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南房総館山・なぎさの自然詩

ハマゴウ 蕾から種子になるまで

ハマゴウは潮間帯からずっと離れた砂浜の奥や砂丘に群生している海浜植物です。
牧野植物図鑑によると、古名はハマハイと呼ばれていたそうで、浜を這うその姿からの命名かもしれません。
長い茎を砂地の上に這わせ、砂の中にも地下茎を縦横無尽に巡らせ、海岸に砂を堆積させる役割があります。
砂地の広い範囲を覆うように見える落葉低木で、緑色の葉からはとても良い香りがします。
そんな繁殖力の強いハマゴウなので、厄介な雑草というイメージを持たれて排除されやすい海浜植物でもあります。
例えば、旧アクシオン前の平砂浦海岸の砂丘に広がっていたハマゴウの群落が消失してしまいました。
重機により完全に排除してしまった為、そこは以前と比べてすっかり様変わりし不毛の地となりました。
その結果は強い南寄りの風が吹くと、海岸からの飛砂で道路の通行止めが度々起こっています。
人的な海岸環境の改変は一瞬で出来ますが、元に戻すには大変時間がかかります。失った後に初めてその大切さに気づくのでは、余りにも悲しい事です。
人が生まれる前からの長い時間をかけて創り上げた海岸を、これ以上人の手を加えず見守っていくことも大切なのかもしれないと思います。


ハマゴウの蕾。

紫色の花。


朝露に濡れた花。
ハマグルマと競うように全体が海浜植物で覆われた砂丘です。


若い種子。


熟し始めた種子。


種子だらけ。

花期が長いようで9月にも花を咲かせていました。
海岸という特殊な環境に適応してきた海浜植物の花の美しさを、沢山の方に知って欲しいと思っています。
春夏秋冬の海岸には、それぞれ季節ごとに花を咲かせる海浜植物があります。
ハマゴウは夏の花。
砂浜を歩く時、足元を見ると健気に咲く花がとても美しいです。


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