススム、ススム。

茶碗蒸しもコースの中に組み込まれている。茸たっぷり、チーズも入った濃厚な茶碗蒸し。

時々、これがもう少し透明感のある、香茸の茶碗蒸しになったりもする。

リニューアルしてからずいぶん足繁く通い、すっかり器と味の虜になってしまった。

鶏スープも美味い。時々味の薄い濃いの違いはあるものの、職場のウォーターサーバーに入れてほしい美味さであることには違いない。残業も苦にならないはず。

初期のころは野菜は好きなものを2種選ぶというシステムだったが、いつのまにかおまかせで出てくるようになった。秋はやはり銀杏。まるで宝石のようにきらきらとしている。この写真はベストの撮れ方ではないナ。

もっちりとして、適度な苦みがある。秋の味覚である。

他、舞茸も非常に美味い。炭火で焼いた舞茸のとんでもない美味しさを、ワタシはこの店で知った。

もちろん焼き鳥屋なので、コース後半は串である。

焼き台のまえで、大将が汗を光らせて火入れをしている。特等席(店に入って左の奥角席)だと、時々弾けた炭が飛んでくるので危ないといえば危ない。

ねぎがあまくて美味しいのも良い。鶏だけが美味しければいい、というわけではないのだ。

この店ではじめてせせりを食べたときも感動した。大根の鬼おろしとぽん酢がかかっている。このぽん酢に、鶏のあまい脂が滲みだして、これがまた日本酒によく合う。人目を気にしてこっそり口に含み、日本酒を呑もうとしたら、隣で連れがまったく同じことをしていた。

手羽は少し歯ごたえがある。

気配り上手の女性スタッフが、きちんとこのあたりでおしぼりを替えてくれる。ので、遠慮なく手で持ってかぶりつくのが良い。

それからつくね。

ふわふわ、中に少しレア感が残っている。何度食べても「美味いなあ!」と感嘆の声をあげてしまう1串。

他、カタやもも、ハラミやちょうちんなど、その時々で美味しいものをコースに組みこんでくれている。

追加の串、〆、酒は別で6000円程度のコース料金だが、それだけの満足感、それを超える満足感があるので通ってしまう。一通りのコースが終わってまだお腹に余裕があれば、大将に追加の串をお願いする。

そして最後に、〆。

もちろん〆を頼まず店を出る人もいるが、ワタシは〆を我慢することができない。

〆はラーメン、そぼろ丼、親子丼、雑炊、焼きおにぎり。

雑炊以外はすべて食べたことがあるが、最近はずっと焼きおにぎり。

こんがり焼いたおにぎりに卵黄を乗せ、昆布チップを振ってある。そこらへんの安い焼き鳥屋でも「月見焼きおにぎり」などとしてこういうメニューは置いてあるけれど、やはり味わいが違うなあと思う。

2020年の秋冬は、月に2度ほどの間隔で通っていた。