念坊ひとり旅

　　　一行詩
枯萩の道を行く影とぼとぼと
汚れたる窓の木陰や古フレーム

　　　川　柳
つかの間の休戦に永久の平和乞う

念坊ひとり旅

　　　一行詩
里の炉や母の膝うへ忘れざる
廃線の赤さびのうえ秋の蝶

　　　川　柳
ネタニャフ如何ともしがたく

念坊ひとり旅

　　　一行詩
古民家の土間に掛け置くかんじき見ゆ
国会も勤労感謝一ト日空く

　　　川　柳
就労に職と待遇夢の夢

念坊ひとり旅

　　　一行詩
鼻水の絶えぬ厄介テッシュケース
小雪に辞書の装丁つくろふや

　　　川　柳
ジングルベルどこぞ遠い夢の国

念坊ひとり旅

　　　一行詩
はたはたや上司の母の顔浮かぶ
一茶忌や飛交ふ雀枝々に

　　　川　柳
戦争を体験した子叫ばずに