念坊ひとり旅

　　　一行詩
廃屋のあまた紫陽花貰い雨
積丹やキツネちらほら夏野原

　　　川　柳
詩情富む小樽函館望郷の里

念坊ひとり旅

　　　一行詩
疎開せし里雨竜川氾濫とや
鄙の宿食堂灯るチャイム鳴る

　　　川　柳
親狸万札に化け子は千円やっと

念坊ひとり旅

　　　一行詩
剪定の終えて庭師は引退告ぐ
絵手紙や梅干し多忙。達者でね

　　　川　柳
干しブドウ噛めば振られた恋幾つ

念坊ひとり旅

　　　一行詩
炎熱に老いの皺々脂撥ね
炎熱に干からびた皺焦げ付かん

　　　川　柳
吾が肥満また夏痩せは縁遠し

念坊ひとり旅

　　　一行詩
南から北まで走る熱中症
線状の降水帯の空の夏

　　　川　柳
薄物に女人なやまし夏日差し