念坊ひとり旅

　　　一行詩
ことしも十とひと月終わりゆく
貧困の民を不意打つ猛吹雪

　　　川　柳
先ずいのち民の活力国の基

念坊ひとり旅

　　　一行詩
歳時記や障子ガラスの日をもらふ
散紅葉木枝の影に身を預け

　　　川　柳
短日に予定の余生未達成

念坊ひとり旅

　　　一行詩
婆さんの防寒チョッキ亀の甲
ニシン漬け母の二の腕懐かしく

　　　川　柳
万博へ湯水のごとく財流れ

念坊ひとり旅

　　　一行詩
齢も齢慣れぬ歩道の氷結や
マフラーに短き首の落ち着かず

　　　川　柳
夢洲に財貨を敷くや意地の果て

念坊ひとり旅

　　　一行詩
雪原に町が残さる如くあり
猛吹雪一ト夜で決意道産子は

　　　川　柳
人質の古今東西悪習遺産