念坊ひとり旅

　　　一行詩
ラクビーに心奪はる十月な
十月もようやく尽きて後ふたつき

　　　川　柳
近年は慶事少なく神の暇

念坊ひとり旅

　　　一行詩
昨日今朝地に這うごとき蜻蛉見ゆ
鳴いたとて蚯蚓の気持ち付き合えぬ

　　　川　柳
ガザ地区の民らに地下の助けなし

念坊ひとり旅

　　　一行詩
海辺には数多の鴫の代わり来て
秋高しされど節食哀し老い

　　　川　柳
耳鳴りや柿食はざるにしきりに鐘

念坊ひとり旅

　　　一行詩
そこはかと年の波よす秋の今朝
黄落や君と歩いた裏参道

　　　川　柳
外出も晩酌もダメ生け簀宿

念坊ひとり旅

　　　一行詩
ながらへば障子洗いも貼ることも
夕映えに秋のスズラン実の赤し

　　　川　柳
今の子ら障子知らずに個室牢