念坊ひとり旅

一行詩

書斎入る北窓開けて瞑目す

雪深き墓地選びしは吾と妻

川　柳

春分にうたた寝すれば妻不機嫌

念坊ひとり旅

一行詩

学び舎に友の散りゆく彼岸前

母ひとり鼻炎のマスク初桜

川　柳

政権は値上げ黙認はや彼岸

念坊ひとり旅

一行詩

つぶやくはハルサメ声で春の雨

石狩につづく増毛に鰊群来

川　柳

難聴に思いもよらぬ治聾酒

念坊ひとり旅

一行詩

近寄りて枝垂桜を急かしをり

来年は彼岸参りを迎へんか

川　柳

好物のおはぎ供へて相伴す

念坊ひとり旅

一行詩

ひび割れて目貼果たさぬ隙間かな

桜にはあと一ト月か　余生ありや

川　柳

金配る貰うも妬むも自党の人