念坊ひとり旅

　　　一行詩
手稲山日増しに雪の積もり行く
オープンを見切り発車のスキー場

　　　川　柳
生きるため熊には熊の理屈あり

念坊ひとり旅

　　　一行詩
日短し点るあかりよ節電に
外出に降るやふらぬや雪催

　　　川　柳
辞任する閣僚の疑義与党の質

念坊ひとり旅

　　　一行詩
愛しきや相似の翅秋の蝶
みぞれ降る心にしみる季節来し

　　　川　柳
手に負えぬ傾くコップ他人まかせ

念坊ひとり旅

　　　一行詩
妻の忌や供花に鋏の冷たくあり
短日や細き余命の侘しけれ

　　　川　柳
賞与決まる空の懐手を温め

念坊ひとり旅

　　　一行詩
雪虫や銀の装ひ哀しけれ
古名簿幾人忘る鳥渡る

　　　川　柳
初恋を散らせば散らせ里の浪