neoyoshinoriのインストラクター日記2

さすらいのパソコンインストラクター

「おくりびと」見てきました

2008年10月18日 23時38分02秒 | 映画

実はこの映画、公開前から見たいと思ってたんです。

だけど、ついつい先延ばしにして見に行きそびれていました。
するとつい先日、この映画の中で本木雅弘演じる主人公の父親役で出演している峰岸徹さんが亡くなられたというニュースを聞いて、ますます見に行きたくなりました。

この映画は「納棺師」という普段はあまり馴染みの無い職業にスポットが当てられています。

主人公の小林大吾(本木雅弘)はチェロ奏者だったが、楽団が解散し職を失ってしまいます。
そして故郷の山形に帰り、求人情報で見つけた会社に行ってみると、その場で即採用されます。

その仕事が「納棺師」という仕事でした。

それは亡くなった人を棺桶に納める仕事。
人間はいつかは必ず死ぬもの。
「死」というものに向き合い、あの世へ「送り出す」仕事をする人なのです。

最初はその仕事をしている事に、友人や妻も嫌悪感を持ちますが、次第にその仕事に理解を示してくれるようになります。

この映画を見ていて、今から2年前に祖母が亡くなった時の事を思い出しました。

亡くなった祖母は化粧が施され、若返ったかのようでした。
これも納棺師の方が行った事だったのですね。

ところで話は変わりますが、私はかつてゴミ収集の仕事をした事がありました。

当時私は長崎県(と言っても五島列島)に住んでいました。
ところが、ある事情で仕事を辞めて神戸に帰る事になりました。

ですがある人から、

「知り合いの方でご主人が病気で入院されてね、自営業をされている方で困っておられるんです。もしすぐに神戸に帰らなければならない事情が無ければお手伝いしてあげてもらえないかしら?」

とのお話を頂きました。

その当時の私は無職だったし、すぐ帰らなければならないという事は無かったので、引き受ける事にしました。
ありがたい事にちゃんと給料ももらえるし、自宅の一室を使ってもらっても構わないとの事でした。

ただ、その仕事とはゴミ収集でした。
誰でも一度は目にした事があると思います。
ゴミ収集車に乗り、ゴミ収集所を回って、ゴミを集めて行く仕事です。

 ゴミ収集という仕事も、人が使わなくなったもの、要らなくなったもの、もしくは食べ残したものを集めて、最後はクリーンセンターと呼ばれるところへ集めて焼却します。
これも納棺師の仕事に似ている、などと言ったら少々強引でしょうか?(笑)

ですがあの時の私も仕事を失って、たまたまあの仕事を紹介してもらいました。

今まで自分は、ゴミはゴミ収集日に出したら勝手に持って行ってくれるもの、という意識しかありませんでした。
それを収集してくれる人が居る、という事は知っていましたけど。

だけどいざ、自分がその仕事に就いてみると、収集する人はこんな大変な思いをして居たんだという事を思い知らされました。

ゴミ袋というのは結構重いものもあるんです。
それに当時はまだ暑い季節、生ゴミなんかは腐って酷い悪臭を放っているものもありました。
重さでゴミ袋が破け、ゴミが散乱してしまい、手で拾って収集車に入れた事もあります。

ゴミ袋の中でうじ虫が湧いているのを目にした事もありました。

そして、収集車は巨大な爪でゴミ袋を中に押し込むのですが、その時に臭い汁が飛んで来る時もありました。
腐った生ゴミの臭いで吐き気を催した事も何度もありました。

人間が生活する以上、ゴミは必ず出るもの。
それを回収する人も必ず居る訳です。
だから、これもとっても重要な仕事なんだと思えるようになりました。

その仕事をして約1ヵ月が過ぎた頃、仕事を終えて部屋で本を読んでいた時、私の携帯が鳴りました。
入院されていたご主人が必死の治療も虚しく、亡くなられたとの知らせでした。

そのご主人は仕事中に体の不調を訴え、病院へ行った所、即入院となったのだそうです。

ご主人の病気は癌、しかも末期だったそうです。

そしてしばらくして、ご主人のご遺体がご自宅まで帰ってきました。
それが僕とご主人との初対面でした。

初対面が遺体だなんて、こんな出会いなんて今まで経験した事無かったし、おそらく生涯これ一度だけじゃないでしょうか?

でも納棺師ってこういう出会いがほとんどのはず。

それに私が滞在していたのは佐世保の外れの田舎町。
この映画の舞台は山形。
雰囲気は違いますけど、あの時の自分と状況は何となく似ているような気がしました。

だからこの映画、なんか過去の自分と非常にオーバーラップする部分があり感慨深いものがありました。

それにラストシーンでは、6歳の時に自分を捨てて出て行った父親(峰岸徹)の訃報を聞き、父親と無言の対面を果たします。
そして、父親を自分の手で納棺するのです。

このシーンが一番感動しました。

この映画で峰岸徹さんは奇しくも遺体の役。
回想シーンで少しだけ笑顔のシーンもありますが、セリフは一言も無しです。
ですが、物語の上ではとても重要な役どころです。

だけどラストシーンはかなり泣けます。
自分も結構泣いてしまいましたが、回りでもかなりすすり泣く音が聞こえました。

良い映画ですよ、ぜひとも見てみて下さい

9.13 Road Show 「おくりびと」
http://www.okuribito.jp/