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南房総館山・なぎさの自然詩

ネコノシタ(ハマグルマ) 蕾から種子になるまで

海岸に適した植物はその特殊な生息環境のために、海浜植物と呼ばれています。
波飛沫、潮風等の塩害や極端に水分に少ない砂浜、台風の接近時には強風を遮ることの無い場所が海岸です。
他の植物が育つには厳しい環境でも海浜植物は春から秋にかけて花を咲かせます。
夏の暑い盛りに花を咲かせるのがネコノシタ、別名ハマグルマです。
小さな棘のような固い毛が葉にあるため、それを触ると猫の舌のようにザラザラするので、それが由来となったそうです。
キク科キク亜科の植物なのですが草丈は低く、砂丘の上を這うように蔓を伸ばしています。
砂浜ではハマヒルガオやハマエンドウなどと競い合っている感じで、場所によっては砂丘一面を覆う程の群落になります。

青々と茂る葉の中に見える小さな緑色の蕾。
大きさは5mmくらいです。

2cmくらいの黄色い花は海岸に咲く小さなヒマワリのようです。


花が終わると種子が出来始めます。


小さな種子一つ一つが熟してくると、全体が茶色っぽく色づいています。


同じ株には花が咲き始めたものから種子になったものまで揃っています。
花期をずらす事で種の散布時期も長期間になるので、台風等で海岸の条件が悪い時をかわして種子を残すことが可能になります。
艶のある緑色の葉は肉厚で、水分をたっぷり含んでいるように見えます。
海岸は海水はたっぷりあるけれど、植物の成長に必要な水は極端に少ないので、このような形態なのかもしれません。
また葉の固い毛は表面積を広げ、寒暖差で生じる朝露を葉の表面にたくさん留めるのにも良さそうです。
厳しい環境だからこそ、独自に進化して適応してきたのが海浜植物なのだと思いました。
小さな植物が生き残るために花を咲かせ、たくさんの種子を実らせる姿は美しくて力強さを感じます。







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