栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

3/8,9の血統屋コンテンツ推奨馬の結果速報

2014-03-09 22:31:12 | POG

■『ディープインパクト好配合馬リスト』で栗山求と望田潤がダブル推奨したマローブルー(牝3歳)が日曜中山5Rの3歳未勝利戦(芝1800m)を勝ちました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100796/

◎マローブルー(牝・母リラックススマイル)
デボネア(京成杯-2着、弥生賞-3着、皐月賞-4着)の姪。母方にSingspielが入るパターンはアダムスピーク(ラジオNIKKEI杯2歳S)と同じ。父と相性のいい Glorious Song に加え、Mr.Prospector、Nureyev、Hoist the Flag が入るので、ヴィルシーナときわめてよく似た組成となっている。母は未勝利馬だが配合的に面白いので期待したい。(栗山)

○マローブルー(牝・母リラックススマイル)
デボネアの姪で、母母ヴェルヴェットクイーンはムーンバラッド(ドバイワールドC)の全妹。母父Dubai DestinationはPasadoble≒Alleged3×2でクイーンアンS(英G1・芝8F)に勝った。母はNureyev≒Sadler's Wells4×4にHoist the Flag4×5にNorthern Dancer5・6×5・5で、ちょっと体質の硬いパワーの血が勝っているからディープとは合いそうだ。(望田)

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バズローリングはウンプテンプを産んだあと日高大洋牧場に繁殖セールで買われたらしくて、あそこに私のコラムや予想をいつも読んでくださってる従業員の方がいらっしゃるんですが、その人が私の元上司に「望田さんがバズローリングのサムソンの配合をえらいほめてましたよ~」

そんなわけで、弥生賞の後電話がかかってきて「ビリやったな~(^ ^;)」

久しぶりにいろいろ話してましたが、バズローリングの2歳はサムソンの牝だそうで、つまりウンプテンプの全妹です(・∀・)

そしてマローブルーはカナロアと同じく日高大洋+金子真人HDのタッグですが、あれもなかなか走りますねえ…という話も

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弥生賞回顧~リーディングジョッキー、確信犯の捲りで王手

2014-03-09 17:23:49 | 血統予想

中山11R 弥生賞
◎3.アデイインザライフ
○4.ウンプテンプ
ハイレベルで層が厚い牝馬に押され気味の今年の牡馬クラシック路線だが、しかしこの弥生賞は、皐月賞かダービーか菊花賞かはわからないが、とにかくクラシックに直結する重要なレースになるだろう。そしてそんな重要なレースで既成勢力図をまとめて塗り替えるとしたら、それだけの奥行きや可能性がある血統の馬だろう。コランディアの牝系にチャイナロック、ダイアトム、マルゼンスキー、デインヒル、サクラバクシンオー、そしてディープインパクトがかけられてきたアデイインザライフと、バレークイーンの牝系にサンデーサイレンス、ウォーエンブレム、そしてメイショウサムソン(オペラハウス×ダンシングブレーヴ)がかけられてきたウンプテンプ。クラシックに直結するレースとみるならば、クラシックに直結する馬券を買いたいので、この印と買い目でいきたい。

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各馬の血統・配合については「血統クリニック」を再掲してますのでそちらを読んでいただくとして、トゥザワールド川田、ワンアンドオンリー横山典、実力馬2頭が持ち味を十二分に発揮した叩き合いは見ごたえ十分

トゥザワールドは兄と比べると「サンデー×ミスプロ」的な柔らかさが強いので外回りでもなかなか斬れるんですが、やっぱりHyperionベースの配合ですから、これからもっとHyperion的な体質脚質になっていくと思うのですよ

そういう馬で前で受けてHyperionを振り絞らせたら川田は達者な男で、こないだのラストインパクトなんて見事なもんでしたが、ここで早めに先頭に立って、ハナ差でも勝ちきったのはまず大きい

4角で躊躇なく捲って先頭に立ってしまったのが見事で、これまでは弱い相手に合わせて楽に勝とうみたいな差し切りばかりでしたが、今日の騎乗には「この型で皐月をもぎ取るんだ」という気迫が感じられました

怖いもの知らずの早めスパートでキャプテントゥーレを勝たせ、G1ジョッキーの仲間入りしてから早6年、今日の捲りはもっと確信犯的で、かつリーディングジョッキーの自信と貫録に満ちたものでした

ワンアンドオンリーはハーツクライ産駒としてはやるべきことはやったというべき好配合で、しかもHalo3×4ですからハーツの男馬にしては開花や完成が早いタイプともいえるでしょうが、ただ走法的にはHalo的機動力はあまりONになっておらず、胴も脚も長く父同様の重厚なストライドで追い込んでくるし、むしろハーツクライとブエナビスタの子供だと言われればシックリくるような馬です(^ ^;)

だから本来は東京や外回り向きとみていたし、実際今日も4角での加速は一息でしたが、直線で外に持ちだしてからの斬れだけで届いてしまうのですから恐れ入ります

東スポ杯もそんなに負けてない6着でしたが、ああいう上がりの速い競馬よりは中山のエアレーション馬場がベターなタイプではあるのでしょう

だがしかし、たとえエアレーション馬場であっても、皐月賞というレースを勝ちきるには、勝負どころで一気に突き放したりまとめてゴボウ抜きしたり、中山内回りの4角で“ハッとする脚”“抜きんでた加速”が使える馬でないと…というのはあります

思い起こせば昨年の弥生賞、4角で一頭だけ“ハッとする脚”を使って先頭に躍り出たものの最後は失速して4着、望田に背中ポンポンされてた本命馬は、その後皐月とダービーで2着し菊を勝ちました

アデイインザライフは今日のパドックでも一際緩さが目立ち(^ ^;)、この体質だと4角で仕掛けてもビュンと反応しないだろうから、戸崎はどう乗るのかな~と単勝を握りしめながら観てました

一言でいうと中山内回りの教科書どおりの好位イン差しというべきですが、セコく乗ったら乗ったで4角で反応できないのがやっぱり弱点になってしまったというか、直線窮屈になりかけたのは4角でうなりながら加速していけないからで、ああそうか、現状は中山内回りでは、距離ロスはあっても京成杯のノリみたいに、外を回って惰性をつけて差すほうがベターなのだろうなあ…と

そういう感性が46歳の今でも全ジョッキーのなかで図抜けていて、今でもヤル気があるときは誰にも真似できないヘンタイプレーを見せて我々を驚かせてくれます(^ ^;)

まあ戸崎は権利取りのために手は尽くしたと思うし、たとえワンアンドオンリーのような競馬でワンアンドオンリーと一緒に追い込んだとしても、今日は完敗だったでしょう

京成杯、弥生賞と◎を打って期待してきた馬ですが、そしていつの日かナカヤマフェスタみたいな馬に完成すると今でも思ってはいるのですが、現時点では3歳春のナカヤマフェスタと同じぐらいの評価で、まだ大きなところを勝ち負けするには未完成である、と言わざるをえないです

キングズオブザサンは中山内2000mがズンドバの機動力型で、今日はスタートで安目を売ってしまいその機動力を発揮することができずにレースが終わってしまいました

これは本番での巻き返しに注意したい一頭ですが、ただ今日もこの馬の単を買おうと思わなかったのは、やっぱり血統も馬体も、紛れもないオープン馬ではあるのですが大物感がちょっとないのはたしかで、レガシーオブストレングスの牝系にチチカステナンゴ、横綱を張れる血統ではないでしょう

ウンプテンプは勝つかドカ負けかどちらかだと思ってましたがビリですか(^ ^;)、でも種牡馬メイショウサムソンの可能性という意味でも、先々まで期待したい配合馬ではあります 

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血統クリニック~弥生賞

2014-03-09 15:40:46 | 血統クリニック

「血統屋」の有料コンテンツ「望田潤の血統クリニック」では当該週重賞のなかから対象レースを一つ選んで(G1と2歳3歳戦優先)、出走予定馬の血統解説と展望をやってます(毎週木曜18時更新)
弥生賞はこんな感じです

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弥生賞の完成版です
しかし◎は上位3頭で悩みますね…とりあえず頭数が減るのはアデイにとってはプラスだろうし、前走から更に良くなったという感触も追い切りでつかめたので、器ならこれだという◎で
まあ1人気はトゥザワールドでしょうから、◎○▲のボックス買いでもOKかなと思いますが、単を買いたいのはアデイとウンプですね~

アデイインザライフ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103692/
メイショウナルトの近親で、マジックキスやオースミシャインでおなじみのコランディアにさかのぼる牝系。母母フレンドレイはデインヒル直仔でNative Dancer3×4、Buckpasser4×4、そしてFlower Bowlとチャイナロックを通じるハイインローのクロスと、デインヒルの血脈構成を強力に増幅した配合をしており、タガノデンジャラス(6勝)、バアゼルリバー(平地4勝障害3勝)などコンスタントに上級馬を産んで繁殖として成功した。
そこにサクラバクシンオーが配されたのが母ラッシュライフで、バクシンオーに頑強な血を補った成功形だけに函館2歳とファンタジーで2着するなど桜花賞路線で活躍、そのラッシュライフにディープインパクトが配合されたのが本馬アデインザライフだ。
デインヒルは両半球で子孫を繁栄させる大種牡馬だが、パワー型すぎて日本の高速馬場では自身も直仔のロックオブジブラルタルやRedoute's Choiceやデザートキングらも期待ほど成功したとはいえない。しかし最近は母父や母母父として、ステイゴールドやディープインパクトとの配合で成功し見直されている血でもある。エクイターフの高速馬場においてしなやかさと柔らかさが追求され、日本の種牡馬界においてしなやかなサンデーの血が猛スピードで拡散されてきた結果として、デインヒルやノーザンテーストやMiesqueやSadler's WellsといったNorthern Dancer系の頑強さが渇望されてきているように思えるのだ。
そんななかでデインヒルのパワーを凝縮したフレンドレイに、Princely Gift×ノーザンテーストというサッカーボーイ的ステイゴールド的な和風な柔らかさ伝えるサクラバクシンオーが配され、Halo≒Sir Ivor3×5でサンデー系最高のしなやかさを伝えるディープインパクトが配されてアデイインザライフが出たというのは、ディープ×デインヒルでミッキーアイルが出たり、ステゴ×デインヒルでナカヤマフェスタやフェニーメノが出ている状況や、それらの配合と比較してみても非常に興味をそそられる。
そのあたりも踏まえた上で京成杯で◎にしたときにナカヤマフェスタとの比較で書いたのだが、実馬の比較でもサンデーの“柔”とデインヒルの“剛”の噛み合い方や発現の仕方など重なるところは多い。550キロ近い大型だがまだまだ緩いところがあって大雑把なレースしかできないが、ナカヤマフェスタも京成杯でアーリーロブストに逃げ切られていたころは似たような緩さがあった。岡田総帥は「素質は高いけどまだまだ緩いから、こういう馬はバンバン実戦に使ってダービーまで筋力をつけていくべきだ」とおっしゃっていた。「父中距離×母父スプリンター(母もスプリンター)」の配合形だから、悠然と捲ってしまうような脚質に完成するのではないかと思っているし、緩さが解消されればそういうレースができるようになるだろうとも思っているが、解消されてこないならば3歳春はナカヤマフェスタと似たような道を歩むことになるだろう。

ウンプテンプ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103994/
アンブロワーズの甥で、フサイチコンコルド、アンライバルド、ヴィクトリーでおなじみのバレークイーンの牝系。バレークイーンはSadler's Wells×イングリッシュプリンス×Val de Loir×Charlottesvilleと重厚そのものだが、Fair Trial~Lady Jurorのクロスを持つので子孫には中山向きの小脚や機動力を主に伝えた。父メイショウサムソンは母母がGrey SovereignとPrincely Giftを通じるNasrullah3×4で、ここから柔らかさを受け継いだのでオペラハウス産駒ながらストライドを伸ばして走ることができたが、その柔らかさしなやかさは産駒には緩さ緩慢さとして伝わりがちなので、もう少し体質を締めて脚の回転を上げるような配合が成功する。代表産駒のサムソンズプライドとトーセンアルニカはともに母がエルコンドルパサー×サンデーサイレンスだが、これはオペラハウスとエルコンドルパサーを通じるSadler's Wells≒Nureyev3×4・5になり、同時にダンシングブレーヴとサンデーサイレンスを通じるDrone≒Haloのニアリークロス5×4にもなる。つまり「Northern Dancer+Special」の組み合わせによって体質を締め、Haloのニアリークロスによって動きや脚捌きを無駄なくすることで、父よりもピッチで走るような体質や動きになることで成功していると考えられるのだ。
本馬はオペラハウスとバレークイーンを通じるSadler's Wells3×4で、また母母父がサンデーサイレンスなのでDrone≒Halo5×4でもあるから、やってることは代表産駒2頭と同じ。また母父がミスプロ系なのも同じで、これはSadler's Wells≒Nureyevの3/4同血クロスをNantallah≒Nashuaのニアリークロスが後押しする形になるから、よりパワーと機動力を増す効果があるだろう。一方で父メイショウサムソンはNorthern Dancer3×4で母母フサイチミニヨンはHail to Reason3×5だが、母父ウォーエンブレムのところだけはNorthern DancerもHail to Reasonも入らない(Nearco系の血はNashuaのみ)点に留意したい。サムソンズプライドとトーセンアルニカの場合は父も母もNorthern Dancerの強いクロスなのが少し割り引きだが、ウンプテンプはウォーエンブレムを巧みに1/4異系として使っているぶん、全体の配合パターンでは代表産駒2頭より上だろう。
新馬戦は超スローのイン番手でガッチリ折り合い、直線は後藤が少し仕掛けただけで、抜群の反応と俊敏なピッチと無駄のないきれいな脚捌きで、アッという間に抜け出してしまった。勝ち馬評価ではBにとどめたが、配合だけでなく3歳春の時点での完成度でもサムソンズプライドより上で、あの機敏反応と機動力はむしろ中山向きでもある。ここと皐月賞を連勝しても全く驚けない。

キングスオブザサン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104272/
母スティンガーはHalo≒Chieftain2×4(Royal Charger≒Nasrullah,Pharamond=Sickle,Sir Gallahad,Sunstar)のサンデー産駒で阪神JFなど重賞5勝、その全姉にサイレントハピネスが、3/4弟にアーバニティがいる。チチカステナンゴは父Smadounがアウトサイダー血脈が強い5代アウトで、母スマラがNorthern Dancer2×3、Sir Gaylord=Swansea3×5で、自身は5代アウト。キングスオブザサン自身はナスキロとBold RulerとWar Relic≒Good Exampleの薄いクロスで、「父欧血×母米血」という配合形になっている。
京成杯では平均ペースを中団から捲り上げて4角3番手、横綱相撲をとった結果プレイアンドリアルの絶好の目標になってしまったが、このきょうだいに共通するHalo+Bold Ruler的な無駄のない動きと脚捌きで、中山内回り向きの機動力を十分にアピールしたし、あまり体型に伸びがないので1800mがベストではないかと思っていたが、2000mの持続戦を踏ん張るスタミナも証明してみせた。これで内回りは[2.1.0.0]となったが、たとえばロゴタイプと比較しても斬れ味には欠ける脚質だから、乗り方はあれでいいと思う。むしろ大きいところを勝ちきるには葉牡丹のように前々で運んで4角で突き放してしまう形に持ち込みたいところか。キャプテントゥーレの皐月賞のイメージだ。チチカス産駒にしては軽いスピードが持ち味だと思うので、今のエアレーション馬場なら良に越したことはない。◎○▲どれかは回したい。

イタリアンネオ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104407/
イタリアンレッドの甥で、父も同じネオユニヴァースだから3/4同血の間柄。母母バルドネキアはプシケ賞(仏G3・芝2000m)に勝った。母父エルコンドルパサーがNureyev≒Sadler's Wells3×2、Special=Lisadell4×3・4、母母父Indian RidgeはDiscipliner(父Court Martial)4×4、Ahonooraの母Helen NicholsがFair Trial4×4、Indian Ridgeの母母Golden CityもFair Trial4×4だから、ネオユニにFair Trial的な血を重ねた配合といえるが、Special血脈(Sadler's WellsやNureyevなど)を入れてHaloをニアリークロス(本馬の場合はBoldnesianやRegal Gleam)するというのはネオユニ産駒の教科書配合だし、母系にMr.ProspectorとAhonooraとNureyevが入るのはロジユニヴァースと同じだ。
ヴィクトワールピサ(出走時510キロ)、ロジユニヴァース(500)、ミヤジタイガ(480)と弥生賞連対のネオユニ産駒は大型馬ばかりだが、本馬も520キロを超える大型で、若竹でも◎を打ったが中山中距離向きの捲り脚質に出たのは極めて順当。母父エルコンは牡馬には主にスタミナを伝えるから距離延長もプラスに勘定できるとなると、能力的な問題はさておいて各ファクターにおける減点材料は皆無に等しい。上位有望。

トゥザワールド
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103975/
トゥザグローリーの全弟で、サイレントディールの甥で、母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯に勝ちドバイワールドC2着。デニムアンドルビーとはイトコ同士というだけでなく、キングカメハメハ、サンデーサイレンス、フェアリードールが共通する3/4同血の間柄。フェアリードール(Hyperion5・5×5・6・6・7・7・7)とMiesque(Hyperion5・5×6)を通じるNureyev(Hyperion4×4)4×3、そして母父サンデーサイレンスの米血を1/4異系とする「3/4欧,1/4米」の配合形。
Hyperion的ハイインロー的な要素がメインの粘りとパワーに富んだ配合というべきだが、トゥザグローリーよりも体型に伸びがあって脚長で、「サンデー×ミスプロ」の組み合わせ特有のしなやか体質も強くONになっている。ゼンノロブロイが母父マイニングなのにジャパンCを勝ったり、アドマイヤムーンが父エンドスウィープなのにジャパンCを勝ったり、プレイアンドリアルやラストインパクトが母父ティンバーカントリーなのに芝中距離重賞を勝ったり、とにかく字面のイメージ以上に芝中距離向きのしなやかな体質に出ることが多いのが「サンデー×ミスプロ」の侮れないところだ。
若駒ではインベタ馬場のスローをジワリと捲り上げて直線半ばで先頭、最後は手綱を押さえる余裕があった。兄よりもストライドが伸びる体型体質なので斬れ味は上。先々はもう少し筋肉がついてきてパワー型にシフトしてきそうな予感もあるが、現状は斬れと機動力を兼備して、内回りでも外回りでもHペースでもスローでもほとんどパフォーマンスが上下しない、非常に弱点の少ない中距離馬というべきだろう。
図太い牡馬を思い切りよく動かしてもってくるところにジョッキー川田の真骨頂があるとするならば、そんな川田とのコンビでこの馬が大きなところを勝ちきるには、もう少しHyperion的な体質脚質にシフトしていくのが望ましいのではないかとも思う。川田がこの血統でG1を勝つとしたら、やっぱり4角先頭でHyperionを振り絞る形だろう。現状は血統のイメージほどパワー型ではないので、今の中山の芝だと良馬場が希望。

エイシンエルヴィン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011110062/
父のShamardalは仏ダービーと仏2000ギニーを勝った馬で、同じく仏二冠のLope De Vegaなどを出して種牡馬として成功しており、日本ではゴールデングローブの父として知られる。Giant's Causewayの有力後継だが、快速マイラーというよりはMachiavellianやRivermanが入ってミスプロ的ナスキロ的にしなやかになって、中距離寄りのスピードになりつつあるというイメージだ。母La InaはMunsun産駒でSurumu3×4という典型的なドイツ血統で、この"Lライン"の牝系からはLomitas(オイロパ賞他、ドイツ名種牡馬)やLagunas(独ダービー)などが出るが、牝祖Love InがDonatello×Hyperionの組み合わせで、そこにドイツDark Ronald三銃士がかけられてスタミナや底力を増してきた牝系といえるだろう。La InaはSurumu3×4にAureole≒Homeward Bound5×5・6だからハイインロー的スタミナはかなりのものがあり、そこにStorm Cat、Rahy、Mr.Prospector、Halo、Roberto、Rivermanと主流スピードで固めたShamardal(Halo5×4、Hail to Reason5・6×5)が配された。自身はほとんどアウトブリードと言っていいが、La Inaが持つBold ReasoningやMill Reefの血はShamardalのHalo5×4やRivermanと脈絡するし、Shamardalの母系に入るPetingoはFair Trial×Alycidonの組み合わせなのでSurumuの「Dark RonaldとHyperion」やAureole≒Homeward Boundの「HyperionとDonatelloとAloe(Son-in-Law)」と脈絡している。新馬戦に出てきたときも配合をほめたが、ノーブルジュエリー的な発想の配合で、ドイツ牝系が日本で最も成功しやすいパターンと言ってもよく、栄進堂が買ってくるマル外にはこういうちょっと面白い発想の好配合がけっこう多いように思う。(ここまできさらぎ賞と同文)
実馬はマイラーのGiant's Causewayを伸びのある体型にしてHyperion的体質にしたようなイメージで、つまり配合どおりのイメージ。
「ゴールデングローブほど鋭くないがゴールデングローブより持続力がある斬れが武器で、オープンでも相手ナリに走れるタイプで3着にはマークしたい馬だが、勝ち負けとなるとある程度持続力勝負に、11.8-12.0ぐらいの上がりになってほしいところ。その点馬場渋化が残りそうなのはプラスだし、距離も1600mよりは1800~2000mがベターだ」ときさらぎ賞では書いた。レースでも概ね想像したとおりの走りだったが、父のナスキロ柔さも感じられるストライドで、いったんスピードに乗ってしまえば長くそれを持続できるのが長所だが、トップスピードに乗るまでに時間がかかるのと鋭角なコーナーでの加速力にもちょっと弱点がありそうで、きさらぎの回顧では弥生賞でも3着ぐらいに好走しそうだと書いたのだが、時計のかかる馬場はプラスでも中山内回りに替わるのは少しマイナスで、まだまだ成長過程にある馬だが差し引きするときさらぎ3着ぐらいのパフォーマンスは期待できそうだ、という見立て。

ワンアンドオンリー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105072/
3代母アンブロジンからノーリーズン、グレイトジャーニー、そして“幻の桜花賞馬”ロスマリヌスなどが出る。アンブロジンは父Mr.Prospector×母母Courtly Deeだからトワイニングと3/4同血で、Green Desertやヤマニンパラダイスやダークシャドウなどでおなじみの名門牝系。母ヴァーチュはタイキシャトル産駒らしく1200m~1600mを守備範囲とする短めマイラーだった。自身はHalo3×4、Hail to Reason4×5・7、Northern Dancer5×4・6、BusandaとCourtly Deeを通じるWar AdmiralとLa Troienneのクロス、トニービンとThatchを通じるHyperionとNasrullahとFair Trialの組み合わせのクロス、ハーツクライ産駒としては押さえるべきツボは押さえた配合だ。
ラジオNIKKEIを勝ったHaloクロス馬というとヴィクトワールピサやダノンバラードの捲りのイメージだが、最高に立ち回らせたルメールの手腕も大きかったレースで、内回りのコーナリングの良さで勝ったとは言い難い。胴も脚も長い体型はハーツクライとCaerleonが強く、サンデー×ミスプロ的柔緩慢さとLa Troienne系のクロスやDanzig譲りのパワーとのバランスが良い体質をしていて、“胴長でスピードの乗りが緩慢なブエナビスタ”というイメージだ。本来は内回りよりは外回り向きで、上がり11.5-11.5よりは11.8-12.0で強い、持続力に富んだストレッチランナーというべきだろう。

エアアンセム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104182/
母エアマグダラはエアシェイディ、エアメサイアの全妹で、自身も休みがちながら9戦4勝と素質をかいま見せていた。その母エアデジャヴーは中山のクイーンSに勝ちオークス2着桜花賞3着。ブライアンズタイムと同じGolden Trailの牝系で、HerbagerやRibotのスタミナと同時に、Bold RulerやTudor MinstrelやRomanの機動力やパワーも強い。エアシェイディは中山の鬼だったし、エアメサイアは秋華賞勝ち含め内回りでは[3.2.2.0](東京外回りでは[1.2.0.2])、エアデジャヴーの兄エアシャカールも本領は皐月賞の捲りだろう。12月のディセンバーSを好位からきれいに抜け出したエアソミュールもジャンポケ産駒ながら内回り小回りで器用な立ち回りができる馬で、そういう機動力とパワーを脈々と伝える牝系だ。本馬はRoberto父系×Golden Trail牝系という組み合わせがブライアンズタイム的だし、そしてもちろんこの牝系特有の機動力もONになっていて、ブライアンズタイム産駒がBold Ruler的脚捌きで中山内2000mをスルスル抜け出してきたという勝ちっぷり。どうみても中山と阪神の内2000mがベスト。(ここまで京成杯と同文)
京成杯はアデイインザライフを◎にしたが、最も好走確率の高いのはこの馬ではないかとも思っていたからあんなに負けるとは意外だった。向正面からずっと馬群の真っただ中にいて1,2着馬が捲り上げたときも踏み遅れてしまったし、直線もずっと前カベで後藤も最後は進路を探すのをあきらめていたし、それでも時計ひとつは負けてないのだから巻き返しは可能な差だろう。ただ一方でホープフルはルメールがパーフェクトに運んで、中山内2000mがベストとは言い難く実際不細工な競馬やロスの多い競馬になったベルキャニオンやクラリティシチーと僅差だったから、あのパフォーマンスだけをとってもトップクラスとするには少し足りないか。今年の弥生賞はトップクラスの争いだ。

アズマシャトル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100370/
セントライト3着ピサノパテックの3/4弟で、スティルインラブやビッグバイアモンの甥で、ザタイキのイトコ。母母ブラダマンテは3代母Dodge MeがBull DogとPharamondと「DominoとSundridge」だからTom Fool的な血脈構成で、しかも父がRobertoだから機動力とパワーに長けた牝系だ。スティルインラブは内回りにおける機動力でアドマイヤグルーヴを封じつづけたし、ビッグバイアモンは中山1800mのラジオたんぱ賞を逃げ切ったが、どちらも少なからずRoberto的でありTom Fool的な脚質だったと言っていい。
本馬はゼンノロブロイ産駒で直飛で脚長で「サンデー×ミスプロ」的しなやかさはあるのだが、走らせるとやっぱり動きや脚捌きは半分Robertoという感じで、内回りの超スローを一気に捲り差したデビュー戦の好内容からも、外1600m→内2000mでパフォーマンスが上がることは大いに予想できた。だからラジオNIKKEIは◎モンドシャルナはちょっと期待外れだったが、○にしたこの馬は期待どおりの走りで、3~4角で外々をしびれる手応えで進出、そこでの加速はワンアンドオンリーを明らかに凌いでおり、ブラダマンテ牝系らしいRoberto的機動力を発揮した2着だったといえる。ただあの勝ちパターンでワンアンドに差されてしまったことは少し不満で、大物というイメージがないのは「母系にハッキリと欧血(ハイインローやナスキロなど)を入れる」というゼンノロブロイの教科書配合ではないからかもしれない。ここも前走ぐらいは走るだろうが、あれ以上を望むのは酷かも。

サトノロブロイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102526/
母母TuzlaはラモナH(米G1・芝9F)など米12勝、BCマイル2着もある活躍馬。母父Distorted Humorはフォーティナイナー×Danzigのスピード型で短距離で活躍、種牡馬としては大成功で米二冠Funny CideやBCクラシックのDrosselmeyer、トラヴァーズSのFlower Alley(アイルハヴアナザーの父)などを出して北米リーディングサイアーとなった。そこにゼンノロブロイが配された本馬はMr.Prospector4×4となったが、Tuzlaは全体に欧血が強い構成(イメンスを1/4異系的にした3/4欧,1/4米)なので配合はまとまっている。
体型的にはゼンノロブロイとBlushing Groomが強い感じで、Mr.Prospectorのクロスだけに脚長でしなやかさもある体質で、Halo≒Red God≒Chieftain3×6・6にTom Fool6×7だから脚捌きに無駄がなく機動力に富む。立ち回りが上手でなかなか弱点の少ない中距離馬だが、ここまで相手が強くなると立ち回りの巧さと弱点の少なさだけで食い下がれるかどうか。ツボにハマれば大物を食えるほどの強力な武器はないか。

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日曜のボツ予想~フジキセキ×サッカーボーイ牝系が気になる

2014-03-09 11:00:38 | 血統予想

中山1Rでエスティレジェンドが勝ち、これで「パーフェクト種牡馬辞典(2013-2014)」でPOG用に推奨したロージズインメイ産駒は2頭とも勝ち上がり(・∀・)
ちなみにこの世代のロージズ産駒は質量ともに底といってよく、ぶっちゃけ2頭選ぶのになかなか苦労したんですが(^ ^;)、実際中央で勝ち上がったのはこれでやっと3頭目で、そのうちの2頭をピックできたというのは(まあウインカレントは一口ピックでもありますが)、こういうのは苦労した甲斐があったぜ感があります(・∀・)

一方阪神3Rでは「ディープインパクト好配合」ピックのインターンシップが直線前が詰まって人気を裏切ってましたが(^ ^;)、この馬は粘着力の塊みたいな配合なので、そもそもあんまり外回り向きではないだろう…というのが私の見立て

大阪城は◎スマートレイアーと○ディサイファやと思いますが、△セイクリッドセブンはドリームパスポートの全弟でラウンドワールドの3/4兄、フジキセキ×サッカーボーイ牝系でLe Fabuleux≒Worden3×5はタマモ○○○プレイと同じ、兄とは少しタイプが違いますがフォームはWild Risk的なので、ほんとは外1800mあたりが一番合っていると思うのでこれを絡めてみたい

冨里は前売りオッズをみての通りメチャメチャ難解ですね(^ ^;)
どこからいってもオッズに見合う狙いではないだろうという気がして、こういうときはダイワアクシスのHyperionを信用するのが望田的着地点なのかもですが、ここは着地しないでメインまで浮遊してます(^ ^;)

「No.1予想」では弥生賞を、「馬券総合倶楽部」では弥生賞とアルメリア賞を予想していますので、そちらもよろしくお願いします

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