ロシア日記

~ペルミより愛を込めて~
日本語教師と雪のダローガと足跡

~サンクトペテルブルグ~
雪の上の足跡

旅の醍醐味

2014年01月06日 | 日記
 今回のアイルランド旅程で非常に心に残っているのが、ナヨミと地元の人たちが行くパブに紛れ込んだことです。メイン通りを少し離れたパブに立ち寄ったら、ぞろぞろと水色のお揃いのTシャツを着た地元の人たちが入ってきて音楽が始まりました。
 こじんまりしたパブですぐに席が埋まり、相席をいいかと聞かれました。
 何かのクラブチームの会合後の帰りだということです。
 一緒に飲み始めた二人連れはお父さんと娘の婿らしいのです。「今日はどこへ行ったんだ?」とか「明日はどこへ行くんだ?」「ホテルはどこに泊まってるんだ」などと会話している間にも珍しい東洋人の二人連れの私たちのところへ地元のおじさんたちが挨拶に来ます。

 演奏されている音楽をみんなで聞き、「あれはイギリスに対する反抗の歌なんだ。俺らは自由だぞっていう」私たちに歌の解説をしてくれます。
 「『ダニー・ボーイ』はアイルランドの人たちはあまり好きじゃないの?」という質問をしました。昔、どこかで「日本ではアイルランド音楽の代表に挙げられる『ダニー・ボーイ』だけど本場アイルランドではそんなに好まれていない」という記事を読んだ記憶があったからです。その記事の通り、手を上下に揺らす仕草をしながら「It’s ok」との返事でした。
 演奏されている音楽をみんなで聞き、「あれはイギリスに対する反抗の歌なんだ。俺らは自由だぞっていう」私たちに歌の解説をしてくれます。
 
 旅の醍醐味は地元の人と出会うことです。美しい建造物を見るのもいいけれど、土地の人に出会って接することこそかけがえのないものはありません。 

「年上の人の歌を若い人たちも熱心に聞くっていう光景は日本ではないよね」とナヨミが言いました。そう言われてみればそうだと思い、歌と一体になれるアイルランドの人々の国民性を素敵だと思いました。


高慢と偏見

2014年01月06日 | 日記
 ナヨミがドイツへ旅立った夜、ダブリン最後の夜を、イギリスの女流作家ジェーン・オースティン著の『高慢と偏見』の観劇にあてました。『高慢と偏見』は英文科の卒業論文に選んだ題目なので、私にとっても非常に思い入れの強いものです。ロシアでの劇場通いが日課になっている今、ぜひアイルランドで英語のしかも『高慢と偏見』を見られるということで胸が高鳴りました。お値段は3000円ほどだったので、1500円前後で感激できるペルミの価格の破格さを再確認しました。

 さて、アイルランドの劇場の内部もかなり興味があったのですが、いたってシンプルでした。入り口を入るとそのまま奥にバーがあり細長い構造になっており、壁は白が基調とされ、絨毯はブルーグレーで品がよかったです。客の年齢層はかなり高く、40代後半や50代の夫婦が多く、あまり若いカップルは見かけませんでした。私も彼らに交じり、昼間工場見学をしてきたばかりのJamesonをひとり優雅に傾けました。今、思い返せば、旅先で現実の時間がなくなった瞬間にだけ味わえる極上の一時です。

 劇は、エリザベスをはじめ、5人の姉妹たち。お金持ちに目がないお母さん。呑気なお父さん。むっつり顔のダーシーさん。その他の登場人物が出てくるたびに、本で読んだ彼らと結び合わせ「そういえば、こんな性格だった」と思い起こし楽しかったです。

 構成もコメディタッチで無駄なく作られており、最後のクライマックスシーンでエリザベスとダーシーが結ばれるところなんかは、キスシーンと共に照明も落ちるという絶妙な演出で、観客席から笑いが起こりました。いい劇を見させてもらった、という気持ちで劇場を後にしました。



ダブリンの街角で

2014年01月06日 | 日記
 2日もツアーへ行ったしまった私たちは、ダブリンの街をほとんど観光していないことに気づきました。明日はもうナヨミがドイツへ帰る日です。
 最後に訪れる場所としてナヨミと私が選んだのは、Jamesonウィスキーの工場見学です。こちらも街中にあるので大変便利です。けれどこちらもギネスと同様、あまりのアトラクションチックなため、ディズニーランドのホーンテッド・マンションを思い出しました。
一番よかったのは、スコティッシュ・ウィスキーとアメリカはジャック・ダニエルとアイルランドのジェームソンの飲み比べをさせてもらったことです。スコティッシュはスモーキーな香りで渋く、ジャック・ダニエルは強く男性的な味がしました。一番好きだったのはアイリッシュのジェームソンで少し蜂蜜がかった甘い香りがするのです。

 すべてのツアーが終わり、ジェームソンの工場を出たら、とうとう私たちの別れの時です。空模様は雨で私たちの別離に銀の拍車をかけているようです。映画のワンシーンのように、センスのいいダブリンの街角で、左と右に別れました。
 急にお腹が空いてきた私はケバブやさんを探し始めます。





アイリッシュ・ナショナルギャラリー

2014年01月06日 | 日記
 アイリッシュ・ナショナルギャラリーへ行きました。カラヴァッジョの『エマオお晩餐』
の絵もあるし、ロンドンのナショナルギャラリーが大好きな私はぜひともアイルランドのナショナルギャラリーへも行っておきたかったのです。ところがアイリッシュ・ナショナルギャラリーを探し当てるなり、言葉では言い表せないくらい地味な文字で『ナショナルギャラリー』と書いてある建物を探し当てました。一度そこを通っていたのですが、あまりにも目立たないため通りこしたのです。そしてアイルランドの規模に比例し、ナショナルギャラリーも非常に小さく、「えっもうこれで終わり?」というくらいの規模でした。

 私たちが日本語で絵の批評をしていると、一人の学芸員のおじさんが近づいてきました。アイルランドの人々は人懐っこいです。彼は、彼女が日本人ということで、つい最近日本へ行った旅行話をしたかったみたいなのです。日本へ行ったことのある外国人の例にもれず、彼も「日本は素晴らしい」と心から言っていました。「日本のどこに住んでいるのかい」と聞くので「彼女は大阪出身だけど今はドイツに住んでて、私は東京だけどロシアに住んでる」と言うと、目を真ん丸くし「ロシア!?」と聞き返してきました。そして近くの同僚に「この日本人の女の子はロシアに住んでるんだってよ」と言った途端、その同僚のおじさんも「ロシア!?なんでまた?」とまったく同じ驚きの反応を見せました。それを見ていたナヨミが「あの人たちのロシアって言った後の反応ったらすごいわ。ドイツに住んでるって言ってもあんな顔されたことないのに、ロシアって言った途端。こんな北の経済破綻起こした小さな国に住みたいっていう人だって少ないだろうに、その人たちにびっくりされちゃってるんだから、ロシアに住むなんてよっぽどの物好きに映るんだろうね」と言って笑っていました。