このお方は知っている。
君たちが脈々と受け継がれてきたその伝統を
真摯に伝えていこうと懸命に努力していたことを。
それは、
権力でもなく、名声でもなく、築き上げてきた精神。
このお方は知っている。
ある日、邪悪で狡猾なリーダーによってその道が阻まれ
ちがう方向に歩き出してしまったことを。
ただただ悲しい利に向かい・・・。
このお方は知っている。
けれどもそれに屈することなく、戦いを挑み続けた君たちのことを。
歪んでしまった道筋を必死にもとどおりにしようとした君たちのことを。
このお方は知っている。
権力という椅子にあぐらをかく連中を嘲笑い
「本当はちがう」と気づいている仲間が多くいたことを。
そして、そんな仲間たちが
君たちのことを信じ続け、精一杯応援してくれていたことを。
このお方は知っている。
時は無情にも流れていったけれど、
君たちが君たちでいてくれたことが、何よりも素晴らしいということを。
それこそが誇りだということを。
このお方は知っている。
だからこそ真の友情をみつけられたのだ、ということを。
卒業おめでとう!
大欅はみていただろう。
君たちの研鑽の日々が何よりも美しかったことを。
そして、
君たちの勇気ある翼こそが、希望あふれる未来を切り拓く力だと信じていることだろう。
2011年、3月、
大欅は風に吹かれながら 今日も大空を仰いでいる。