ニヒル牛 石川あるの紹介日誌

『ニヒル牛』の店番石川あるの、作品紹介を中心にした日誌です。レンタルボックスと言われる事も多い昨今です。

YKK、最後のK

2020年09月08日 | Weblog

よかった・・。

彼女の作品が間に合いました。

今、北海道から海を渡って、ニヒル牛に向かっています。

ニヒル牛にはYKKがいます。

たくさんの作家さんとの出会いがニヒル牛の歴史ですが、YKKはニヒル牛の道標でした。

 

Yの山中奈緒子は自由です。

ニヒル牛が開店した年に作家として出会いました。

彼女はいきなり、小さな箱の中アパートを作り、そこの住人を募集するという。

私の予想をはるかに超えた使い方。西オギンピックの原型です。

ニヒル牛のスペースに、こんな可能性があるのかと!

楽しくて嬉しくて、わくわくしました。

 

Kのくす美は、良心です。

ニヒル牛の開店を決めた時、絶対に必要な人だと本能が告げました。

くす美の姿勢と美学は、ニヒル牛の基本です。惰性に流される私の歯止めです。

私にとってくす美は、最も信頼できる正しいものなのです。

今ではあまたのレンタルボックス が真似する、箱の中の豆電球はくす美が作った風景です。

 

そして、最後のK。

岸キエコは、なんと言えばいいのだろう。

なんだこりゃ?という作品に戸惑い、惹かれて、20年前出会ってすぐ展示をお願いしました。

作品がどうしても仕上がらず、間に合わなかった事もありました。

急遽、制作過程を見せていくと変更した展示は、未完成ながら力強く愛しく。

そして、痛いように美しく。

孤高の2人と違い、人の中にキエコはいて、だからより、孤独なのだと。

いつも惑いながら、痛みも持ちながら、生命を削るように作品を生み出していくのだと。

 

今年のニヒル牛6月の企画展、くす美の観光手帳で、こんな文章を見つけました。

あの間に合わなかった展示を見ての感想。

「岸さんにはとてもかなわない。

自分の作って来たものが、安っぽく表面的な物に感じられてしまう。

とてもくやしくて、そして嬉しい」

 

今年はどうしたって、YKK全員に、展示をしてもらいたかった。

 

キエコの作品が届きます。

9/12から24まで。

 

 

 

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