念坊ひとり旅

　　　一行詩
高温とコロナ感染八月果つ
野路の秋犬引き連れて歩かされ

　　　川　柳
蝦夷の地や暑さうすらぐ葉月尽

念坊ひとり旅

　　　一行詩
新そばや耕作苦労味に沁み
爽やかに入り込む空気深呼吸

　　　川　柳
稲光り稲穂こわごわ頭下げ

念坊ひとり旅

　　　一行詩
三時間ドラマに無中秋の夜や
芒の穂や離れ来てただ侘しけり

　　　川　柳
橋架けれぬ核不拡散の激流

念坊ひとり旅

　　　一行詩
一周忌に打つ鐘の音や秋障子
夫人より予期せぬ便り秋の宵

　　　川　柳
名ばかりの派閥の力烏合の衆

念坊ひとり旅

　　　一行詩
立ち位置に大文字草読ませけり
秋の夜や隣の窓の灯を眺む

　　　川　柳
国民に弔意求めぬ国葬とは