念坊ひとり旅

　　　　一行詩　　　　　
入学時の幼き夢はいまに継ぐ
風光る汚れし肺へ深呼吸

　　　　川　柳　　　　　
蝶のごとく自在に翔ばまほし

念坊ひとり旅

　　　　一行詩　　　　　
老松に仮寝許さる奴だこ
蝶々は落ちるとみせて舞い上がり

　　　　川　柳　　　　　
感染へ挑む如くに自粛せず

念坊ひとり旅

　　　　一行詩　　　　　
凧幾つ不動だに見せて遠ざかり
百本の並木の桜ふふみけり

　　　　川　柳　　　　　
かにかくも春は来にけり焦るなかれ

念坊ひとり旅

　　　　一行詩　　　　　
花市や花の数ほど人の数
エドムラサキのつつじ咲きたる札幌は

　　　　川　柳　　　　　
目にコロナ耳にコロナの入るばかり

念坊ひとり旅

　　　　一行詩　　　　　
姉と撮るセピア色とて花馬酔木
枝先で一服したるいかのぼり

　　　　川　柳　　　　　
変異株異動するたび昇進す